彼女と一緒に異世界を!
13.謎の力
 視界に映っているのは、俺の仲間であるジャンヌがクレイルを庇うように大きなクマの前に立ち塞がっている様子だった。
 しかし、ジャンヌはその青色の目に涙を浮かべながら震えており、とてもじゃないが戦えそうにない。
 対するクマはというと、自分の前脚についた鳥の返り血を舐めながら、ゆっくりとジャンヌ達との距離を詰めていく。
 このままいけばジャンヌ達はクマに虐殺される。それは火を見るより明らかだった。
 だがそれを防ぐ術を俺は持っていない。
 特別な能力も無く、ステータスはむしろ低い方である。
 今の俺にはこの状況を打破できない。
 そんなことは分かっている。
 だけど俺の体は自然と動いていた。
 地面を蹴り、クマの元へと駆ける。 
 クマはそれに気付いてないのか、なおもジャンヌとの距離を縮めていく。
 そして、クマがジャンヌのちょうど目の前に来たのとほぼ同じくらいに、俺もクマへと迫る。
 それに気付いたクマが驚いたように俺の方を向く。
 しかし、クマとの距離はまだある。
 クマに不意打ちを食らわせて、その隙に逃げる。というのがねらいだったのだが、これでは余裕で返り討ちにあうだろう。
 無謀とも呼べる作戦は失敗、結果的に何の意味もなく死亡。
 そんなことが頭に浮かぶ。
 が、
「うぉォォォ!!!」
 俺は走るのをやめない。
 叫びながらクマへと迫る。
 その叫びは、死んでしまったと聞かされた最初の頃に抱いた不安。
 その後、ジャンヌやクレイル、リースという仲間たちに出会えた喜び。
 その仲間達と行く初めてのクエストという緊張と、僅かな期待。
 そして、それら全てを奪っていこうとするこのクマに対する怒りが込められた叫びだった。
 俺の叫びにクマが一瞬たじろぐ。
 その一瞬の隙に、俺はクマの懐へと飛び込む。
 ある程度あったクマとの距離は、いつの間にか縮まっていて、飛び込んだらすぐ目の前にはクマがいた。
 クマは、あまりに突然のことにまだ反応ができていない。
 
 そんな無防備な状態のクマの腹に、俺は渾身の力を込めて拳を振るう。
 
「パァン!」
 
 クマの硬い皮膚を殴ると、とても良い音がした。
 皮膚を殴ったはずなのに、俺の拳は鉄を殴ったかのように痛む。
 すると次の瞬間、目の前にいたクマがよろめいた。 
 
「グオォ...」
 
 続いて低く唸ったかと思うと、1歩 2歩と後ろへ下がり、そのまま俺達に背を向け逃げるような形で去っていった。
「な、なんだ?」
「コーータァァーー!」
 何故クマが去っていったのか分からなかった俺は1人困惑し、その直後に後ろから何かがぶつかって来た。
 首だけ後ろに回すと、そこには後ろから俺に抱きつく形でくっついているジャンヌがいた。
「なっ、何!?いきなり!?」
 生まれてこの方、女子に抱きつかれたことなんて1度も無いので思わず声が裏返ってしまう。
「すごいよコータ!あんな大きなモンスターを1人で撃退するなんて!」
 そんな焦りまくってる俺とは反対に、先程までの怯えた様子が嘘のように、ジャンヌは興奮した様子で俺を褒めまくる。
 抱きついたままの状態で...
(あのー、ジャンヌさん。さっきからあたってるんですけど..胸が...)
 内心でそんな事を呟くも実際に声に出せるわけがなく、ただただそれを受け入れていた。
 いくらジャンヌの胸が小さいとはいえ、あたればそれ相応の弾力を感じる。
 罪悪感と幸福感を同時に感じながら、俺はただオロオロするしかない。
「コホンッ!」
 リースのわざとらしい咳払いのおかげでジャンヌが俺から離れる。
 「助かった!」と思いリースの方を向くと、何やらジト目で俺の方を見ていた。
 リースの横には、自分の目を拭いながら立っているクレイルがいた。
 ジト目で俺を見つめたまま、リースは言葉を続ける。
「とりあえず危ないから一旦この森をでよう。あいつが仲間を連れて戻ってくるかもしれないしね」  
 
 そう言うとリースは元きた道を戻るために歩き始める。
「わ、分かったわ!」とジャンヌがリースについていく。
 みんなに置いてかれないように俺も進もうとしたその時に、リースが突然振り返り、俺に笑顔でこう言ってきた。
「あとコータ、相手が気づいてないからって言わないのはどうかと思うよ?」
 ここで俺はリースがジト目だった理由を知り、本日2度目の絶望を体感した。
____________________
・無事テストが終わりました!
(いい点数だったとは言ってない)
 
