異世界英雄のレイン (旧題:異世界英雄の創造主)

Noct@Kirusu

公爵家の家に泊まろう1


「ステータスオープン」




【名前】レイン・クロスフォード
【種族】人間 【性別】男 【年齢】6歳
【レベル】1
 HP:7/7
 MP:3/3
 力 :5
 耐久:2
 敏捷:8
 器用:5
 魔攻:1
【スキル】
 無し
【称号】
 最弱 努力する者
【加護】
 無し




「おおー。かなり伸びてるな。これならお母様達も喜んでくれるかな?うん、絶対喜ぶね」

 僕はお母様達が喜んでくれる姿を想像して、喜んでいた。



 しばらくして気分が落ち着くともう一つの疑問の答えが予想通りなのか確認をするため、インパクトを二発撃った。

 一発目のインパクトは木に当たり揺れただけだった。二発目のインパクトは木に当たり貫通した。

 魔法の威力を上げる方法は一つだけある。それは、魔力を多く込めることだ。けど、さっきのインパクトは両方とも同じ魔力だ。では何故威力が上がったか言うと、一発目より小さく形を変え、回転数を上げたからだ。

 これだけでわからない人は銃の弾を想像してほしい。弾丸は小さい。また撃った時、回転がかなりかかっている。もう分かっただろう。

 僕は前世でよく世話になった銃を思い出し、インパクトを弾丸のようにした。これによって威力・精密性・速度が上がった。これはもうインパクトと違うように感じたから『魔弾』と名付けた。

 けどコレを確認したかったわけじゃない。僕が確認したかった事はMPについてだ。インパクトは元々MP消費量が低いけどMP3の人が二発も撃てる訳がない。撃てたとしてもMPが0になるはずだ。それなのに僕のMPは減らない。

 この事について気付いたのは初めてインパクトを撃った時だ。何発撃っても気絶する事がなかった。普通はMPが0になると気絶してしまう。それなのに僕は気絶しなかった。

 ずっと疑問に思っていたが昨日の夜にある仮説が思い浮かんだ。それは、僕の魔力が空気中にある魔力とほとんど同じだということ。

 僕が今よりも小さい時にお母様が教えてくれた。
空気中に魔力があることを。
魔力は空気中の魔力を変換させて回復することを。
人それぞれ回復スピードが違うこと。
 
 これらのことより僕の魔力は空気中の魔力とほとんど同じだからすぐに回復してMPが減らないではないのか。もしも違っていても特に支障はないから大丈夫だ。


「あーーあ、スッキリした。これで集中して鍛錬が出来るよ」


 そう言って僕は剣を振った。

 すると突然前にある木が真っ二つになっていた。そしてその後ろにある木も。また、その木の後ろの木も。またまた、その木の後ろの木も。合計、四本の木が真っ二つになった。

 この状況を見たら誰でも動揺するだろう。なにせ突然木が真っ二つになって、その後ろにある木々も真っ二つになっている。

 しかし、レインは微塵も動揺していなかった。否、レインは動揺していた。動揺していたのはしていたが動揺している理由は違った。それは・・・・・・

「な、なんで。四本しか斬れてないんだ・・・。本気でやったのに・・・・・・」

 ・・・木が斬れている数が少なくて動揺していた。レインが前世の力を持っていたら二十本以上の木は斬れていたはずだ。それなのに、だったの四本しか斬れていない。

 レインは自分自身に失望した。これほどまで弱くなっていたことに。そんな中、レインの全身に激痛が走る。


「!!はぁ、はぁ、はぁ。すーはー、すーはー。ここまで落ちたか・・・。しかも久しぶりに筋肉痛になったな。はあー、しっかりと鍛錬をしないとな」

 
 レインの全身に走った激痛は筋肉痛のせいである。前世の動きを再現をしたら身体が保たなくて筋肉痛がおきた。その痛さは、6歳の子供が我慢出来る程度の痛さではない、下手すると12歳の子供が泣いてしまうほどの痛さである。

 では何故レインが立って居られるかと言うと簡単だ。他の子供の身体より遥かに鍛えられているからだ。決してレインが鍛錬をしてない訳でもなく、レインの鍛錬が優しい訳でもない。レインの目標が高すぎるのだ。けどレインは諦めない。自分のステータスがどれだけ低くても、自分に剣の才能が無くても、将来に剣を使わなくても、絶対に諦めない。それがレインの前世に決めた誓い・・だから。


~~閑話休題~~




「あ!もう三十分以上も時間が過ぎてる。お母様とエイナが心配してないといいな・・・」


 期待を口にするが既に遅いと思ってしまった。アイリとケイに「ご愁傷様」と思いながら全速力で家に帰った。




 家に帰ると予想通りの光景で、お母様とエイナをアイリとケイが説得している。僕が帰って来た事に気付いたお母様とエイナは抱きしめてきた。


「レイン、怪我はしていない?痛いところはない?病気になったりしていない?身体は疲れてない?」


「レイン様~、レイン様~。レイン様~がご無事、ご無事です」


「うわっ、何で泣いてるの。そんなに心配しなくても大丈夫なのに」


 エイナが泣いて僕の心配をしてくる。そんなに僕が弱く見えるかな?
 僕はエイナを安心させるために成長したステータスを見せた。

 その結果は、皆が喜んでくれた。勿論エイナも。それなのにどこか悲しげな顔をしているように見えた。
けど瞬きをするといつも通りの笑顔だったので特に気にしなかった。



『僕は後悔する。これから起こる悲劇のピースが揃い始めていた事に気付かなかった事を』





 ★ ☆ ★(二週間後)


