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絶望の サイキック

福部誌是

思い①


親友が目の前で死んだのに⋯僕は思い出していた。



   


初めてツカサと出会った日


昔の記憶は曖昧な事が多いが、これはよく覚えている。


小学1年生の夏まで孤児院で育った僕は里親に引き取られた。

両親は覚えている限り、僕の前ではいつも笑顔だった。喧嘩した時を見た事がないくらいに。


最初は慣れなかった。初めてのひとり部屋、街、家⋯

休みの日はよく3人で出かけた。

両隣に両親がいて、よく手を繋いだものだ。

最初は怖かった。でも慣れた。


次第に会話も増え、これからこの人達と過ごしていくんだ

と思うとなんだか不思議な感じだった。


でも、その年の冬。

父親が亡くなった。

交通事故だったらしい。



母親が泣き、それを後ろから眺める僕。



それから4年僕は母親と2人で過ごした。

そして、母親も死んだ。


僕を養う為に朝早くから夜遅くまで働いていた母。

職場で倒れ込み、そのまま入院。数日後に命を落とした。


忙しかった母親。父親が死んでからは話す機会も減っていた。

血の繋がりはないのに涙が止まらなかった。


数年の付き合いであっても僕にとっての大切な人達だった。



そして、ナズナの両親に引き取られた。

そこで僕はツカサに出会った。

最初、不安だらけだった僕に話しかけてきてくれた。




   


ツカサとナズナとは直ぐに仲良くなった。

小学校の卒業式、中学校の入学式には3人で一緒に写真を撮った。


中学の帰りは3人で一緒に歩いて帰った。

よく遊んだ。家でゲームとか、公園で走り回ったり、キャッチボールしたり、サッカーしたり、バスケしたり⋯⋯


中学3年になってナズナの母親からのひとり暮らししてみないかと相談された。


僕とツカサは直ぐにそれを受け、自立の術を身につけた。


高校に入ってからもずっと仲良かった。

一緒に登校して下校して。

本屋に付き添ってくれたり、ゲーセンにもよく行ったな。



喧嘩は⋯⋯数度だけした事がある。


きっかけはあまり覚えていない。でも、ちょっとしたすれ違いだった気がする。


どっちかが少し我儘だったのだろう。

─きっと僕だ。









誰にでも自慢ができる


唯一の親友⋯⋯だった。




    


──きっとお前は後悔するだろうな。



俺が目の前で死んだらさ


救える力を持ってなかったとしても。


きっと後悔する。でも、俺はお前の枷にはなりたくない。


だから逃げろ

逃げてくれ。


生きてくれ。


後悔するなとは言えない。


後悔のない人生なんて俺は知らない。


それでも、立ち上がって前に進んで欲しい。


俺はお前と生きれて楽しかった。


お前が親友で良かった。


望みを言っていいのならもっとお前と生きていたかった。


お前と一緒に成長して


お互いにさ

お互いの道進んで、お互いに好きな人に出会って

結ばれて

失恋もいいかもだけど



お前の恋話とか聞いてやりたかった。相談に乗ってあげたかった。


お互いにいい相手見つけて結婚して、家族養うために頑張って働いてさ


お前の子供の顔とか見てみたかった。



俺はここで終わるけどさ


お前は生きてくれよ。生き延びてくれよ。


だから、俺はお前を突き飛ばしたんだ。


ずるいかもしれない。自分勝手な俺を許してくれ。


見守ってるから。


俺にお前の『未来』を見せてくれ





───じゃあな







   



────ありがとう







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