夢日記

日々谷紺

恋しているらしい

 中学時代からの友人に恋しているらしい。同性の友人だ。互い成人してからも仲良く半ば同棲しており、私はよく「結婚しようね」と約束を持ち掛けているようだ。友人は冗談気味に受け流し、「そうだね」と答えることもあるが内心は乗り気ではない。そもそも私(同性)を恋愛対象として見ていないのだろう。
 だけどもある時に唐突に、会話に脈絡も前触れもなく友人は言う。「結婚しようか」
それを聞くなり私は泣きだしそうになりながら「いいの?」「本当に?」と情けなく繰り返す。友人は微笑みで答えてくれる。
 あまりにも嬉しい気持ちと、友人の声に微かにみた諦念のニュアンスを感じとっての悲しさで、泣くのを堪えながら繰り返す。
 舞台は生まれ育った故郷だが、我が家より後ろ(通った学校の反対方向)の景色は見たことのない街並みだった。友人さえ継ぎ接ぎで実在する明確な個人ではない。


20150711

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