彼女と一緒に異世界を!
3. 魔法と魔物
目の前の少女..ジャンヌの自己紹介を聞き終えた後、俺達はジャンヌの住んでいる家があるという村に向かっていた。
「そういえば、ここからその村までどれくらいあるんだ?」
「あと5時間くらいすれば着くわよ」
「あと5時間!?」
もう既に3時間ほど歩いているというのに、あと5時間もあると聞いて驚きが声に出た。
ただでさえ普段から家に引きこもっていて、動いてない俺のような人種には相当厳しい事だ。
現に俺の足は既に棒のようになっていて、汗も滝のように流れて...ない?
そこで俺は今更ながらに自分の体の異変に気付く。
これだけの長時間足場の悪い山道をなかなかに早いペースで歩いているというのに、足も正常に機能しており、なおかつ汗もごく少量しか流れていない。
普段の調子であれば1時間も山を登れば、手ぬぐいが濡れ雑巾のようになるほど汗をかくというのに(まぁ普段の生活で自ら山を登ろうとも思わないが)
流石にただ調子がいい、というわけではないだろう。
そこで俺はあの神様のことを思い出す。
気を利かせてこの世界の事が書かれた本まで持たせてくれた人だ、きっと俺の体力などを心配して多少体力を上げておいてくれたのだろう。
俺はそう都合の良い解釈をしてから、見てるかも分からない神様に向かって1人心の中で感謝する。
「そう言えばジャンヌは疲れないの?ずっとあるいてるけど」
自分が疲れない理由はわかった。
それと同時に生まれた疑問がある。
それは汗ひとつかかずに平然と隣を歩いてるジャンヌに対する質問だった。 
ここまでの道中で俺よりもだいぶ年下だということが判明したジャンヌは、精神的にも肉体的にも幼いためこの長距離は厳しいと思っていたが、俺よりもらくらくといった感じで歩いているため驚いた。
気になる事でもあるし、それよりも何か会話の切っ掛けを作らなくては!という謎めいた使命感から起こった言動だった。 
もしも俺が欲しいと言った彼女が、隣を歩く少女..ジャンヌ・アメリアだったとしたら、このままだと何も無いまま終わってしまう。
いや、特に何かしたいとかやましい考えとかでは無い。本当だよ?
それに、もしも俺の言う彼女じゃ無かったとしても、ここで好印象を与えられるなら与えておいて損は無い。
ジャンヌが疲れたと言うのなら、おぶってあげるのもやぶさかではない。
そんな俺の紳士的な考えなどつゆ知らず、ジャンヌは質問に答える。
「これくらいどうってことないわよ。だって私、冒険者だし」
イマイチ答えになってないような返答を貰い困る。
もしかして、冒険者だからこんな事など慣れてるということか?でも...
「でも、今回が初めての依頼って言ってたよね?」
またしても生まれた疑問が今度はそのまま口に出る。
そう言うとジャンヌは口を曲げ、
「冒険者だから体力とかは人一倍鍛えてるって意味ですー。悪かったわね、ペーペーの初心者冒険者で!」
やばい、怒らせてしまった空気を変えなければ!
そう思い俺は強引に話をかえる。
「そ、それよりお腹減らない?ちょうどそこに切り株が2つあるから、一緒に座って食べようよ」
「なんか上手く逃げられた気がするけど、まぁいいわ。たしかにお腹減ったから座ってお昼にしましょうか」
な、何とかなって良かった。
そう思い、安堵し上を見上げると日本となんら変わらないような青空が空1面に広がっていた。
ちょうどお昼時らしい。
ジャンヌは手前の切り株に腰掛けると手早く自分のバックから軽食と水筒のような物を出すと、すぐに食べ始めた。
どうやら相当腹が空いてたらしい。
同じようにジャンヌの隣の切り株に腰を下ろし、軽食を取り出すべく自分のバックを探る。
・・・もう一度、探ってみる。
しかし何度探しても俺の分の食べ物は見つからなかった。
「ん?どうかしたの?そんなに慌てて」
メインを食べ終え、デザートと思われる物に口を付ける直前の体制で止まったジャンヌが、慌てふためく俺を見ている。 
「お、俺の弁当がないんだ荷物のどこを探しても!」
空腹に胃を締め付けられる不快感を無視しつつ言う。
「あんた空間魔法みたいなの使えたわよね?その中じゃない?」
「空間魔法!?俺の!?」
「俺の!?って、他に誰がいるのよ」
瞬間俺の心に何か電流のような物が走った感覚がした。
魔法。それはRPGゲームなどをやった事がある人からしたら、ある種の憧れのような物ではないだろうか?
