彼女と一緒に異世界を!
10.初日の終わり
 やっと正式なパーティーとなった俺達は、今日はもう日が暮れて来ていたので、また明日集まってクエストに行こうということになった。
 そこで俺は大きな壁にぶち当たることになった。
 今日この村に来たばかりなので当たり前と言えば当たり前なのだが、俺には泊まる場所がない。
 だから真っ先に宿を探すということを考えたが、驚くべきことに俺は今無一文だったのだ。
 てっきり神様がいくらか持たしてくれてると思ったのだが、現実はそこまで甘くなかったようだ。
 こんな大きな村の中で野宿はシャレにならないので、とりあえずジャンヌに相談してみた。
「所持金0って笑えないわよ...はぁ、わかったわ。今日は私の家に泊まりなさい」
「えっ、ジャンヌの家に!?」
 「そうよ。今からじゃ宿も空いてないだろうし、野宿より何倍もマシでしょ?」
「そりゃそうだけど...」
 いいのか?と、続けたくなる。
 女の子の家に、俺みたいなのが泊まるって色々まずくないか?
「もちろん寝る場所は分けるしあなたは覚えてないかもだけど、三日くらい一緒に野宿もしたんだから今更抵抗もないわよ。それに」
 そこまで言うと、ジャンヌは少しためらうような仕草をみせて
「私たちって、一応付き合ってるわけだから、その、不自然ではないでしょ?」
 若干俯きながら、ジャンヌはそう続けた。
 なんだか胸がざわざわ?する。
 元の世界では1度も味わったことのない感覚に、俺の中で少しだけ動揺が走る。
「そ、そうだよな!不自然じゃないよな!じ、じゃあ今日はお世話になります」
 動揺してたせいか言葉がどうも早口になってしまった。
 
 そして、俺はそのままジャンヌと一緒にジャンヌの家に向かった。
「ついたわよ」
 そこには二階だての建物があった。
 見た目は元の世界で言うところのアパートみたいだけど、なんか古くて小さいな。
「私の部屋は2階の1番右よ」
 1歩進むたびにギシギシと音を立てる階段を登って、奥へ進むと目の前には小さな扉が現れた。
「なぁジャンヌ。これってアパートだよな?」
 この世界で通じるかは分からないが、気になったので聞いてみる。
「そうそう。私って親と離れて暮らしてるから、お金も自分で稼いでるの。でも、そんなにいっぱい稼いでるって訳でもないから、一軒家を買うには全然お金が足りなくて...」
「へぇー。頑張ってるんだな」
 新社会人みたいな感じか?それよりもこの世界でもアパートがあることに驚いた。
 つくづく世界観が分からなくなるな。
 そんなことを思ってる間にジャンヌは手際よく鍵を開けていく。
「さぁ、入って。ここが私の部屋よ」
「お邪魔しまーす」
 ジャンヌのあとに続いて部屋へと入ってく。
  玄関からジャンヌの部屋の様子が見えた。
 ジャンヌの部屋は狭いがとても片ずいていて、床にはクッションが何個か置いてあった。
 白を基調としたシンプルな壁紙と、それに合わせるように白のベッドが置かれていた。
「おぉ。随分と片ずいてるな」
「特に置く物もないからね。それに、あまりにもごちゃごちゃしてると落ち着かないし」
 もしかしたらジャンヌはミニマリストなのかもしれない。
 そんなことを考えてると、何やらジャンヌがゴソゴソしている。 
「何してんの?」
「敷き布団かなんかないかなー、って思って。夜寝る時に、床で寝るんじゃ痛いから。...あ、あったあった」
 そう言って取り出したのは、よく見る感じの敷き布団だった。
「じゃあ私これで寝るから、コータはベッドでいいわよ」
「いや、いいって!そこまで気を使わなくても!」
 流石に泊まらせて貰ってる立場でベッドまで使わせて貰うのは申し訳ない。
 それにジャンヌが普段使っているベッドを使うというのも、かえって眠れなくなりそう。
「え、でも...」
 気を使ってくれるのは嬉しいが、迷惑を掛けたくわない。
「いや、俺って敷き布団の方が好きだからいいよ。ジャンヌはベッドの方つかいな」
「あ、そうだったの?じゃあわかったわ。敷き布団はここ置いておくわね」
 
 ジャンヌを納得させてから俺は敷き布団を敷き始める。
「私ちょっとシャワー浴びて来るから、自由にしてていいわよ」
 まぁ長いこと野宿だったらしいから相当気持ち悪いのだろう。
 俺は実質1日目だからそこまで気持ち悪いということもない。それよりも眠気の方が強いくらいだ。
(ちょっとだけ寝ようかな)
 そう思い俺は今敷いた布団に入り込む。
 
 今となって思い返せば、今日は色々なことがあったと思う。
 異世界に来て、ジャンヌと出会って、スライムを倒した。
 魔法も使ったし、パーティーもできた。
 なかなかハードだったけど、色々なことを知れたし、様々な体験もできた。
 つい先日までしていたゴミみたいな生活とは比べ物にならないくらい充実している。
 俺は今日新たな人生を、少しつづ、だけど確実に、前へ進んでると思えた。
 
