チートな俺の異世界生活

日ノ丸太郎

11話 チートな俺とゴブリン達の村

 少し冷えた風が辺りに当たる。

「まぁ、落ち着け豚男 詳しい話しは後で話す」

「チッ」

豚男は荒々しくその手を離した。

健太達は重い空気を持ったままギルドをあとにした。








「さて、そろそろ話してくれるか主」

街を出て少し歩いたところで、痺れを切らした豚男がそう言った。

「…わかった。 理由としては俺の最終目標のためだ」

「最終目標? なんだそりゃ」

「それはまだ内緒だ、だが いずれは話すつもりだ」

「あっそ…まぁ、テメーが何処に行こうがついてくが、気にくわなかったら自害してやるからな」

「それは心強いな…で、ゴブリン討伐の件だが、一つ聞きたいことがある ゴブリン達の村にいるゴブリンはお前達みたいに話せるのか?」

豚男は首を傾げる。
すると、口を開いたのは珍しく高太だった。

「話せますよ一応。 ですが、先輩が中の上みたいなゴブリンでしたので、主の感覚で言うのならカタコトな話しかたのゴブリンが多いいです」

「何だそういうことか」

「ならいい、というか最悪お前達がいるからな…どちらにしても俺はゴブリンを殺すきはない」

「でなかったら、死んでもテメーを俺は切るつもりだ」

「そうだろうな」

少しずつ森の中に入っていく健太達。 健太達は道ではなく、草が無尽蔵にはえわたっているところを今歩いている。

「それでだが、勿論お前達はこの森に詳しいよな?」

「まぁ、そこらの人間よりかは詳しいと思うぜ」

「よし、ではこれから早速お前らの故郷にゴブリン村に行こうと思う」

「は?」

豚男は足を止める。

「クエスト受けてませんよね主」

そう言ったのは高太だった。

「受けてはいないが、言っただろう時間がないんだ」

「まぁいい、案内してやる」



豚男が健太の前に出て歩きはじめてから、かなりの時間が経った。 

少しお腹が自身を締め付けるような気がしてきたころ豚男は足を止め後ろを向いた。

「この先を真っ直ぐ行けばすぐだ」

「わかった、案内ありがとうお前達はここで待っていろ」

健太は木の剣を手に持ち歩き始めた。

「ここで待ってるのはいいが、本当に殺さないんだろうな」

「だから、殺さないと言ってるだろ? 少し眠っていて貰うだけだ」

今の健太の言ったことに対してしょうがないのはわかっていても、眠ってもらうことに対して納得のいかない豚男だった。

(ここからは完全にゴブリン達の領域…そして、俺の今後を決める最初の一手…弓が少し心配だな)

一歩、また一歩と近づいていく。 いくら、喧嘩をよくしていた健太といえどゴブリン達の村に単独で乗り込むのは、くるものがあるらしい。

(…見えてきたな)

ゴブリン達の村は尖端の尖った、木の棒で建てられたと思われる柵におおわれていた。 門はないものの、入り口と思われる場所にはゴブリンが2体立っていた。

(最初は2体か…果たして合計で何体いるのだか)

「ナ、ナンダオマエ!?」

「ン? ニ、ニンゲン!?」

「やぁ、門番ゴブリン お前達の親玉に話しがあってきたんだが」

ゴブリンニ体は先の尖った、中くらいの太さの木の槍を健太に向けた。

「オイ、オマエハ アニキヲヨンデコイ」

「ワカッタ」

そう言うと門番ゴブリンの片方は村の中に入って行った。

「…親玉さえ呼べば痛い目にあわなくてすむぞ?」

「フン、ニンゲンノヒトリクライオレヒトリデジュウブンダ」

「俺をそこらの奴等と一緒にすると痛い目みるぞ?」

門番ゴブリンは健太の忠告に聞く耳を持たず、健太に向かって突っ込んできた。それに合わせて健太も突っ込む。

(槍はリーチが問題だが、早さでカバーすれ…!?)

「キィ!!」

ゴブリンに剣のリーチが届いた瞬間。健太の予想をはるかに超える反応速度で門番ゴブリンは駆け出した健太に向かって、槍を横に振った。

「く…!」

ギリギリのところで健太も槍をガードする。
健太は槍をガードした体勢から走りだす。
木と木が擦れる音が二人の鼓動を加速させる。 

門番ゴブリンはバックジャンプをして、槍を引き戻し、健太めがげて突き刺した。

(ここは、魔力付与(エンチャント)を使えばコイツの槍は壊れるだろうが、それではつまらない)

健太は槍を剣の樋の部分で止める。

(持っているところが低いな…ここは)

健太も少しさがり、槍をギリギリのとこりでかわす。 そして、槍を切り上げた。
力は状況も状況だが、健太のほうが上だった。

「グギィ!?」

「今!!」

体勢を崩した門番ゴブリンのもとに、健太は門番ゴブリンに一気に駆け寄る。 

「はあぁぁぁぁ!!!」

健太は門番ゴブリンの胸と腹の間を叩き斬った。 健太の武器は木の剣のため、血は出ることはなく、門番ゴブリンは軽くとんだだけですんだ。
それでも、門番ゴブリンを気絶されるには充分な火力だった。

