勇者の俺が科学の世界に転生した結果
1話 プロローグ
「これで…最後だ……!」
今、僕はついに魔王を倒した。
「終わった…。やっと…世界は……。あぁ…疲れた……少し…ほんの少しだけ……ね…さ……せ……。」
そして勇者である僕は死んだ。
「ここは……」
僕は…そうか、僕は魔王を倒したのか。やっと世界は救われる。
よし!それじゃあみんなのところに帰るか!
それにしても……
「……ここどこやねん」
いやマジで、ここどこ?
辺りを見回しても目が痛くなるほどの真っ白。しかもなんか体が以上に軽い。感じるはずの疲労感や倦怠感を、全くと言っていいほど感じない。
「やっと目が覚めましたか」
「うおっ!」
急に声をかけられて驚きながら振り向くと、そこには絶世の美女がいた。美しい銀髪に驚くほど顔のパーツが整った顔。正直、今まで見てきた美女とはレベルが違う。
彼女なら女神と言われても信じる。
「あら、よく私が女神だと分かりましたね」
………え、なんて?
「ですから、よく私が女神だと分かりましたね」
「え、えーっと、どなたか存じませんが女神様を名乗るのはやめておいた方がいいですよ。いろんな方に怒られてしまいますよ」
「むぅ〜。信じてませんね」
信じるも何も、本物なわけが……
「私加護を通してずっとあなたの事見てきたんですよ?つまりあなたの事、なんでも知ってるんです」
あ、あはは、そんなまさか、あの事は誰も知らないはず……
「そう、あなたが10歳の時……」
「あーーーっ!!それ以上はダメ!!」
「うふふ、信じてくれました?」
「はい!疑ってすんませんしたっ!!」
メガミコワイ
「でもなんで僕が女神様と?あ、もしかして魔王を倒したご褒美とか?」
「まぁ、半分正解といったところでしょうか」
「半分?」
「えぇ、実は──あなたは死にました」
あーやっぱそうかー。薄々気づいてはいた。
「あら、リアクションが薄いですね」
「はは、まぁ、今まで何度も死線をくぐり抜けて来ましたから。実際に死んだと言われても、実感がわかなくて」
まぁでも、最後に仲間達にもう一度会いたかったな。
あぁ、でもなるほど。この体の軽さは俺が死んでるからなのか。
「それで、どうして半分正解なんですか?」
「はい、本来死んだ魂は私に会わずに直接三途の川を渡って遠い遠いところに行きます。ですが、あなたは魔王を倒し、この世界を救ってくれた。私はその事に感謝しています。ですので、あなたには、魔王を倒したご褒美に記憶を持ったまま転生させてあげようというわけです」
「転生とは?」
「簡単に言うと死んでしまった魂などから、記憶などの汚れを浄化して次の体に入ることです」
「なるほど、それで僕は本来消えてしまうはずの記憶を残したまま転生出来るというわけですね」
「はい、理解が早くて助かります。まぁ記憶を持ったままと言ってもあなたが3歳になった時に前世の記憶を蘇らせるわけですが。転生するにあたってあなたの転生先の世界はある程度選べますが、どういった世界がいいでしょう?」
「そうですね…。次は争いがない、平和な世界がいいかな。それと、僕の世界にはない色んなものがあって、僕をたくさんびっくりさせてくれるような……そんなところ、ですかね」
「なるほどなるほど……。はい、ではあなたを『地球』という世界に転生させましょう。それではこれからあなたを転生させますが1つ、大事な忠告を、転生する際、あなたのなりたい姿をしっかりとイメージしていてください。そうでないと、下手するとあなた、記憶を持ったまま犬や猫、果てにはゴキブリなんかになってしまうかも知れませんよ?」
ウゲェ、それは嫌だ。よし、ちゃんと人のイメージを持っておこう。ついでに次の世界では黒髪なんかもいいかも知れない。性別はもちろん男。顔立ちは元のやつでいいかな。愛着あるし。自慢ではないが、前の世界ではこの外見が好きという人もたくさんいたし。
「それでは、転生を開始します。最後に、この世界を救ってくれて本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそあなたのおかげで今まで生き残れました。今までありがとうございました」
「はい。それでは、来世のあなたに幸あれ!」
そう言われ、意識が途切れる直前に見えた女神様の目には、光る何かが浮いていたような気がした。
※
「行きましたか」
勇者が去ったあと、真っ白の空間に一人残った女神は呟く。
「やっと会えたというのに、別れとは早いものですね」
女神の足元に1粒の水滴が落ちる。
「あの日の少年が、こんなに大きく、素敵に成長するなんて」
溢れ出した物は止まらない。
「私の方こそ、ありがとうございました」
そして女神はひとつの大きな魔方陣を紡ぐ。
「私の勇者様、ずっとあなたが大好きでした」
魔方陣が光り、光が消えた頃には、この真っ白な空間には誰もいなかった。
「勇者様…また、会えますよね」
今、僕はついに魔王を倒した。
「終わった…。やっと…世界は……。あぁ…疲れた……少し…ほんの少しだけ……ね…さ……せ……。」
そして勇者である僕は死んだ。
「ここは……」
僕は…そうか、僕は魔王を倒したのか。やっと世界は救われる。
よし!それじゃあみんなのところに帰るか!
