ウィザードオブバージン
属性魔法
マリー先生との戦ってから一か月が経過した。
それからも俺は相変わらず適度に力を抜き、魔法の実技を受けているが特にマリー先生から何も言われない。
何か考えんでもあるんだろうか。
「サイコキネシス!」
魔法の杖を持った西宮は、呪文を唱えた。
テニスボールは真っ直ぐと俺のほうに飛んできた。
「サイコキネシス」
俺も魔法の杖を使い、テニスボールに魔法をかけた。
テニスボールをサイコキネシスで西宮に返した。
その後も五回ほどラリーをしたが、西宮がばてたようで魔法が使えなくなり、ラリーを終えた。
西宮ははぁはぁと息を切らしている。
「はぁ......ごめん、藤嶋くん。今はこれくらいしかもたないや」
西宮は謝罪した。
「いや、大分上達したと思うぞ。今学期中には十分、目標達成できると思う」
俺は西宮を褒めた。実際、西宮の飲み込みは早いと思う。
サイコキネシスでテニスボールを巧みに動かすことができるし、コントロールはこのクラスで随一だと思う。
だが反面、魔力ーーマリー先生の言葉で言えばアークミー量が他の生徒よりも不足していると思う。
目標を達成できるだろうとは言ったが、それは西宮のアークミー量を増やすことを前提とした場合である。
現にもう一つの今学期の目標の一つであるボーリングをサイコキネシスで持ち上げるのは西宮はまだ達成できないでいる。
魔力を増やすには、精神力を向上させることとかつての俺の家庭教師は言っていた。
周りを見ると、ちらほらもう目標達成できる人がいるようだった。
「やったー! 三十回ラリー成功! 俺らマジやばくね?」
「あははは。たまたまだよ。本番できちんと成功させないとな」
成功したのは佐々木と樋渡ペアだった。
あいつらもう成功したのか。
「あー! 惜しい。後一回だけだったのに......」
「仕方ないわ。もう一回やりましょう」
もう少しでラリー成功できそうなのは、鈴鐘と明石ペアだった。
鈴鐘は教室で一人で本を読んでいることが多いのだが、積極的に明石が話しかけてくれているようだった、
明石は誰にでも優しくしてくれる。俺にさえ、ちょくちょく話しかけてくれた。
赤い髪と赤い瞳が印象的で俺はすぐに彼女の名前を覚えることができた。
彼女はスタイルもよく、さらに社交的な性格のため、男子生徒だけでなく女子生徒からも人気がある。
「みんな一度やめてくれ」
マリー先生が実技を途中でストップさせた。みんなの視線はマリー先生の元へと集まる。
「新しい魔法を伝授しよう。属性魔法だ」
――属性魔法
火、水、風、雷、氷など自然を操るという魔法である。
俺が目指している天候を司る魔法使いもこれを極めている必要がある。
「まずは簡単な魔法から見せる。行くぞ、ウォーターボール」
マリー先生の杖から魔法陣が発生し、小さな水の球が浮かんだ。
「この水の球はみんなが練習しているサイコキネシスの要領で操っていくんだ」
マリー先生は色んな方向、速度で水の球を動かした。
空高く水の球を動かし、パシュっと破裂させた。
小さな雨が生まれた。
「他の属性魔法も見せてやろう。サンダーボール」
小さな雷の球が生まれた。
その後も、アイスボール、ファイアーボール、ウィンドボールとマリー先生は見本を示した。
「とまぁ、こんな感じだ。これくらいの規模の魔法も身に着けてもらおうと思ってな。属性魔法のコツだが、雷の球を発生させたいなら雷、火の玉なら火としっかりと頭の中でイメージすることが重要だ。それじゃ、実技に戻れ」
マリー先生は説明を終えた。
「どうしよう......僕、あれできるかな?」
西宮は不安そうな顔をして訊いてきた。
「まぁ、やってみるしかないんじゃないか」
そういうしかなかった。実技はできなければ、先のカリキュラムに進むことができない。
不安であっても突き進むしかない。
「よーし! 早速やってみっかな!」
樋渡はさっそく、属性魔法を実践するようだ。
他の人がどんな感じか見ておくか。俺は樋渡に注目した。
「サンダーボール!」
樋渡が呪文を唱えると、魔法の杖から黄色い魔法陣が生まれ、ゆっくりと雷の球が作られていく。