かく言う俺も1度は使ってみたいと思った事がある。
しかし、現実で「魔法使えるようになりたい!」なんて言おうもんなら、頭のおかしい子扱いされるのは免れないだろう。
そう、魔法とは憧れる夢でもあると同時に叶えられない夢でもあるのだ。
だが俺の今の状況はこうだ。
魔法を使えると言われ、しかも空間魔法というなんかかっこいい感じ(個人的な意見)の魔法が使えるのだ!
魔法が使えるという確認が取れた所で俺はジャンヌに問う。
「魔法って、どうやって使うの?」
「ッ!?むぐっ..」
もぐもぐとデザートを頬張っていたジャンヌが俺の質問に驚きそして苦しそうに自分の胸を叩いている。
どうやら喉に詰まらせたらしい。大丈夫かな?
俺の心配をよそに、ジャンヌはまくし立てるように話す。
「魔法の使い方なんて普通忘れる!?記憶が無いにしても分かるでしょ普通?」
いや、分からないから聞いているんだが...
とりあえずジャンヌには落ち着いていただこう。
「お、落ち着いて。落ち着いて。」
「むぅー...わかったわよ」
思ってたより素直で驚く。
「冗談でもなんでも無く本当に忘れたんだ。頼むから教えてくれないか?できるだけわかりやすく」
「冗談って言ってくれた方がまだ良かったわ。まったくしょうがないわね」 
そう言うとジャンヌは薄くため息を吐くと魔法の使い方の説明を始めた。
「正直、教えることなんてほとんど無いんだけどね。魔法を使う時は、その魔法を使って何をしたいかを強くイメージするの。そしたら何か発動の合図みたいなのを出せば発動出来るわよ。例えば..」 
そう言うとジャンヌはおもむろに立ち上がり、すぐ側にある木に向かって手を向ける。
そして目をつぶり、ただ一言 
「穿て」 
そう言った矢先にジャンヌが手を向けた先にある木の幹に大きなへこみが出来る。
その衝撃に耐えかねた木がなす術なくへこんだ所から折れていく。
「今みたいになんでもいいから合図を出せば自分が思った通りに魔法が飛んでいくわ。ちなみに今の魔法は風属性の攻撃魔法ね」 
「おぉ..すげぇ...」
驚きのあまり俺の語彙力が失われる。
「でしょう?ほら、あんたもやってみなさいよ」 
自慢げに胸をはるジャンヌに言われ、俺もチャレンジしてみる。 
「あ、そうだ。言い忘れてたけど、魔法使うのに魔力っていうのが必要だからね。魔力の容量は人それぞれ違うから魔法使い過ぎて魔力切れをおこさないようにね」
「わかった!」   
魔法を使うのには魔力と言うのが必要らしい。
でもまぁそんなすぐには切れることもないだろう。
気を取り直して俺は、集中するべく目をつぶり想像力を働かせる。
イメージするのは、俺が魔法で弁当を取り出す姿。
空間魔法がどのような物か分からないので、とりあえずワープホールのような物に手を突っ込んでる姿を想像する。
このワープホールのような物は別次元に繋がってて、そこに俺は物を出し入れしている...という設定だ。
ある程度のイメージを固めて俺は魔法発動の合図となる声をかける。
「起動!」
中二病チックな掛け声と共に俺の目の前に現れたのは、俺のイメージしたワープホールもどきと瓜二つの物だった。
「出来た!」
「おー、ちゃんと出来たのね。でも、喜ぶのはまだ早いでしょ?」
彼女の言う通りまだ本題を達成していない。
俺はつばを飲み込みゆっくりとワープホールもどきの中に手を突っ込む。
そして、その中で腕をぶらつかせていると硬い物に手が当たる。 
「来たっ!」 
そう言うと俺はその物体を掴みワープホールもどき(めんどくさいので以下ゲートと言う)から取り出す。 
そして俺の手元を見てみると、よく見る形の四角い弁当箱が握られていた。
「良かったー、ちゃんと成功したわね」
隣で見守っていたジャンヌが俺に声をかける。
「あぁ、無事にな」
安堵し、近くの切り株に腰掛ける。
おそらく魔力を使ったからだろう、少しばかりの疲労感に苛まれる。
「さぁ!お弁当も見つかったことだし、ちゃちゃっと食べて早く行き...」 
ジャンヌの言葉は突然の乱入者の登場によって途中で止まってしまう。
その乱入者とは… 
「グリーンスライムよ!」 
「これがグリーンスライム?」
俺の目の前には、ゼリー状の腰ほどの高さしかない球体の中に人の拳ほどの大きさの眼球が入ったモンスターがいた。
「そういえば、ここからその村までどれくらいあるんだ?」
「あと5時間くらいすれば着くわよ」
「あと5時間!?」
もう既に3時間ほど歩いているというのに、あと5時間もあると聞いて驚きが声に出た。
ただでさえ普段から家に引きこもっていて、動いてない俺のような人種には相当厳しい事だ。
現に俺の足は既に棒のようになっていて、汗も滝のように流れて...ない?