それにしても……
「……ここどこやねん」
いやマジで、ここどこ?
辺りを見回しても目が痛くなるほどの真っ白。しかもなんか体が以上に軽い。感じるはずの疲労感や倦怠感を、全くと言っていいほど感じない。
「やっと目が覚めましたか」
「うおっ!」
急に声をかけられて驚きながら振り向くと、そこには絶世の美女がいた。美しい銀髪に驚くほど顔のパーツが整った顔。正直、今まで見てきた美女とはレベルが違う。
彼女なら女神と言われても信じる。
「あら、よく私が女神だと分かりましたね」
………え、なんて?
「ですから、よく私が女神だと分かりましたね」
「え、えーっと、どなたか存じませんが女神様を名乗るのはやめておいた方がいいですよ。いろんな方に怒られてしまいますよ」
「むぅ〜。信じてませんね」
信じるも何も、本物なわけが……
「私加護を通してずっとあなたの事見てきたんですよ?つまりあなたの事、なんでも知ってるんです」
あ、あはは、そんなまさか、あの事は誰も知らないはず……
「そう、あなたが10歳の時……」
「あーーーっ!!それ以上はダメ!!」
「うふふ、信じてくれました?」
「はい!疑ってすんませんしたっ!!」
メガミコワイ
「でもなんで僕が女神様と?あ、もしかして魔王を倒したご褒美とか?」
「まぁ、半分正解といったところでしょうか」
「半分?」
「えぇ、実は──あなたは死にました」
あーやっぱそうかー。薄々気づいてはいた。
「あら、リアクションが薄いですね」
「はは、まぁ、今まで何度も死線をくぐり抜けて来ましたから。実際に死んだと言われても、実感がわかなくて」
まぁでも、最後に仲間達にもう一度会いたかったな。
あぁ、でもなるほど。この体の軽さは俺が死んでるからなのか。
「それで、どうして半分正解なんですか?」
「はい、本来死んだ魂は私に会わずに直接三途の川を渡って遠い遠いところに行きます。ですが、あなたは魔王を倒し、この世界を救ってくれた。私はその事に感謝しています。ですので、あなたには、魔王を倒したご褒美に記憶を持ったまま転生させてあげようというわけです」
「転生とは?」
「簡単に言うと死んでしまった魂などから、記憶などの汚れを浄化して次の体に入ることです」
「なるほど、それで僕は本来消えてしまうはずの記憶を残したまま転生出来るというわけですね」
「はい、理解が早くて助かります。まぁ記憶を持ったままと言ってもあなたが3歳になった時に前世の記憶を蘇らせるわけですが。転生するにあたってあなたの転生先の世界はある程度選べますが、どういった世界がいいでしょう?」
「そうですね…。次は争いがない、平和な世界がいいかな。それと、僕の世界にはない色んなものがあって、僕をたくさんびっくりさせてくれるような……そんなところ、ですかね」
「なるほどなるほど……。はい、ではあなたを『地球』という世界に転生させましょう。それではこれからあなたを転生させますが1つ、大事な忠告を、転生する際、あなたのなりたい姿をしっかりとイメージしていてください。そうでないと、下手するとあなた、記憶を持ったまま犬や猫、果てにはゴキブリなんかになってしまうかも知れませんよ?」
ウゲェ、それは嫌だ。よし、ちゃんと人のイメージを持っておこう。ついでに次の世界では黒髪なんかもいいかも知れない。性別はもちろん男。顔立ちは元のやつでいいかな。愛着あるし。自慢ではないが、前の世界ではこの外見が好きという人もたくさんいたし。
「それでは、転生を開始します。最後に、この世界を救ってくれて本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそあなたのおかげで今まで生き残れました。今までありがとうございました」
「はい。それでは、来世のあなたに幸あれ!」
そう言われ、意識が途切れる直前に見えた女神様の目には、光る何かが浮いていたような気がした。
※
「行きましたか」
勇者が去ったあと、真っ白の空間に一人残った女神は呟く。
「やっと会えたというのに、別れとは早いものですね」
女神の足元に1粒の水滴が落ちる。
「あの日の少年が、こんなに大きく、素敵に成長するなんて」
溢れ出した物は止まらない。
「私の方こそ、ありがとうございました」
そして女神はひとつの大きな魔方陣を紡ぐ。
「私の勇者様、ずっとあなたが大好きでした」
魔方陣が光り、光が消えた頃には、この真っ白な空間には誰もいなかった。
「勇者様…また、会えますよね」
コメント
お湯
異世界にもいるゴキブリ様は流石だと思います