しかし、雷の球はバチっとところどころに散ってしまった。
「わ!」
樋渡が叫んだ。どうやら失敗のようだ。
「あー! くそ。難しいな」
「樋渡。なかなか筋はいいようだが、まだイメージが足りないようだな。後で雷の動画や画像を見ておくことをおすすめする」
マリー先生が助言した。
俺もかつてマリー先生が言ったことをやったことがある。
ひたすら、火山の映像、津波の映像、台風の映像、雷の映像、南極の映像などを見て属性魔法のイメージ力を鍛えた。
「サンダーボール」
今度は佐々木が属性魔法の使用を試みた。
樋渡の時よりも大きな魔法陣が発生し、雷の球が出来上がっていく。
佐々木はものすごい集中して言うようだ。雷のこと以外を考えないようにしているのだろう。
雷が完全な球状に仕上がった。ゆっくりと雷の球が前に進んだ。しかし、途中で雷の球は破裂してしまった。
「だめだ。今はこれが限界だ......」
佐々木は少し落ち込んでいるが今の状態でこれくらいできていればかなりのものだと思う。まぁ、他のクラスの生徒の様子が分からないが。
「ファイアーボール!」
声がする方を向くと、明石が属性魔法を試行していた。赤い髪と赤い瞳のやつが火属性の魔法か。ピッタリだな。
「アイスボール」
鈴鐘も属性魔法を試行していた。あの冷たい感じの性格のやつが氷属性の魔法。これもピッタリだと思う。
二人は球の生成までは上手くいったものの、少しも動かせず、球を破裂させた。
「あー! 失敗しちゃった。難しいね」
「そうね。でも必ず成功させてみせるわ」
すぐさま再び鈴鐘は属性魔法の使用を試みた。
相変わらずストイックなやつである。一体、どこからその野心はくるのだろうか。
「ウォーターボール!」
西宮も属性魔法の使用を試みたが魔法陣すら発生せず、失敗に終わった。
「ああ、ダメだ......ねぇ藤嶋君はできる?」
可愛らしい上目遣いをして訊いてきた。
これは......本気を出すしかないんじゃないか?
「やってみるよ」
さて、俺も属性魔法を使ってみるか。できるけども。
それからも俺は相変わらず適度に力を抜き、魔法の実技を受けているが特にマリー先生から何も言われない。
何か考えんでもあるんだろうか。
「サイコキネシス!」
魔法の杖を持った西宮は、呪文を唱えた。
テニスボールは真っ直ぐと俺のほうに飛んできた。
「サイコキネシス」
俺も魔法の杖を使い、テニスボールに魔法をかけた。
テニスボールをサイコキネシスで西宮に返した。
その後も五回ほどラリーをしたが、西宮がばてたようで魔法が使えなくなり、ラリーを終えた。
西宮ははぁはぁと息を切らしている。
「はぁ......ごめん、藤嶋くん。今はこれくらいしかもたないや」
西宮は謝罪した。
「いや、大分上達したと思うぞ。今学期中には十分、目標達成できると思う」
俺は西宮を褒めた。実際、西宮の飲み込みは早いと思う。
サイコキネシスでテニスボールを巧みに動かすことができるし、コントロールはこのクラスで随一だと思う。
だが反面、魔力ーーマリー先生の言葉で言えばアークミー量が他の生徒よりも不足していると思う。
目標を達成できるだろうとは言ったが、それは西宮のアークミー量を増やすことを前提とした場合である。
現にもう一つの今学期の目標の一つであるボーリングをサイコキネシスで持ち上げるのは西宮はまだ達成できないでいる。
魔力を増やすには、精神力を向上させることとかつての俺の家庭教師は言っていた。
周りを見ると、ちらほらもう目標達成できる人がいるようだった。
「やったー! 三十回ラリー成功! 俺らマジやばくね?」
「あははは。たまたまだよ。本番できちんと成功させないとな」
成功したのは佐々木と樋渡ペアだった。
あいつらもう成功したのか。
「あー! 惜しい。後一回だけだったのに......」
「仕方ないわ。もう一回やりましょう」
もう少しでラリー成功できそうなのは、鈴鐘と明石ペアだった。
鈴鐘は教室で一人で本を読んでいることが多いのだが、積極的に明石が話しかけてくれているようだった、
明石は誰にでも優しくしてくれる。俺にさえ、ちょくちょく話しかけてくれた。
