家族になって1ヶ月の妹に誘われたVRMMOで俺はゆるくやるつもりがいつの間にかトッププレイヤーの仲間入りをしていた

ノベルバユーザー203449

第6話 ここをキャンプ地とする!!

  昼食を終えた俺は再び自分の部屋に戻ってきた。理由はもちろんABVRを再開するためだ。

 まずベッドに入って机の上に置いたままのゲーミングゴーグルを手に取る。そして頭に装着して電源をONにするとシステムが起動。しばらく待つことになる。

『脳波スキャンを開始します。電源を落とさないようにしてください』

 そんなアナウンスが聞こえてくる。それと同時にマシンは完全に起動して俺の脳波を読み取り始める。この作業は場合によっては10分くらいの時間を要することもあるらしいが今回は運良くすぐに作業が完了した。

『脳波読み取りを完了しました。リンク待機状態です』

 あとはボタンを押せばリンク開始、つまりは仮想現実への扉が開く。
 当然俺はすぐにボタンを押してリンクを開始した。すると俺の意識は吸い込まれるようにして現実から離れていく。

 仮想現実へのダイブが始まったのだ。そして1度目の起動と同じようにOPムービーを経てタイトル画面へと辿り着く。

 全ての設定が既に完了している今回はゲームスタートと同時にゲームの世界へ直行。つまりはログアウトしたのと同じ地点へと飛ばされる。

 すなわちセントラルエリアだ。



 目が覚めて辿り着いたのは石造りの街、セントラルエリア。ただ初ログイン時と違って広場では無く、人通りの多い街道に出た。ログアウトしたのと同じ場所だ。

「あ、アキト君だ。先越されちゃった」

 俺が降り立ったのとほぼ同時にカノンも何も無い場所から姿を現した。多分1秒とかそれくらいの僅かな遅れでログインしたんだろう。

「いや、俺も今来たところだから。気にしなくても良いよ」
「そりゃ良かった。じゃあ早速だけど行こっか」

 そう言ってカノンは足早に出発する。けれども進む方角は冒険者会館があるのとは別の方向だ。

「あれ? どこ行くの?」
「バンバルドの森。テントも手に入ったんだから森の中にキャンプ地作ってそこでレベリングしなきゃ。いやー本当はお金貯まるまでクエスト繰り返す予定だったんだけどキングゴブリンの王冠を手に入れたおかげで財布が潤ったからこれはもう予定前倒してもいいかなって」

 詳しく話を聞くとクエストを受けながらレベルを上げようとするといちいち冒険者会館とバンバルドの森を往復する必要があるので時間のロスがあまりにも大きい。だから一度クエストは諦めて森にキャンプ地を作ってその周りで敵を倒し続ける方が良いらしい。

 お金に関しても基本的にはレベルを上げて難易度の高いクエストをクリアした方が効率よく稼げるらしい。

 繰り返すようだが昨日ゲームを始めることを決意したばかりの人間には右も左も分からないのでここはカノンに従ってバンバルドの森へ行くことに賛同する。

「じゃあそっちに行こうか。俺もキャンプって単語には惹かれる物があるしさ」
「決まったわね。なら森に向けて出発よ」

 こうして俺達はセントラルエリアを出て森へと出発。

 そういえば今のところは淡々と進めていることもあってセントラルエリアを全然見ることが出来ていない。今度一人でログインするときにでも観光しようか。海外に行ったことが無いのでこういう町並みは初めてだし。

「そういえばカノンさんは海外とか行ったことあるの?」
「ん? いや無いけど急にどうしたの?」
「ほらセントラルエリアって見た感じ外国っぽいからさ。ちょっと気になって」
「あー。そういえばABVRの世界は相当に作り込んでるから観光目的でプレイする層も少なからず存在するらしいわよ。今言ったみたいにこの街だって日本に居たんじゃお目にかかれないし。あと前情報じゃ雪山や海なんかもあるらしいわよ」
「昨日見たPVに映ってた映ってた。火山とか温泉もあるんだっけ」

 今はゲームが始まって最初期なのでほぼ全員のプレイヤーがバンバルドの森かセントラルエリアにいる筈だ。だがやがては多くのプレイヤー達がこの地を離れて様々な街へと繰り出すのだろう。

 それにいずれはプレイヤーの手で自由に建物を作ることが出来るようになるので街が増えたりもするのだろう。そう考えるとただ街を見て回るだけでも飽きること無くプレイし続けられるかも知れない。

「そういえば観光といえばだけど今度キャンプとか行かない? ウチにテント有るし。母さんアウトドア好きだから車出してくれるし」
「うーん。私アウトドアなら冬の方が好きなんだよね。汗かかないし、虫出ないし、あと人少ないし」
「え、冬にキャンプ行くの?」
「行く行く。去年の冬もお父さんと伊豆の方にキャンプ行ったよ」
「そうなんだ」

 キャンプと言えば真夏! っていうイメージがあっただけに冬キャンプというのは考えても居なかった。一応そういうのも存在しているという知識はあったがまさか自分の妹にその趣味があったとは驚きだ。

「さてと、リアルの話はこの辺りにしてテントを張る場所を探そう。ひらけた場所がどこかに有るはずだし」

 話しているウチに森に辿り着いたので早速テントを張るための場所を探す。テントは4人まで入れるサイズの物なのでかなりデカい。今のところこの1種類しかテントは存在していないらしく小さな物がないので仕方ないと言えば仕方ないがそれでも余計なスペースを探しているような気分になる。

 まあこの辺りは運営の優しさなのか開けているスペースは基本的にテントが入るような大きさをしている。そんなわけですぐに広いスペースは見つかったのだが――

「ダメ。ここは街に近すぎて狩り尽くされてる」
「え?」
「一応リポップはあるから一生この辺りにモンスターが出ないってことは無いけどこの辺りを狩り場にしてる連中がいるわ。だからテントを張るならもっと奥ね」

 そう言ってカノンに連れられるままに数々のひらけた場所を査定してはパス、査定してはパスを繰り返して、結局はセントラルエリアから随分離れた場所をキャンプ地にすることになった。

 それが後にある悲劇を巻き起こすことにも気付かずに。

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