勇者の俺が科学の世界に転生した結果
6話 電車の中で
僕達が通う高校に行くためには、電車で3駅行く必要がある。
そのため、今はつり輪に捕まって電車に揺られているのだが……
「んっ!………んっ…あっ」
なんか、僕の横に立っている女子高生の人が痴漢されてるんだが。
はぁ。どうしていつもこうなるんだ。前世でも今世でも、何故か僕はいつもこういったトラブルに巻き込まれる。
イギリスにいた時なんて、王女の誘拐に巻き込まれたこともあったくらいだ。まあ、その時は王女を誘拐しようとしていた犯罪組織を壊滅させて一件落着したが。
おっと話が逸れた。まあこの話はまたいつかしよう。
面倒くさいが、目の前で起こっている痴漢事件を黙って見過ごすわけにもいかないだろう。
「大丈夫?」
僕は、女子高生に小声で話しかける。
「あ、あなたは……んっいや、見ないでっ」
ふむ、どうやらこの女子高生と後ろに立っている犯人の中年男性は、実は恋人同士でこういうプレイをしている最中ということも無さそうだ。ちょっと期待していたのだが。
仕方ない。じゃあ助けるか。
「おいあんた、次の駅で降りろ」
僕は、犯人の中年男性の手首を掴みながらそう言う。
「な、なんだ!お前は!なんで俺が次の駅で降りないと行けないんだ!」
男は、掴まれている腕が痛いのだろう、顔を歪めながらそう喚く。
「いいから降りろ」
「ヒッ!わ、わかりました!」
ちょっと威圧を込めて言うと、男はあっさり了解する。
「君も、次の駅で降りてくれるかな?」
「は、はい」
よし、これで後は警察にこの男を引き渡すだけ──
「綾人?どうしたの?」
──姉さんのことを完全に忘れていた。
「姉さん、入学式には間に合うように行くから、先に行っといてくれ」
「う、うん。綾人がそう言うならわかった。でも、どうしたの?」
『〇〇駅〜。〇〇駅です。ご乗車ありがとうございました。』
と、ここで着いたみたいだ。
「ごめん、姉さん。事情なら後で話すよ。じゃ、降りますよ」
僕はそう言って、男の手首を掴んだまま降りる。
「じゃあ、とりあえずこの男は警察に引き渡すね」
あのあと駅員さんを呼んで、事情説明をした。どうやらこの子、毎日時間を変えても何故かあの男が同じ電車に乗ってきて、痴漢されていたそうだ。ストーキングされてたんじゃないか?
「君たちの学校にも一応電話で伝えとくね」
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、君こそ勇気あるじゃないか。よくやったね。」
「いえいえ」
よし、これで一件落着そうだ。駅にある時計を見てみると、まだギリギリ間に合いそう。急いで次の電車に乗らなければ。
「では、僕はこれで」
そう言って立ち去ろうとした時、
「あ、あの!」
女子高生が話しかけてきた。
女子高生の方を向くと、初めて目が合う。と、何故か女子高生は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あ、ありがとうございました……」
「いや、辛かったね。もう大丈夫だよ」
と言うと女子高生はやっと安心できたのか、涙目になりながら、
「こ、怖かったです。グスン、私……あなたがいなかったら……」
僕の胸に飛び込んできた。
「よしよし」
僕はいつも妹にやっているように、胸に飛び込んできた女子高生をそのまま抱きしめて、頭を撫でてやる。
(あぁ、もう入学式、間に合わなそう……)
そう思いながら。
※
あのあと、女子高生を泣き止むまで撫でた僕は、泣き止んだ女子高生を再び見る。
よく見ると、同じ制服を来ているから同じ高校なのだろうか。
「あの、もしかして、先輩…ですか?」
「え、あ、そういえば同じ制服……もしかして君、今日入学式の新入生?」
「はい、そうです。新一年生の桐崎綾人って言います」
「え!わ、私のせいで、入学式遅れちゃうんじゃ……」
「アハハハ、はい、そうですね……」
「ご、ごめんなさい!せっかくの入学式なのに、私のせいで……」
「き、気にしないでください。目の前で困っている女性を助けるのは当然のことですから」
「綾人君……」
そう言って目を潤ませ、頬を紅く染め、上目遣いで熱い視線を送ってくる先輩。
「そういえば、先輩は名前なんていうんですか?」
「あ、そうだね。私は3年の橘楓。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。橘先輩」
「……楓って呼んでほしいな」
「先輩?」
「ダメ、かな?」
「わ、わかりました。じゃあ、楓先輩で」
「やった!うん、よろしく綾人君!」
あんな今にも泣きそうな顔されたら断れない。
「ところで先輩、そろそろ学校行きましょうか」
「あ、そうだね。ってもう入学式終わりそうじゃん!急がないと!」