「よし、一体目…」

(この調子では複数体来たら、魔法を使うしかなさそうだな)

「アニキ! アイツヤラレチマッテル!」

奥からゴブリン15体と門番ゴブリンが言っていた.兄貴と思われるゴブリンが走って来た。

「お前があいつらが言っていた人間か…どうしてこの場所がわかったのかは知らんが、そんなもの関係ない、お前は俺が倒す」

(背が俺より 少し大きいくらいか…先程のゴブリンは豚男より少し小さいくらいだったが…まぁ とは言っても背よりもあの筋肉のほうが厄介だな)

「かかってこい…ゴブリン」

「俺の名前はゴブリンナイト…王に職を与えられし者」

健太がそう言うとゴブリンナイトは自らの名を名乗り鉄の剣を鞘から抜き、健太めがけて突っ込んでいった。

(やはり、アニメや漫画とは違い実物は半端ないな…圧で腰が抜けそうだ)

健太の何処かに眠る彼は逃げることを望んでいるらしい。 そんな彼の感覚を完全に断ち、健太は木の剣を強く握った。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「魔力付与(エンチャント)…」

木の剣と鉄の剣がぶつかるその瞬間、その衝撃波が辺りの草を大きく揺らした。

「ぐは…!」

健太の胸らへんに押し潰される感覚が襲う。

(何…! そうだ、戦闘は剣だけではない!
コイツは今膝蹴りをしたんだ)

健太は後ろにとぶ。

「ふん、こんな行動も読めないとは…まさか戦闘経験が少ないのか? なら、運がない。 俺はCランクの冒険者を倒した事もある もし、お前がC以下なら俺には勝てない」

(ク…力では互角だが、知識が乏しすぎる…ん? いや、待て…少々癪にさわるが、いつもどうりにやるか)

健太は立ち上がり再び剣を構える。

「来いよゴブリンナイト」

不敵な笑みを浮かべて健太は言った。

「言われなくともそうするつもりだ!!!」

再び突っ込むゴブリンナイト。 健太の目の前まで行くと剣を縦に振り下ろした。

健太はこの一撃を予測していたのか、振り下ろされる剣の右方向に踏み出し、ゴブリンナイトの腹を叩き斬る。

(速い!? この人間、動きが変わった!?)

次は健太がゴブリンナイトをとばしたと思われたが、ゴブリンナイトは少しとばされるも、踏みとどまった。

(クソ、だが 今のはまぐれだろう次は横に)


健太がつめてきたため、ゴブリンナイトは急いで体勢を持ち直し、健太が剣のリーチに入った瞬間に剣を横に振る。

「グ…」

次は逆から斬られるゴブリンナイト、健太は木の剣を片足に当て、バランスを崩した瞬間を狙い、剣を力一杯に振りゴブリンナイトの後頭部を吹っ飛ばした。

「……!!!?                   ゴハァ…」

ゴブリンナイトは味わったことのない痛みに困惑しながら吹っ飛んだ。そして、木に勢いよく頭をぶつける。

(クソ! このままでは埒(らち)があかない、ここは一気に決めるしかない)

「ふぅう…ひぃい…ふぅぅ…」

頭から血を流すゴブリンナイト。

(よまれたら駄目だ、自然にぶっ殺す!)

先程までと同じように距離をつめるゴブリンナイト。

(このまま行けば、先に倒れるのはゴブリンナイトのほうだ。 いつもなら今ので終わるのだがな)

「風…」

「何!?」

(反応が遅れたな人間!!!!)

「斬りぃ!!!!」

瞬間、ゴブリンナイトの姿が周りには消えたように思えただろう。 だが、それはよくある速すぎて見えないというものだった。

ゴブリンナイトは勝利を確信した。 あの距離でさらに反応も遅れていた。 かわせるはずもないと思ったからだ。

「殺ったな」

ゴブリンナイトは後ろを振り向く。

「風斬り(かざぎり) …」

だが…その男は生きていた。 いや、それだけならまだ ゴブリンナイトも納得がいったかもしれない。 だが、その男はすぐ後ろまで迫って来ていてさらに、今この瞬間にも先程自分が使った技を自分にしようとしている。
ここで、ゴブリンナイトの思考は停止した。

(何だそりゃ…)






「風…」

「何!?」

(完全に油断していた。職とはいえ名がないゴブリンに技などないと思っていた!)

「斬り!!!!」

(…いや、まだだ 風を上手く使えば…俺の魔力はゴブリンなんぞには負けない!)

ゴブリンナイトの剣が当たるほんの僅かな時間だった。 

健太はゴブリンナイトの剣を上回る早さで剣をかわした。

(まだだ、集中力をきらせるな…!)

後は感覚であった。 思考よりも勘が健太を動かした。 

「風斬り…」

ゴブリンナイトは車にはねられたかのような速さで吹き飛んだ。

健太は近づき生きているかを確認する。

(よし、心臓は動いているか。 流石はゴブリン…頑丈だな)

ゴブリン達15体は肩を震わせていた。 

(これで、戦意喪失してくれるといいんだが)

そんな淡い願いを抱いている 健太のもとに、少し大きめの足音が近づいてきていた。

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