そこで俺は今更ながらに自分の体の異変に気付く。
これだけの長時間足場の悪い山道をなかなかに早いペースで歩いているというのに、足も正常に機能しており、なおかつ汗もごく少量しか流れていない。
普段の調子であれば1時間も山を登れば、手ぬぐいが濡れ雑巾のようになるほど汗をかくというのに(まぁ普段の生活で自ら山を登ろうとも思わないが)
流石にただ調子がいい、というわけではないだろう。
そこで俺はあの神様のことを思い出す。
気を利かせてこの世界の事が書かれた本まで持たせてくれた人だ、きっと俺の体力などを心配して多少体力を上げておいてくれたのだろう。
俺はそう都合の良い解釈をしてから、見てるかも分からない神様に向かって1人心の中で感謝する。
「そう言えばジャンヌは疲れないの?ずっとあるいてるけど」
自分が疲れない理由はわかった。
それと同時に生まれた疑問がある。
それは汗ひとつかかずに平然と隣を歩いてるジャンヌに対する質問だった。 
ここまでの道中で俺よりもだいぶ年下だということが判明したジャンヌは、精神的にも肉体的にも幼いためこの長距離は厳しいと思っていたが、俺よりもらくらくといった感じで歩いているため驚いた。
気になる事でもあるし、それよりも何か会話の切っ掛けを作らなくては!という謎めいた使命感から起こった言動だった。 
もしも俺が欲しいと言った彼女が、隣を歩く少女..ジャンヌ・アメリアだったとしたら、このままだと何も無いまま終わってしまう。
いや、特に何かしたいとかやましい考えとかでは無い。本当だよ?
それに、もしも俺の言う彼女じゃ無かったとしても、ここで好印象を与えられるなら与えておいて損は無い。
ジャンヌが疲れたと言うのなら、おぶってあげるのもやぶさかではない。
そんな俺の紳士的な考えなどつゆ知らず、ジャンヌは質問に答える。
「これくらいどうってことないわよ。だって私、冒険者だし」
イマイチ答えになってないような返答を貰い困る。
もしかして、冒険者だからこんな事など慣れてるということか?でも...
「でも、今回が初めての依頼って言ってたよね?」
またしても生まれた疑問が今度はそのまま口に出る。
そう言うとジャンヌは口を曲げ、
「冒険者だから体力とかは人一倍鍛えてるって意味ですー。悪かったわね、ペーペーの初心者冒険者で!」
やばい、怒らせてしまった空気を変えなければ!
そう思い俺は強引に話をかえる。
「そ、それよりお腹減らない?ちょうどそこに切り株が2つあるから、一緒に座って食べようよ」
「なんか上手く逃げられた気がするけど、まぁいいわ。たしかにお腹減ったから座ってお昼にしましょうか」
な、何とかなって良かった。
そう思い、安堵し上を見上げると日本となんら変わらないような青空が空1面に広がっていた。
ちょうどお昼時らしい。
ジャンヌは手前の切り株に腰掛けると手早く自分のバックから軽食と水筒のような物を出すと、すぐに食べ始めた。
どうやら相当腹が空いてたらしい。
同じようにジャンヌの隣の切り株に腰を下ろし、軽食を取り出すべく自分のバックを探る。
・・・もう一度、探ってみる。
しかし何度探しても俺の分の食べ物は見つからなかった。
「ん?どうかしたの?そんなに慌てて」
メインを食べ終え、デザートと思われる物に口を付ける直前の体制で止まったジャンヌが、慌てふためく俺を見ている。 
「お、俺の弁当がないんだ荷物のどこを探しても!」
空腹に胃を締め付けられる不快感を無視しつつ言う。
「あんた空間魔法みたいなの使えたわよね?その中じゃない?」
「空間魔法!?俺の!?」
「俺の!?って、他に誰がいるのよ」
瞬間俺の心に何か電流のような物が走った感覚がした。
魔法。それはRPGゲームなどをやった事がある人からしたら、ある種の憧れのような物ではないだろうか?
