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300年 吸血 鬼ごっこ

☆夢愛

第3話 〜第2round?〜

 私は今日、 寝不足で遅刻するはめになっていた。
 この後先生に怒られるのも、 他の生徒に笑われるのも予想がつく。

 今まで一度も遅刻をした事が無かった私が遅刻をするのには、 勿論理由が有った。
 事は昨晩に遡る。

 『今日は少し、 ヴォルフに気を許し過ぎたな。 さっさと寝て血を蓄えなきゃ』

 私が寝ようとしたら、 ベッドの上に置いていたスマホからアラームがなった。
 そしてなぜか最後にゾウの鳴き声の様な音も鳴った。
 ……うん、 私のスマホの着信音ですよ。

 スマホを手に取り、 内容を見てみると私は目を見開いて画面を見つめた。
 アラームはヴォルフからのメールが来た事を知らせるためのものだった。

 『いつの間に私コイツとアドレス交換したんだ…… ︎』

 驚いたのは、 メアド交換もしていないはずのヴォルフからメールが届いた事だった。
 だが、 交換してないはずの私のスマホのアドレス帳には、 奴のモノが記録されていた。

 『アイツ……私が寝てる間に勝手に入れやがったな……』

 仕方なく返信をすると、 もうすでに見ていたのか瞬時に既読がされ、 すぐに返事が来た。
 自分も即行返し、 寝ようと思ったが、また返事は一瞬で返ってくる。

 そんなこんなを繰り返し、 気付いたら朝の3時になっており寝不足と化してしまったのだ。

 「私何であんなクソ変態に律儀に返信しちゃったんだ……?」

 自分に呆れて深いため息をつく。
 暫くトボトボ歩いていると、 後ろから名前を呼ばれた。
 低く、 優しい声だが、 私はこの声の持ち主が嫌いだ。

 「やっぱ凌菜ちゃんだ! はは、 朝一緒に登校出来るなんて嬉しいね」

 「こっちは微塵も嬉しくねーんだわ。 てか何でお前まで遅刻してんだよ」

 まあ何となく予想は出来るがひとまず理由を聞いてみる事にした。
 決して仲良くしたいわけじゃなく、 単に気になっただけだ。

 「いやー、 昨日さ、 凌菜ちゃんにメール送りまくったじゃん? それが楽し過ぎて寝れなくなっちゃって結局寝不足なんだよ」

 楽し過ぎて寝れなくなったというのは考えつかなかったが、 他は大体予想通りだった。
 コイツは恐らくバカだ、 私は脳に記録した。

 ヴォルフは何かに気づいた様にこちらを見、 私の首を触って来た。
 何だよくすぐってーな。

 「今日、 別肉体着てないんだね? 噛み跡マーク丸見えだ」

 ヴォルフは嬉しそうに笑うが、 私は立ち止まって青ざめていた。
 ここから家はもう遠いし、 これ以上の遅刻はヤバい……着忘れたどうしよう……。

 ヴォルフは私の髪に触れて、 そのままいじり始めた。

 「おいこら! 何してんだやめろ!」

 「はい、 これでオッケー」

 は? ヴォルフは手鏡を向けて来た。
 そこには、 髪型がいつもと違く、 一瞬誰か分からない者が立っていた。
 ヴォルフは私を見て笑い出す。

 「そもそも、 女の子の格好じゃ君の事分かるのは僕と由奈ちゃんくらいだよ。 今日は仕方ないから授業サボろ?」

 サボるのは乗り気になれないが、 この姿で授業もマズイよな……仕方ない、 ここは乗るか。

 「どこ行く? 私ここら辺すら詳しくないからお前が決めろよ」

 そう言うと、 ヴォルフは自分も詳しくないけど……と口篭るが、 そりゃそうだ。
 こいつフランスから来てんだもんな確か。
 1週間も経たずにここら辺めっちゃ知ってたら大したもんだよ。

 暫くすると、 ヴォルフは何か思いついたらしく、 ピクンと動く。

 「そうだ! 遊園地に行こう!」

 「何で ︎」

 いやマジで何で ︎ 何で遊園地 ︎ サボってんのバレるぞ ︎ やっぱコイツバカだろ。
 そう思ってバカにした様な目でヴォルフを見続けていると、 ヴォルフは言葉を続けた。

 「しかも、 ただ行く訳じゃない。 そこで、 『鬼ごっこ』しよう」

 え、 鬼ごっこって、 まさかお前との? 遊園地で ︎ 何考えてんだコイツ……確かに逃げる側は隠れられるとは思うけど、 追う側は大変だぞ……?
 ヴォルフは私をいやらしい目付きで見てくる。

 「まあ、 わざわざ遊園地まで行かなくてもここで始めても良いんだけどね?」

 ここは路上、 周は住宅街。
 逃げ切る事は学校と同じくらい難しい……クソ、 コイツの思い通りになるのかよ……?

 「分かった、 遊園地行こう」

 ヴォルフは笑顔で頷き、 私の頭を撫でてきた。
 気持ち悪いから本当にやめてくれないかな。

 「まあ、 行ってすぐ鬼ごっこでもいいんだけどまずは……」

 「? 」

 まずは、 何? ちゃんと最後まで言えよ。
 そうして私達は一番近くの遊園地に向かった。


 『オチャラケ遊園地』 創立33年。

 私は名前のセンスがなさ過ぎる事に言葉を失っていた。

 「さ、 まずは目一杯遊ぼう。 じゃなきゃ少しも楽しめずに終わっちゃうからね」

 私が捕まるのを決めつけている様だが、 私は従業員の目の前でその言葉を発せるコイツをただ凄いなと思っていた。
 だけど滅多に来れない所だ、 楽しんでも損はないだろう。

