彼女と一緒に異世界を!

ごま

5. ステータス

「ようこそ!私の住んでるオニ村へ!」

「おぉー...」

そこは遠目から見ても分かる程の高い壁で周りを囲われており、村と呼ぶにはあまりにもデカかった。

「何ボケーっとしてるの?さっさと行きましょ」

「お、おう。そうだな」

予想とは少しばかし違ったものの、俺とジャンヌは再び目的地の[オニ村]と呼ばれる巨大な村に向かっていった。



ジャンヌに案内され、オニ村の入口と思わしき所に来た。
そこには周りを囲う高い壁のような、侵入者やよそ者を寄せ付けない! といった感じはなく、開け放たれた大きな門の横に門番と思われる、あごひげが特徴的な初老の男性が1人いるだけだった。
ジャンヌはその門番の男性に向かって大きな声で話しかける。

「ニックさーん!ただいまー!」

ジャンヌの呼びかけに気づき、ニックと呼ばれた男性は同じく大きな声で返事をする。

「おー、ジャンヌちゃんやっと帰ってきたかー。初クエストは無事クリアしたのかい?」

「もちろん!よゆーだったわ」

「そりゃあー良かった。...所でその後ろの人は誰だい?」

2人が話してる間ずっと蚊帳の外だった俺を指さしてニックさんが言う。

「この人は帰り道に私がモンスターに襲われてる所を助けてくれた人よ。今は訳あって付いてきてくれてるの」

ジャンヌがざっくりと説明する。

「なるほどなー。ようは、命の恩人ってわけだ。だったらこの村でゆっくり休むといい」

「ありがとニックさん。そういう訳だから早く入りましょ。コータ」

いや、セキュリティ緩すぎないか?
ともあれ、何事もなく村に入れたのは良かった。ニックさんには感謝だな。
そんな事を考えながら門をくぐると、

「なんだこれ...」

そこには多くの建物が立っていて、目の前に広がる大きな道の脇には祭りなどでよく見るような屋台が数多く立っており、見るからに活気に満ち溢れていた。
しかし俺が驚いたのはそこじゃない。
俺が目を引かれたのはここらに集まる人達の姿である。

あるものは猫科の動物のような耳を頭から生やしており、またあるものは腰の部分から何の生き物かは分からないが尻尾のようなものを生やしていた。
人間的特徴を感じられる奴もいれば、明らかに人外といった感じの奴もいる。
全部が全部そういう奴という訳ではなく、俺のように普通の人間もいる。
見た目はただの仮装のようだが、尻尾や耳は妙にリアルでときおり動いている。

「こんなに獣人がいるの珍しいでしょ?他所の村とか町じゃあんまり見ないけどここ[オニ村]では、住んでる人の3割くらいが獣人なのよ。」

「そうなの!?」

この賑わいっぷりと村の規模からして、相当人口がいることは間違いないだろう。
そうなると、3割 と言えども相当な人数になることは容易に想像つく。
この世界での獣人がどういう感じか知らんが、普通に馴染んでるということは普通の人間とあまり変わらないのだろう。
それにしても...

「いよいよ現実味が無くなって来たなぁ」

俺はため息混じりにそんなことを呟いていた。





屋台が立ち並ぶ大きな道を進み、その道の横にある一際大きな建物の前に俺たちは立っていた。

「ここがオニ村のギルドよ」

「これがギルドか...」

ジャンヌが「早くクエスト完了の報告がしたい!」と言うので、屋台などをスルーして真っ直ぐここまで来たのだ。
異世界の屋台というだけあって、並んでる物も見たこと無い物ばかりだった。
興味もあったがジャンヌが急かすので何も買えなかった。
後でもう1回見てこよっと。

俺が1人そんな事を考えているあいだに、ジャンヌはギルドの入口にある木製の扉を開き中に入って行く。
俺も遅れないように慌ててジャンヌの後に続く。

ギルドの中は、ドタバタしていた。

ギルドの中では、職員と思われる同じような制服を着た女性達が各々何らかの書類や、資料の束を手に持ちギルド内を行き来していた。
数で言えば15〜18人程だろうか?中々の人数である。
そんな大勢の人があっちやこっちを行き来しているのだから、ドタバタという表現が1番正しいだろう。

そして、そんな室内のドタバタには目もくれず、ジャンヌはそのまま歩き続ける。
ジャンヌの進行方向には、窓口のような場所から同じくこのドタバタなど意に介さないといった様子でこちらを見ている1人の女性がいた。 

その女性の見た目はこれまた現実離れした美しさで、
窓から差す日光に当てられ薄く輝く銀髪がとてもクールで大人びていた。
1番特徴的なのが、普通より明らかに長い2つの耳である。
おそらく種族はエルフだろう。
俺が知ってる限りだとエルフは長命というイメージがあるがそうだったりするのだろうか。