かく言う俺も1度は使ってみたいと思った事がある。
しかし、現実で「魔法使えるようになりたい!」なんて言おうもんなら、頭のおかしい子扱いされるのは免れないだろう。
そう、魔法とは憧れる夢でもあると同時に叶えられない夢でもあるのだ。
だが俺の今の状況はこうだ。
魔法を使えると言われ、しかも空間魔法というなんかかっこいい感じ(個人的な意見)の魔法が使えるのだ!
魔法が使えるという確認が取れた所で俺はジャンヌに問う。
「魔法って、どうやって使うの?」
「ッ!?むぐっ..」
もぐもぐとデザートを頬張っていたジャンヌが俺の質問に驚きそして苦しそうに自分の胸を叩いている。
どうやら喉に詰まらせたらしい。大丈夫かな?
俺の心配をよそに、ジャンヌはまくし立てるように話す。
「魔法の使い方なんて普通忘れる!?記憶が無いにしても分かるでしょ普通?」
いや、分からないから聞いているんだが...
とりあえずジャンヌには落ち着いていただこう。
「お、落ち着いて。落ち着いて。」
「むぅー...わかったわよ」
思ってたより素直で驚く。
「冗談でもなんでも無く本当に忘れたんだ。頼むから教えてくれないか?できるだけわかりやすく」
「冗談って言ってくれた方がまだ良かったわ。まったくしょうがないわね」 
そう言うとジャンヌは薄くため息を吐くと魔法の使い方の説明を始めた。
「正直、教えることなんてほとんど無いんだけどね。魔法を使う時は、その魔法を使って何をしたいかを強くイメージするの。そしたら何か発動の合図みたいなのを出せば発動出来るわよ。例えば..」 
そう言うとジャンヌはおもむろに立ち上がり、すぐ側にある木に向かって手を向ける。
そして目をつぶり、ただ一言 
「穿て」 
そう言った矢先にジャンヌが手を向けた先にある木の幹に大きなへこみが出来る。
その衝撃に耐えかねた木がなす術なくへこんだ所から折れていく。
「今みたいになんでもいいから合図を出せば自分が思った通りに魔法が飛んでいくわ。ちなみに今の魔法は風属性の攻撃魔法ね」 
「おぉ..すげぇ...」
驚きのあまり俺の語彙力が失われる。
「でしょう?ほら、あんたもやってみなさいよ」 
自慢げに胸をはるジャンヌに言われ、俺もチャレンジしてみる。 
「あ、そうだ。言い忘れてたけど、魔法使うのに魔力っていうのが必要だからね。魔力の容量は人それぞれ違うから魔法使い過ぎて魔力切れをおこさないようにね」
「わかった!」   
魔法を使うのには魔力と言うのが必要らしい。
でもまぁそんなすぐには切れることもないだろう。
気を取り直して俺は、集中するべく目をつぶり想像力を働かせる。
イメージするのは、俺が魔法で弁当を取り出す姿。
空間魔法がどのような物か分からないので、とりあえずワープホールのような物に手を突っ込んでる姿を想像する。
このワープホールのような物は別次元に繋がってて、そこに俺は物を出し入れしている...という設定だ。
ある程度のイメージを固めて俺は魔法発動の合図となる声をかける。
「起動!」
中二病チックな掛け声と共に俺の目の前に現れたのは、俺のイメージしたワープホールもどきと瓜二つの物だった。
「出来た!」
「おー、ちゃんと出来たのね。でも、喜ぶのはまだ早いでしょ?」
彼女の言う通りまだ本題を達成していない。
俺はつばを飲み込みゆっくりとワープホールもどきの中に手を突っ込む。
そして、その中で腕をぶらつかせていると硬い物に手が当たる。 
「来たっ!」 
そう言うと俺はその物体を掴みワープホールもどき(めんどくさいので以下ゲートと言う)から取り出す。 
そして俺の手元を見てみると、よく見る形の四角い弁当箱が握られていた。
「良かったー、ちゃんと成功したわね」
隣で見守っていたジャンヌが俺に声をかける。
「あぁ、無事にな」
安堵し、近くの切り株に腰掛ける。
おそらく魔力を使ったからだろう、少しばかりの疲労感に苛まれる。
「さぁ!お弁当も見つかったことだし、ちゃちゃっと食べて早く行き...」 
ジャンヌの言葉は突然の乱入者の登場によって途中で止まってしまう。
その乱入者とは… 
「グリーンスライムよ!」 
「これがグリーンスライム?」
俺の目の前には、ゼリー状の腰ほどの高さしかない球体の中に人の拳ほどの大きさの眼球が入ったモンスターがいた。
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