 ジェットコースター、 コーヒーカップ、 メリーゴーランドなど、 メジャーな様なものばかりを2人で乗ったが、 コイツはとても楽しいらしく、 いつも以上に明るかった。
 鬼ごっこの事なんて忘れてくれれば良いのに。

 そんな無理な事を考えてベンチで座っていると、 ヴォルフが飲み物を持って帰ってきた。

 「はい、 ミルクティー。 ……楽しくない?」

 子犬の様にこっちを覗いて来る彼に対し、 私は本心を隠さずに言った。

 「すごい楽しいよ。 このまま、 楽しい時間が続けば良いんだけど……」

 態度を伺う様にヴォルフを見ると、 一瞬、 空気が重くなったのを感じた……ああ、 やっぱコイツは吸血鬼なんだな……。
 ヴォルフは笑いながら私の言葉を一蹴する。

 「僕はずっと楽しい時間が続くけど、 凌菜ちゃんはもうすぐ終わっちゃうよ。 ほら、 鬼ごっこやるんだから」

 「知ってる」

 何だろう、 胸が痛む。
 何でだろう、 泣きそうになる。

 コイツは最低な奴なんだ……分かってた。
 だけど、 楽しいと思えた……それがこの辛さを生んだんだろう。

 「もういいよ。 始めよう、 鬼ごっこ」

 「あ、 良いの? 確かに僕もそろそろ日に当たり過ぎたからなぁ。 よし、 じゃあ始めよう! 1分待つから逃げて」

 ヴォルフはそう言うと後ろを向く。

 アトラクションのブザーが鳴り響くと同時に私が口にした言葉はきっと、 コイツには聞こえてない。

 ーー バカ ーー

 私は全力で走り出し、 隠れる場所を探す。
 マズい、 忘れてたけど今日は平日で人が少ない。

 「隠れる場所が全然ない……!」

 先程の胸の痛みが戻ってきたと思うと、 私の眼からは生暖かい雫がこぼれ落ちた。
 私はそれを拭うと、 一心不乱にある物を目指し始めた。


 「どこだ? 匂いが全然しないな」

 ハンデでもつけて公平にしてるつもりなのか、 予知を使おうとしないヴォルフは1分の待機時間を終え、 歩いていた。

 「もしかして何かの中に……?」

 匂いがしないのは建物などの中に居るからだと考えたヴォルフは、 色んなアトラクションや建物を探し始める。
 人が多くテレポートが使えないため、 時間も掛かるのだ。

 「今回は優しくし過ぎちゃったかな?」


 「はぁ……」

 重い空気を発し、 私は何周もの間観覧車に乗っていた。
 アイツにもっと、 感情があればなぁ……喜びばかりじゃん。

 私は自分でもよく分からないほど、 今回の出来事にショックを受けているらしく、 そろそろ5周目を越える観覧車の中に淋しげに座っていた。

 「アイツ今、 どこに居るんだろ。 開始してからもう50分くらい経つけど……」

 日が暮れてきて空が淡い紅に染まってきた頃、 ガラスを叩く音がした。

 観覧車の扉が開くと、 ヴォルフが空を飛んでいた。
 疲れきった表情で入ってくる彼に、 なぜか私はホッとしていた……。

 「浮いてんなよ、 バレるぞ? てか写真撮られんぞ?」

 「どうせCGだって言われるよ。 それに君が降りないからだろ」

 そう言うとヴォルフは時計を出し、 ため息をつく。

 「完敗だね、 2分遅かったみたいだよ。 おめでとう」

 勝てた嬉しさもあるはずだったが、 それよりも強かったのは……息を切らし、 汗を大量に流し、 やつれた顔のヴォルフを心配する気持ちだった。

 私は服を肩が出る様に下げ、 髪の毛をどかし、 首が完全に露出するようにした。

 「凌菜ちゃん……? 」

 「辛いんだろ? やる。 少しだけ」

 自分でも内心驚いた。
 もしかしたら全部吸い尽くされてしまうかも知れないのに、 自らヴォルフに血をあげようとしているのだ。

 でも、 コイツなら多分そんな卑怯なことはしない……そう思ったから出来た事だった。

 ヴォルフは私の首に優しく嚙みつき、 血を吸い始める。

 「……っ!」

 吐息がかかり、 口の温かさがあり、 痛い様で心地よく、 無理矢理と違い照れくさい吸血の時間となった。



 「たくっ、 少しって言ったろ?」

 「いやぁ、たったの200mlくらいだよ? 充分少ない」

 「充分多い」

 アホにソコソコ吸われてフラフラする私は、 不本意にもヴォルフに抱かれていた。
 人がいないからまだ良いものを……人前でやったら顔面殴んぞ。

 「ん? 凌菜ちゃん顔赤いよ? 吸ったにしてはまだまだ残ってるのかな?」

 顔を覗き込んで来たヴォルフの顔を思わず殴る私は、 今まで味わった事のない感情に疑問を抱いていた。
 何だろう、 この感情。

 それと同時に、 何やら胸騒ぎがした。
 だがそんな事に気付かないくらい、 今の状態が恥ずかしく、 とりあえず顔を隠していた。
 ヴォルフは顔を左手で押さえている。
 結構痛かったんだろうね。

 「……っ!」

 どうしても消えないこの恥ずかしさはこの後約20分間、 私の部屋に着くまで続いた。



















 どうも、 ☆夢愛です。 第3話どうでしたでしょうか。
私はほとんど何の設定もしないで話を進めていくため、 よく分からない事もあるかと思います。その場合、 「直せ」と一言言って頂ければ次から気をつけられる様になりますと思いますです。

読んでくれた方、 お手数ですが いいね、またはコメント頂けないでしょうか(^◇^;)
読まれているのか自信なくて……

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