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絶望の サイキック

福部誌是

プロローグ

――何故なのだろう

何故、ここに至ったのだろうか

何処で選択を間違えたのだろうか

平凡な日常・・・・・だった筈なのに

壊された。壊された。壊された。壊された壊された壊された壊された・・・・・壊された



いや、違う。壊したのは・・・・・俺自身か






真っ暗な部屋で血によって赤に染まる自分の両手を眺めていた。

目の前には血塗れになった親友がうつ伏せで倒れている。
変わり果てた親友の姿を前に、なんにも出来なかった自分の愚かさと弱さを呪う。

自分自身を呪うことしかできない。

上半身より下がない状態で背中から長剣が床まで貫通して死んでいる。

どうして、こうなる前に救う事が出来なかったのだろう。

幾ら迷っても答えなんて出ない。時間を巻き戻す術なんて持っていない。

後悔しても無駄?

過去には戻れない?

未来を見るべきだ?

今まで1度は耳にしたことのある言葉・・・・・そんな事を言っていたやつにも同じ状況を味あわせてやりたい。

全てが無意味。

俺にはなんの力もない。親友を生き返らせることも、親友の最期の願いを叶えてやることも・・・・・

全てできない。ましてや、敵を取ることすらできない。いや、自殺をすれば敵は取ったことになるのかな?


親友の向こう側にいる銀髪の男はニタニタと狂気に満ちた笑顔で俺に問う。

「さあ、死んじゃったよこいつ!イヒヒヒヒヒヒヒ」


全てが狂気に満ちている。笑い声も、表情も・・・・・
存在自体が狂気だ。


 「・・・・・なんで、黙ってるんだよ。ん?なんか喋ったら?」

男は手にしていた短刀を投げた。

短刀は風を切り裂き、俺――にしき輝夜てるやの左頬に一筋の切り傷を付け、すぐ後ろの壁に突き刺さる。


・・・・・痛い

痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


奥歯を噛み締め唾を呑み込む。左頬の傷から血が流れ落ちる。


「・・・・・イヒヒ、もしかしてもう、心が壊れちゃったのかな?」


男の声はもう輝夜には届かない。



――ああ、どうしてこうなったんだろう。

平和な日常があればそれだけで良かったのに・・・・・

それ以上を望んではいけなかったのだ

枯れた筈の右目から1滴の液体が流れ落ちた。


・・・・・おかしい。

涙なら・・・・・もうとっくに枯れたはずなのに。

これ以上ないと言うくらい泣いたのに。泣け叫んだのに。喉が壊れるくらい、この世界を壊すくらい泣き叫んだのに・・・・・・・・・・どうしてまだ涙が出るのだろうか


・・・・・どうして、この世界はまだ、存在しているのだろうか


生命に、世界に嫌われている。

こんな世界で生きていて何があるっていうのだろうか

無意味、無価値

・・・・・そうだ。

壊そう

答えはとっくに出ていた。

破壊してしまえばいい。

・・・・・誰もやらないなら・・・・・俺が・・・・・やればいい

目の前の惨状も、目の前の男も、親友を救えなかった自分自身も、この世界も

「無」に還ればいい


「・・・・・こ・・・・・わ・・・・・して・・・・・や・・・・・る」

掠れた声で呟く。

「イヒヒヒヒヒ、ん?なんか言った?」


男が右手を右耳に当てて目を見開き、輝夜に問う


「・・・・・壊してやる」

輝夜はそう呟いて男を睨んだ。

呪った。

目の前の男を、自分自身を・・・・・そして、この不条理なこの世界を


輝夜の右目から赤い液体が1滴、頬を伝い、床に流れ落ちた。

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