そんなことを考えてるあいだにジャンヌはエルフの女性の前まで行っていた。
そして何やら話始めた。

「あら、ジャンヌさん。クエスト達成の報告ですか?」

「はい。途中トラブルはありましたが依頼は無事やり遂げました」

「それはご苦労さまでした。では、ギルドカードを拝見致しますね」

そう言われジャンヌはエルフの女性になにかのカードを手渡した。
それを受け取ると、エルフの女性はジャンヌのカードに手をあてて

「更新」

そう呟くと、突如ジャンヌが渡したカードが淡く輝く。

「なるほど...グリーンスライムとの戦闘があったんですね。依頼もちゃんと達成出来ているようですね。お疲れ様でした。長期間のクエストということで報酬は2万ゴールドになります。はい、どうぞ」

「ありがとうございます!」

この世界での通貨はゴールドと呼ぶのか覚えておこう。
それより、なんでスライムとの戦闘があったなんてわかったんだ?
今までの話でもジャンヌはスライムについては話してないはずだが...

「コータ、もしかしてギルドカード見るのは初めて?」

「え?まぁ、そうだけど」

「だったら驚くのも無理ないわね。これはギルドカードって言ってね、自分のステータスや今受けているクエストの進行状況とかが分かるすごいカードなのよ。そのクエスト中に行われた戦闘とかも自動で記録してくれるのよ。」

ずいぶんとハイテクだな。
この世界は俺らの世界よりも技術が進歩しているのかな?

「気になるんだったらあんたも作ってみたら?ギルドカード。作るのは無料でできるし、作っといて損はないわよ」

「作ってみたいけど、どーやって作るの?」

素性の知れない俺みたいな奴がギルドカードなんて作れるのだろうか?

「ギルドカードでしたらこちらの機械に手を乗せて頂ければ数十秒でお作りできますよ」

「俺、この村の住人じゃありませんよ?それでも大丈夫なんですか?」

「はい。基本的にどなたでもお作りできますよ」

「だってよコータ。すぐ終わるし作って貰いなよ」

「じゃあお願いします」

 こうして俺は、初めてギルドカードを作って貰った。

言われた通りに、機械の上に手を置いて待っていたら、わずか10秒程で出来た。 簡単!

「では、こちらがコータさんのギルドカードになります。」

そう言ってエルフの女性から手渡されたのは1枚のカードだった。

「これがギルドカードか...」

「はい。それがあるとクエストの受注や、コータさんご自身のステータスの確認などができますよ」

「ステータスが見れるんですか!」

「はい。一言 ”ステータスオープン” とでも言って頂ければ見れますよ。」

異世界転生してきた俺のステータス...正直とっても気になる。
異世界転生系の主人公といえば、高ステータスでチートスキルのような物を何かしら持っている。
そして今の俺はその主人公ポジション!
高ステータスやチートスキルを持ってることはほぼ確と言ってもいいだろう。

俺は期待に胸を踊らせながら自分のステータスを見るための言葉を発する。

「ステータスオープン!」

すると俺のギルドカードが光り輝き、その光が文字となって空気中に俺のステータスを映し出す。



________________________ 

ナカムラ   コータ

職業:無し

 Lv13

攻撃力            :70
魔法攻撃力    :0
瞬発力            :90
魔力量            :100
スピード        :90

  使用可能魔法
・空間魔法

  スキル
・身体能力アップ(小)
・コミュ力アップ(小)
・彼女と共に


________________________



...なんか想像してたのと違うんですが?

「どんな感じだった?」

ジャンヌが俺の横からステータス画面を覗き込んでくる。

「...低いね」

分かりきったことを、わざわざ口に出すジャンヌ。
あれ?高ステータスは?チートスキルは?

「ステータスは冒険者の平均を全部下回っていますね。おまけに魔法は空間魔法のみで、スキルも農民の方でも持っているようなごく平凡な物ですね」

ジャンヌと同じように俺のステータスを覗き込んでいんたエルフの女性が言う。
ジャンヌに言われるならまだ分かるが、なんでほぼ初対面の人にこんな辛辣なコメントを貰わねばならんのだ。

「ちょっとリーザさん!いくら何でも言い過ぎですよ!」

ジャンヌ、君も人のことを言えないよ?
このエルフの人はリーザと言うらしい。覚えておこう。
そしてジャンヌのもっともな正論を受けても、その微笑みを絶やす事無くリーザさんは答える。

「あら、これは失言でしたね。どうか忘れてください」

「いや、無理ですけど?」

我慢出来ずに口に出す。

「ていうかあなたと俺って完全に初対面ですよね?よくこんなに言えますね?」

「だって、あんなにウキウキしていた人のこんな泣きそうな顔が見れるって思うと自分の気持ちを抑えられなくて、つい」

え、なに?
つまりこの人は俺を泣かせたくてわざと酷いことを言ったってこと?

その時、俺は確信した。

「この人 ドS だ!」


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