 しかし、ジャンヌはその青色の目に涙を浮かべながら震えており、とてもじゃないが戦えそうにない。
 対するクマはというと、自分の前脚についた鳥の返り血を舐めながら、ゆっくりとジャンヌ達との距離を詰めていく。
 このままいけばジャンヌ達はクマに虐殺される。それは火を見るより明らかだった。
 だがそれを防ぐ術を俺は持っていない。
 特別な能力も無く、ステータスはむしろ低い方である。
 今の俺にはこの状況を打破できない。
 そんなことは分かっている。
 だけど俺の体は自然と動いていた。
 地面を蹴り、クマの元へと駆ける。 
 クマはそれに気付いてないのか、なおもジャンヌとの距離を縮めていく。
 そして、クマがジャンヌのちょうど目の前に来たのとほぼ同じくらいに、俺もクマへと迫る。
 それに気付いたクマが驚いたように俺の方を向く。
 しかし、クマとの距離はまだある。
 クマに不意打ちを食らわせて、その隙に逃げる。というのがねらいだったのだが、これでは余裕で返り討ちにあうだろう。
 無謀とも呼べる作戦は失敗、結果的に何の意味もなく死亡。
 そんなことが頭に浮かぶ。
 が、
「うぉォォォ!!!」
 俺は走るのをやめない。
 叫びながらクマへと迫る。
 その叫びは、死んでしまったと聞かされた最初の頃に抱いた不安。
 その後、ジャンヌやクレイル、リースという仲間たちに出会えた喜び。
 その仲間達と行く初めてのクエストという緊張と、僅かな期待。
 そして、それら全てを奪っていこうとするこのクマに対する怒りが込められた叫びだった。
 俺の叫びにクマが一瞬たじろぐ。
 その一瞬の隙に、俺はクマの懐へと飛び込む。
 ある程度あったクマとの距離は、いつの間にか縮まっていて、飛び込んだらすぐ目の前にはクマがいた。
 クマは、あまりに突然のことにまだ反応ができていない。
 
 そんな無防備な状態のクマの腹に、俺は渾身の力を込めて拳を振るう。
 
「パァン!」
 
 クマの硬い皮膚を殴ると、とても良い音がした。
 皮膚を殴ったはずなのに、俺の拳は鉄を殴ったかのように痛む。
 すると次の瞬間、目の前にいたクマがよろめいた。 
 
「グオォ...」
 
 続いて低く唸ったかと思うと、1歩 2歩と後ろへ下がり、そのまま俺達に背を向け逃げるような形で去っていった。
「な、なんだ?」
「コーータァァーー!」
 何故クマが去っていったのか分からなかった俺は1人困惑し、その直後に後ろから何かがぶつかって来た。
 首だけ後ろに回すと、そこには後ろから俺に抱きつく形でくっついているジャンヌがいた。
「なっ、何!?いきなり!?」
 生まれてこの方、女子に抱きつかれたことなんて1度も無いので思わず声が裏返ってしまう。
「すごいよコータ!あんな大きなモンスターを1人で撃退するなんて!」
 そんな焦りまくってる俺とは反対に、先程までの怯えた様子が嘘のように、ジャンヌは興奮した様子で俺を褒めまくる。
 抱きついたままの状態で...
(あのー、ジャンヌさん。さっきからあたってるんですけど..胸が...)
 内心でそんな事を呟くも実際に声に出せるわけがなく、ただただそれを受け入れていた。
 いくらジャンヌの胸が小さいとはいえ、あたればそれ相応の弾力を感じる。
 罪悪感と幸福感を同時に感じながら、俺はただオロオロするしかない。
「コホンッ!」
 リースのわざとらしい咳払いのおかげでジャンヌが俺から離れる。
 「助かった!」と思いリースの方を向くと、何やらジト目で俺の方を見ていた。
 リースの横には、自分の目を拭いながら立っているクレイルがいた。
 ジト目で俺を見つめたまま、リースは言葉を続ける。
「とりあえず危ないから一旦この森をでよう。あいつが仲間を連れて戻ってくるかもしれないしね」  
 
 そう言うとリースは元きた道を戻るために歩き始める。
「わ、分かったわ!」とジャンヌがリースについていく。
 みんなに置いてかれないように俺も進もうとしたその時に、リースが突然振り返り、俺に笑顔でこう言ってきた。
「あとコータ、相手が気づいてないからって言わないのはどうかと思うよ?」
 ここで俺はリースがジト目だった理由を知り、本日2度目の絶望を体感した。
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・無事テストが終わりました!
(いい点数だったとは言ってない)
 
コメント
ごま
ご想像にお任せします( ˇωˇ )
虎星 馬仁(とらぼし ばじん)
あ、赤点!?ww