夢日記

日々谷紺

死んだ私が死んだ街を見ている

 大地震で、私が死ぬ夢を見た。周辺一帯ガレキの山。そこらに飛び出る、何故か白骨化した元人間。さっき起きたばかりの地震で。ガレキの山は、よくみると土の山で、白い人間たちそれぞれの身体の一部に土が被っている。
 無傷の子供達が向こうから歩いてくるので、そこらに突き刺さる元人間を山の陰に隠した。子供達が泣きそうな顔でこちらを見るので、安全な場所への道を教える。
 その背中を見送った後、少しうろついてみた。倒れた木の横に、見慣れぬ顔を見つける。私の顔だった。他の元人間が白い中、私の顔は紅くって不思議で、よく見ると顔の皮がはがれて筋肉が剥き出しだ。他のみんなより人間を構成するの に必要な部品を持っているはずなのに、どれよりも人間から遠い顔をしていた。首から下がないことにも、やっと気が付く。
 さっきの揺れは、大地震だったのだろうか。この世界で一番確かな実体で、先程からそこらをうろついている自分は一体誰なのだろう。
 そういう、私が死ぬという、夢を見た。 

20080718

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