赤い髪と赤い瞳が印象的で俺はすぐに彼女の名前を覚えることができた。
彼女はスタイルもよく、さらに社交的な性格のため、男子生徒だけでなく女子生徒からも人気がある。
「みんな一度やめてくれ」
マリー先生が実技を途中でストップさせた。みんなの視線はマリー先生の元へと集まる。
「新しい魔法を伝授しよう。属性魔法だ」
――属性魔法
火、水、風、雷、氷など自然を操るという魔法である。
俺が目指している天候を司る魔法使いもこれを極めている必要がある。
「まずは簡単な魔法から見せる。行くぞ、ウォーターボール」
マリー先生の杖から魔法陣が発生し、小さな水の球が浮かんだ。
「この水の球はみんなが練習しているサイコキネシスの要領で操っていくんだ」
マリー先生は色んな方向、速度で水の球を動かした。
空高く水の球を動かし、パシュっと破裂させた。
小さな雨が生まれた。
「他の属性魔法も見せてやろう。サンダーボール」
小さな雷の球が生まれた。
その後も、アイスボール、ファイアーボール、ウィンドボールとマリー先生は見本を示した。
「とまぁ、こんな感じだ。これくらいの規模の魔法も身に着けてもらおうと思ってな。属性魔法のコツだが、雷の球を発生させたいなら雷、火の玉なら火としっかりと頭の中でイメージすることが重要だ。それじゃ、実技に戻れ」
マリー先生は説明を終えた。
「どうしよう......僕、あれできるかな?」
西宮は不安そうな顔をして訊いてきた。
「まぁ、やってみるしかないんじゃないか」
そういうしかなかった。実技はできなければ、先のカリキュラムに進むことができない。
不安であっても突き進むしかない。
「よーし! 早速やってみっかな!」
樋渡はさっそく、属性魔法を実践するようだ。
他の人がどんな感じか見ておくか。俺は樋渡に注目した。
「サンダーボール!」
樋渡が呪文を唱えると、魔法の杖から黄色い魔法陣が生まれ、ゆっくりと雷の球が作られていく。
しかし、雷の球はバチっとところどころに散ってしまった。
「わ!」
樋渡が叫んだ。どうやら失敗のようだ。
「あー! くそ。難しいな」
「樋渡。なかなか筋はいいようだが、まだイメージが足りないようだな。後で雷の動画や画像を見ておくことをおすすめする」
マリー先生が助言した。
俺もかつてマリー先生が言ったことをやったことがある。
ひたすら、火山の映像、津波の映像、台風の映像、雷の映像、南極の映像などを見て属性魔法のイメージ力を鍛えた。
「サンダーボール」
今度は佐々木が属性魔法の使用を試みた。
樋渡の時よりも大きな魔法陣が発生し、雷の球が出来上がっていく。
佐々木はものすごい集中して言うようだ。雷のこと以外を考えないようにしているのだろう。
雷が完全な球状に仕上がった。ゆっくりと雷の球が前に進んだ。しかし、途中で雷の球は破裂してしまった。
「だめだ。今はこれが限界だ......」
佐々木は少し落ち込んでいるが今の状態でこれくらいできていればかなりのものだと思う。まぁ、他のクラスの生徒の様子が分からないが。
「ファイアーボール!」
声がする方を向くと、明石が属性魔法を試行していた。赤い髪と赤い瞳のやつが火属性の魔法か。ピッタリだな。
「アイスボール」
鈴鐘も属性魔法を試行していた。あの冷たい感じの性格のやつが氷属性の魔法。これもピッタリだと思う。
二人は球の生成までは上手くいったものの、少しも動かせず、球を破裂させた。
「あー! 失敗しちゃった。難しいね」
「そうね。でも必ず成功させてみせるわ」
すぐさま再び鈴鐘は属性魔法の使用を試みた。
相変わらずストイックなやつである。一体、どこからその野心はくるのだろうか。
「ウォーターボール!」
西宮も属性魔法の使用を試みたが魔法陣すら発生せず、失敗に終わった。
「ああ、ダメだ......ねぇ藤嶋君はできる?」
可愛らしい上目遣いをして訊いてきた。
これは......本気を出すしかないんじゃないか?
「やってみるよ」
さて、俺も属性魔法を使ってみるか。できるけども。
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