チートな俺の異世界生活

日ノ丸太郎

10話チートな俺の初のクエスト

 拳と拳が離れたが、確かな繋がりができた二人。  不穏な空気も、不穏な影も彼等を閉ざすことはできない。

「さてと、腹が減っているだろうフユカ。
下に降りて飯を食おう」

健太は下に落ちた木の剣を拾い、しまいながらそう言った。

「わかった」

だがフユカは、言葉ではそう言ったもののベットの上から立とうとしない。

「どうした? 行かないのか?」

健太が不思議そうに言うと。

「少し間をあけて歩くから先に行って」

眉を一瞬ピクッと上げてそう言った。

言われたとおり健太は先に部屋を出て少し歩いたところで待っていると、フユカが部屋からでてきた。

「ドア、ちゃんと閉めてくれよ」 

「わかった」  

フユカは健太の10歩後ろをついていった。
無論、健太が止まるとフユカもその場に止まる。 一歩多く進んでしまった場合は慌てて一歩下がる。

そんなこんなをしながら健太とフユカは下に下がった。

「あ! お客さん! いったい何があったの!?」

健太の姿を見るやいなや駆け足で健太の前に立ったシェミル。

「あー 色々あったんだ」

「…」

「ちょいと少女を連れてきただけだ」

「そう…まぁ私がなんやかんや言うことでもないか…今夜のメニューは」

「シチューと何か作ってやるから席に座っていろ」

そう言ったのは調理場から顔を出した黒髪、赤目の男だった。

「あれ? 兄貴今夜のメニューはワショクじゃなかったっけ?」

「気分が変わっただけだ」

「ふーん」

「そうか、では頂くとするか、俺は健太、シェフの名前は何と言うのだ?」

「アカギだ」

名を言いアカギは調理場に戻った。

「シェミル、この少女の名はフユカだ。 これから仲良くしてやってくれ」

「あ、うんわかった」

シェミルはフユカの前でかがんだ。

「宜しくねフユカちゃん」

「うん! 宜しくねシェミルお姉ちゃん!」

満面の笑みでそう言ったフユカ。 豚男と高太にいたっては今の見て唖然としている。

(やはり、女の人には心を開くのだな)

(何この子さっきと全然違う、もしかして)

「シェミル、明日からフユカをしばらくの間預かってくれないか?」

「うん、いいよ。 なんとなく把握したから、けどいいの? 最初から預けちゃって」

「あぁ、俺も俺で時間がないといえばないからな」

「ふーん」

「あんな男なんて気にしないでお話しよ?シェミルお姉ちゃん」

「う、うん。何話そうか」

健太はフユカのもとを離れ豚男達が座っている席に座った。

「よ、待たせたな」

「で、明日からはどうすんだよ」

「明日からはクエストだ」

「そうかい」

しばしシェミルとフユカのキャハハな会話が部屋を満たしていた。

「出来たぞ白髪の少女、食え」

調理場からアカギがシチュー、ケサのバター炒め、パンを持ってきた。 

「フユカちゃん席に座って食べよ」

「うん!」

フユカはシェミルに言われたとうり席に座る。 

「さぁ 召し上がれ」

アカギは手を腰につけフユカをジット見ている。

「兄貴の料理は安心していいよフユカちゃん、美味しいし、安全だから」

「……うん…………いただきます」

(本当は男の作った食べ物なんて食べたくないんだけど…お腹もすいてるし、シェミル姉ちゃんの言うことなら…うん信用できる)

そう言うとフユカはスプーンを手に取りシチューの具を口にいれる。

(お、おいしい)

無言でスプーンを何回も口の中に運ぶフユカ。 1度スプーンを置くと、箸を器用に使いケサをほぐして一口、二口。 それを見たアカギは目を見開いていた。

(無意識に箸を出してしまっていたが、なぜこの少女は使えるんだ。 まさか、あの人と同じ…いや、あの人は人だった。 それはないか)

「どう?フユカちゃん兄貴の料理、おいしいでしょ」

無言で頷くフユカ。

「でしょ~」

 健太が立ち上がりシェミルに近づく。

「後の事は任せたぞシェミル、俺達はもう寝る」

「え、あ、うんわかった。 おやすみなさい」

「おやすみ」

豚男が席を立ち健太に近づく。

「おい、飯いいのかよ」

「時間が惜しい、寝るぞ」

「…なんだそりゃ」

その後、健太は本当に寝てしまった。
豚男と高太も健太に言われたとうりしかたなく 寝ることにした。




少し賑やかになってきた街を今、健太達は歩いている。

昨日健太が言ったとうり、クエストをうけるため、冒険者ギルドに向かっている。

「こんな早くから、行く必要あるのかよ主」

「あぁ、何時間かかるかは俺もわかんないしな、早いことにこしたことはないはずだ」

冒険者ギルドに着いた健太達はクエストボードに向かう。

「よし、ここから目的のクエストを見つけ…あった」

「おい、何でわかるんだよ」

何の迷いもなくクエストボードでクエストを探してる健太に豚男はそう言った。

クエストボードにあった紙をとり振り返る健太。

「何となくわかるだろ」

そう言いカウンターに向かう健太。

「このクエストを受けたい…ん? あぁおはようヒカネ、ここの当番はヒカネなのか?」

ヒカネは静かに首を振る。

「違いますよ、たまたまこの時間が当番だったんです」

「そうか」

「はい、それでですね健太さん」

「ん?」

「このクエストはDランクからでして、現在Fランクである健太さんはまだ受けられないんです」

「何…だと」

「ですので、まぁ三人いることですし…Eランクまでは特別にいいですよ」

「それは困る…安心しろゴブリンくらい容易すく…」

「ダメです」

健太が口を開こうとした瞬間。

「ダメです」

「あーわかったでは」

薬草採集のクエストを持ってきた健太。
薬草採集はFランク冒険者がよくうけるクエストなのだが、薬草の数も考え一日一回しか貼られていない。

冒険者の朝は遅い。

「わかりました。 一応ギルドマスターに力を認められたら、ランクは容易く上げられますが、そのためには試験官と模擬戦をしてもらうことになります」

「今日はいい、今度うけることにしよう」

「わかりましたでは、こちらでいいですね」

「ああ、頼む」

ヒカネはクエスト紙に印鑑を押す。

「では、お気をつけて」

「おう」

「おい、行く前に話しがある…」

豚男は健太の胸元を掴んだ。

「テメー…ゴブリン討伐のクエストってどういうことだ…」

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