彼女と一緒に異世界を!

ごま

6.彼女?

 俺の目の前には低い数値が並ぶステータス画面と、ドSのエルフ、ジャンヌがいる。

「リーザさん、その性格直した方がいいですよ?」

 ジャンヌがもっともな意見をエルフの女性、リーザに伝える。
 そう簡単に直るとも思わないが...

「私の性格の話は置いといて、コータさんのスキルに1つおかしなものがありました。」

 まるで無駄だとでも言うようにリーザは強引に話を変える。
 本当に僅かな時間しかリーザとは関わりが無いが、今後もこの性格が直ることは無いと確信した。

 リーザは話を続ける。

「それは [彼女と共に] というスキルです。私はここでずいぶんのあいだ受付をやっているため様々な方のギルドカードをお作りし、その方のステータス画面をチラッと見ております」

「え、それっていいんですか?」

 人のギルドカードを勝手に見る、ということが良いことでは無いことくらいは俺でも分かる。
 だって俺みたいなしょぼいステータスだったら恥ずかしいじゃん?(泣き)
 しかし、当の本人は知らんぷりを決め込んでいる。
本当にろくでもねぇな。こいつ。

 なおもリーザは話を続ける。

「今までは、見たことの無いスキルなどを発見すると、その都度ギルドの本部などに連絡してどんな能力なのか調べてもらったんですけど…」

 そこで1度区切ると、俺の目の前まで迫ってきて

「いまさっきこっそり本部に連絡して調べてもらったら、なんと、本部の持ってる全資料にも乗ってない初めてのスキルなんですよ!こんなのめったに無いことですよ!」

「い、いつの間に...じゃなくて。ということは過去前例が無いスキルってことですか?」

「そういうことになりますね」

 過去前例の無い唯一無二のスキル...
 その瞬間、色が失われたようなステータス画面が、まるで俺を祝福するかのように光り輝いて見えた。

「つまり今現在では、発動条件はおろかどんな効果なのかさえも分からない、といった感じですかね」

・・・輝きは失われた。
 未知のスキルということは期待が持てるがそれと同時に、効果も何もかもが未知。つまり分からないわけである。

 そしてこのスキルの名前って...

「失礼ですが、コータさんはお付き合いしてる方などいらっしゃいますか? 名前から推測するに発動条件などにも強く関わってくると思われます」

「いません」

 即答である。
 確実に来る質問だと思っていた、だから前もって言う準備をしておいたのだ。
 こういうのは言い訳などせずにはっきり言った方が気が楽だと思う。
 その分心へのダメージはでかい。

 はっきり言い切る俺に哀れみの目を向ける2人。

「やはりそうですか...そうなるとこのスキルは発動自体が難しいかもしれません」

 ん?ちょっと待て、今「やっぱり」って聞こえた気がする。気のせいかな?

「すいません、もう俺のスキルの話は後回しにして聞きたいことがあるんですけど」

 このままだとどんどん俺のメンタルが傷ついていくだけだということを悟り、この話に終止符を打つ。

「構いませんけど...それで、聞きたいこととはなんですか?」

 無事に話が終わったことに少しばかし安堵する。
 そしてそのまま本題に移る。

「俺、ジャンヌと同じような冒険者になりたいんですけど、どうすればなれるんですか?」

 そう、せっかく異世界に来たのだからそれっぽい冒険がしてみたいと思うのは普通のことだろう。
 それにうってつけなのが冒険者である。

 いまさっきのジャンヌの一連の流れを見ていてわかったことがある。
 それは、このギルドのシステムだ。
 おそらくだがギルドから直接依頼を受けて、それを達成したら報酬が貰える。ということだろう。
 こういうシステムはゲームなどでよく見るからすぐにピンと来た。

 冒険がしたい、だが、生きてくためには金がいる。

 そこでギルドの出番である。
 俺は冒険ができて、なおかつ金も手に入る。
 こんな美味しい話はそうそうないだろう。

 そのためにはジャンヌと同じような冒険者になる必要があるのだが...

「えーと、もう既にコータさんは冒険者ですよ? ギルドカードを発行した時点で冒険者の仲間入りです」

 何この後出しジャンケン感!

「じゃあ俺もギルドでクエスト受けたりできるんですね?」

「はい、可能です。ですが...」

 そこでリーザは一呼吸置いてから話を続ける。

「お1人で受けられるクエストは物の運搬などになります。モンスターなどの討伐は最低4人以上のパーティーからとなっております」

「マジですか?」

「マジです」

 簡単にまとめると、モンスターと戦いたければ仲間を連れてこいということか。
 あと2人も見つけるとか普通に無理そうじゃね?
 
 いや、正確には1人候補はいるのだが...
そう思い俺は後ろを振り返る。
 そこにはさっきからこちらをチラチラ見ている1人の少女、ジャンヌがいた。

「どーしたの?」

「あのさ、コータ。1つ提案があるの」

 一体なんだろうか。

「私がコータの彼女になってあげようか?」

「え?」

「その代わりにコータには私と一緒にパーティーを組んでもらう。どうかな?嫌だったら別にいいけど..」

「お、俺は全然いいけど、ジャンヌはいいの?俺なんかの彼女で」

 こんなにも言ってて悲しいセリフはないだろう。

「別に嫌いじゃないし、何よりこれじゃあスキルが分からないままじゃない」

「それはそうだけど…」

「そう、これはスキルのため。別にコータのことが好きとかじゃないからね!」

 そこまではっきり言われると少し凹むわぁ。

「で、どうするの?付き合うのか付き合わないのか」

 そんなの一択に決まってるだろ。

「もちろんよろしくお願いします!」



この日、俺の人生で初めての彼女が出来ました。

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