 そんな充実感に満たされたまま、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
 
 
 そこで俺は大きな壁にぶち当たることになった。
 今日この村に来たばかりなので当たり前と言えば当たり前なのだが、俺には泊まる場所がない。
 だから真っ先に宿を探すということを考えたが、驚くべきことに俺は今無一文だったのだ。
 てっきり神様がいくらか持たしてくれてると思ったのだが、現実はそこまで甘くなかったようだ。
 こんな大きな村の中で野宿はシャレにならないので、とりあえずジャンヌに相談してみた。
「所持金0って笑えないわよ...はぁ、わかったわ。今日は私の家に泊まりなさい」
「えっ、ジャンヌの家に!?」
 「そうよ。今からじゃ宿も空いてないだろうし、野宿より何倍もマシでしょ?」
「そりゃそうだけど...」
 いいのか?と、続けたくなる。
 女の子の家に、俺みたいなのが泊まるって色々まずくないか?
「もちろん寝る場所は分けるしあなたは覚えてないかもだけど、三日くらい一緒に野宿もしたんだから今更抵抗もないわよ。それに」
 そこまで言うと、ジャンヌは少しためらうような仕草をみせて
「私たちって、一応付き合ってるわけだから、その、不自然ではないでしょ?」
 若干俯きながら、ジャンヌはそう続けた。
 なんだか胸がざわざわ?する。
 元の世界では1度も味わったことのない感覚に、俺の中で少しだけ動揺が走る。
「そ、そうだよな!不自然じゃないよな!じ、じゃあ今日はお世話になります」
 動揺してたせいか言葉がどうも早口になってしまった。
 
 そして、俺はそのままジャンヌと一緒にジャンヌの家に向かった。
「ついたわよ」
 そこには二階だての建物があった。
 見た目は元の世界で言うところのアパートみたいだけど、なんか古くて小さいな。
「私の部屋は2階の1番右よ」
 1歩進むたびにギシギシと音を立てる階段を登って、奥へ進むと目の前には小さな扉が現れた。
「なぁジャンヌ。これってアパートだよな?」
 この世界で通じるかは分からないが、気になったので聞いてみる。
「そうそう。私って親と離れて暮らしてるから、お金も自分で稼いでるの。でも、そんなにいっぱい稼いでるって訳でもないから、一軒家を買うには全然お金が足りなくて...」
「へぇー。頑張ってるんだな」
 新社会人みたいな感じか?それよりもこの世界でもアパートがあることに驚いた。
 つくづく世界観が分からなくなるな。
 そんなことを思ってる間にジャンヌは手際よく鍵を開けていく。
「さぁ、入って。ここが私の部屋よ」
「お邪魔しまーす」
 ジャンヌのあとに続いて部屋へと入ってく。
  玄関からジャンヌの部屋の様子が見えた。
 ジャンヌの部屋は狭いがとても片ずいていて、床にはクッションが何個か置いてあった。
 白を基調としたシンプルな壁紙と、それに合わせるように白のベッドが置かれていた。
「おぉ。随分と片ずいてるな」
「特に置く物もないからね。それに、あまりにもごちゃごちゃしてると落ち着かないし」
 もしかしたらジャンヌはミニマリストなのかもしれない。
 そんなことを考えてると、何やらジャンヌがゴソゴソしている。 
「何してんの?」
「敷き布団かなんかないかなー、って思って。夜寝る時に、床で寝るんじゃ痛いから。...あ、あったあった」
 そう言って取り出したのは、よく見る感じの敷き布団だった。
「じゃあ私これで寝るから、コータはベッドでいいわよ」
「いや、いいって!そこまで気を使わなくても!」
 流石に泊まらせて貰ってる立場でベッドまで使わせて貰うのは申し訳ない。
 それにジャンヌが普段使っているベッドを使うというのも、かえって眠れなくなりそう。
「え、でも...」
 気を使ってくれるのは嬉しいが、迷惑を掛けたくわない。
「いや、俺って敷き布団の方が好きだからいいよ。ジャンヌはベッドの方つかいな」
「あ、そうだったの?じゃあわかったわ。敷き布団はここ置いておくわね」
 
 ジャンヌを納得させてから俺は敷き布団を敷き始める。
「私ちょっとシャワー浴びて来るから、自由にしてていいわよ」
 まぁ長いこと野宿だったらしいから相当気持ち悪いのだろう。
 俺は実質1日目だからそこまで気持ち悪いということもない。それよりも眠気の方が強いくらいだ。
(ちょっとだけ寝ようかな)
 そう思い俺は今敷いた布団に入り込む。
 
 今となって思い返せば、今日は色々なことがあったと思う。
 異世界に来て、ジャンヌと出会って、スライムを倒した。
 魔法も使ったし、パーティーもできた。
 なかなかハードだったけど、色々なことを知れたし、様々な体験もできた。
 つい先日までしていたゴミみたいな生活とは比べ物にならないくらい充実している。
 俺は今日新たな人生を、少しつづ、だけど確実に、前へ進んでると思えた。
 
 そんな充実感に満たされたまま、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
 
 
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