 朝起きたら何故かいつもと違うように感じた。お母様達の様子に違和感を感じている。その事で質問すると驚きの言葉が返ってきた。


「えっ、僕とアイリがお母様の知り合いの家に泊まるの?」


「そうなの。昔の約束でね、あなたの子供ができたら子供を家に来させないってね」


「そうなんだ。アイリには話したの?」


「まだなの。だからこれから伝えようとレインとアイリを探していたら先にレインを見つけたの」


「ふーん。ところでいつに行くの?」


「それが今日なの・・・」


「今日!何でそんな急に」


「実は・・・」


《長い話を言う》


「と、言う訳なの」


「つまり、僕達の事を隠していたけどバレてしまい、今日中に来ないと縁を切ると、言われたんですね。それはお母様が悪いですね」


「うっ・・・。だって、だって、ここより豪華だし、貴族だし、あなた達の年代の子供もいるだもん!」


「何で、逆ギレしてるんですか。(ハァー、面倒)エイナー、お母様をよろしくー」


 大きな声でエイナを呼び、お母様の相手を任せる。そして僕はお母様の知り合いの家に泊まる事を伝えて泊まりに行く準備を始めた。












 昼前には家を出発して午後2時ぐらいに王都についた。何故かケイだけが送りに来て、王都に到着するとすぐに帰った。

 王都はとても賑やかな場所だ。そして物凄い数の人がいる。アイリと離れ離れにならないために手を繋いで歩く。

 アイリから小さな声が漏れた。

「どうしたの?」


「何でもありません」


 僕は特に気にすることなくまわりの建物をみながら歩いた。肉屋、魚屋、八百屋、武器屋、料理店などなど。そして最も大きかったのは冒険者ギルドだ。沢山の冒険者がギルドを出入りしていた。

 僕がギルドの中まで覗こうとしたら、服が引っ張られた。引っ張られた方向を見るとアイリがいた。


「速く行きましょう」


「別に少しぐらい寄り道してもいいでしょ」


「ダメです」


「絶対に?」


「絶対に」


「僕の出来る事なら何でもするとしても?」


「っっ!・・・・・・・・・ダメです。せっかく待ってくれているのを更に遅れたら迷惑がかかってしまいますよ」


「わかったよ。それじゃあ、寄り道せずに行こうか」


「まさか兄様、今まで寄り道をしていたんですか?」


 アイリの冷たい目が痛い。ここは誤魔化そう。


「さあ、待たせるのは悪いから急いで行こう」


「ハァー。兄様が母様のようになってきてます・・・」


 お母様が酷い扱いを受けてるけどフォローのしようがない。お母様自身が悪いのと、僕もお母様のことを酷く扱っていたからフォローが出来ない。




 十分ぐらい歩いた後目的地に着いた。僕達の家と同じかそれ以上の大きさだった。

 家の出入り口が門であることと門兵がいたことには少しだけ驚いた。

 僕達が居ることに気付いた門兵の二人組は僕達を止めた。


「ここの家は子供が来る所じゃないぞ。遊ぶなら向こうの方なら遊べるぞ」


「おい。今日はテルシア様の知り合いの子供が来ると言ってたではないか。この子供達がそうかも知れないぞ」


「ない、ない。子供二人だけで普通行かせたりしないだろう。君達はテルシア様の知り合いの子供じゃないだろ」


「えーっと、多分その子供は僕達だと思いますよ。ここにテルシア・ディーストニア様宛ての手紙を持っています」


「ほら言っただろ。では、テルシア様に確認をとって来ますので少々お待ち下さい」


「門兵さん。あの人は何で子供相手に敬語を使ったの?」


「それは、テルシア様が泊まりに来る子供に失礼が内容にと言っていたからだろ」


「じゃあ何であなたは敬語で話さないんですか?」


「勘だが君達はそんなことで気にしたりしないだろ」


「まあ僕は気にしないけど、アイリは大丈夫?この人が失礼だと思ったら口調を変えてもらうように言うよ」


「大丈夫です。それより何でこんな所に来てるんですか!ディーストニアと言えば公爵家じゃないですか!」


「あれ?言ってなかった?」


「言ってません!」


 アイリが驚く理由は分かるけど言ってたような気がするけど・・・

 王国の貴族の説明をしよう。権力が多い順にすると公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵になる。そしてこれら貴族の上に王族がいる。つまりディーストニア家は貴族の中や王国でトップクラスの権力者である。

 だからテルシア・ディーストニアに失礼な態度をとれば不敬罰で殺される。そのためアイリが緊張する理由は良く分かる。

 それに対してレインはいつも通りだった。なぜならお母様の親友が権力を振り回す訳がないと信じているから。




 先ほどの門兵が戻って来て門を通らしてくれた。

 そして僕達はディーストニア家にお邪魔する。





 レインが作った魔法『魔弾』は魔法の弾丸から名付けました。魔法名については想像しやすいようにしていきます。


 あと、レインが木を四本真っ二つにしましたが普通不可能です。この世界にいる人は普通、斬撃を飛ばせません。飛ばせるとしたらAランク冒険者(予定)だけです。なので読者の皆様はレインを基準で考えないで下さい。自重させないので(決定事項)



 ここまで読んで下さってありがとうございます。これからも精進します。

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