高校にまだ入学してないのに、さっそく先輩の友達ができた。これは幸先が良さそうだ。
そのため、今はつり輪に捕まって電車に揺られているのだが……
「んっ!………んっ…あっ」
なんか、僕の横に立っている女子高生の人が痴漢されてるんだが。
はぁ。どうしていつもこうなるんだ。前世でも今世でも、何故か僕はいつもこういったトラブルに巻き込まれる。
イギリスにいた時なんて、王女の誘拐に巻き込まれたこともあったくらいだ。まあ、その時は王女を誘拐しようとしていた犯罪組織を壊滅させて一件落着したが。
おっと話が逸れた。まあこの話はまたいつかしよう。
面倒くさいが、目の前で起こっている痴漢事件を黙って見過ごすわけにもいかないだろう。
「大丈夫?」
僕は、女子高生に小声で話しかける。
「あ、あなたは……んっいや、見ないでっ」
ふむ、どうやらこの女子高生と後ろに立っている犯人の中年男性は、実は恋人同士でこういうプレイをしている最中ということも無さそうだ。ちょっと期待していたのだが。
仕方ない。じゃあ助けるか。
「おいあんた、次の駅で降りろ」
僕は、犯人の中年男性の手首を掴みながらそう言う。
「な、なんだ!お前は!なんで俺が次の駅で降りないと行けないんだ!」
男は、掴まれている腕が痛いのだろう、顔を歪めながらそう喚く。
「いいから降りろ」
「ヒッ!わ、わかりました!」
ちょっと威圧を込めて言うと、男はあっさり了解する。
「君も、次の駅で降りてくれるかな?」
「は、はい」
よし、これで後は警察にこの男を引き渡すだけ──
「綾人?どうしたの?」
──姉さんのことを完全に忘れていた。
「姉さん、入学式には間に合うように行くから、先に行っといてくれ」
「う、うん。綾人がそう言うならわかった。でも、どうしたの?」
『〇〇駅〜。〇〇駅です。ご乗車ありがとうございました。』
と、ここで着いたみたいだ。
「ごめん、姉さん。事情なら後で話すよ。じゃ、降りますよ」
僕はそう言って、男の手首を掴んだまま降りる。
「じゃあ、とりあえずこの男は警察に引き渡すね」
あのあと駅員さんを呼んで、事情説明をした。どうやらこの子、毎日時間を変えても何故かあの男が同じ電車に乗ってきて、痴漢されていたそうだ。ストーキングされてたんじゃないか?
「君たちの学校にも一応電話で伝えとくね」
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、君こそ勇気あるじゃないか。よくやったね。」
「いえいえ」
よし、これで一件落着そうだ。駅にある時計を見てみると、まだギリギリ間に合いそう。急いで次の電車に乗らなければ。
「では、僕はこれで」
そう言って立ち去ろうとした時、
「あ、あの!」
女子高生が話しかけてきた。
女子高生の方を向くと、初めて目が合う。と、何故か女子高生は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あ、ありがとうございました……」
「いや、辛かったね。もう大丈夫だよ」
と言うと女子高生はやっと安心できたのか、涙目になりながら、
「こ、怖かったです。グスン、私……あなたがいなかったら……」
僕の胸に飛び込んできた。
「よしよし」
僕はいつも妹にやっているように、胸に飛び込んできた女子高生をそのまま抱きしめて、頭を撫でてやる。
(あぁ、もう入学式、間に合わなそう……)
そう思いながら。
※
あのあと、女子高生を泣き止むまで撫でた僕は、泣き止んだ女子高生を再び見る。
よく見ると、同じ制服を来ているから同じ高校なのだろうか。
「あの、もしかして、先輩…ですか?」
「え、あ、そういえば同じ制服……もしかして君、今日入学式の新入生?」
「はい、そうです。新一年生の桐崎綾人って言います」
「え!わ、私のせいで、入学式遅れちゃうんじゃ……」
「アハハハ、はい、そうですね……」
「ご、ごめんなさい!せっかくの入学式なのに、私のせいで……」
「き、気にしないでください。目の前で困っている女性を助けるのは当然のことですから」
「綾人君……」
そう言って目を潤ませ、頬を紅く染め、上目遣いで熱い視線を送ってくる先輩。
「そういえば、先輩は名前なんていうんですか?」
「あ、そうだね。私は3年の橘楓。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。橘先輩」
「……楓って呼んでほしいな」
「先輩?」
「ダメ、かな?」
「わ、わかりました。じゃあ、楓先輩で」
「やった!うん、よろしく綾人君!」
あんな今にも泣きそうな顔されたら断れない。
「ところで先輩、そろそろ学校行きましょうか」
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