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悪役令嬢は趣味に没頭します

ててて

20 拾う


サァァと雨の音が響く。
ここ数日雨がずっと降っていて、部屋が湿気高くてしょうがない。

湿気はピアノの敵だから早く雨が止んで欲しいなぁと思いながら窓を見た。

ピアノの部屋の窓から見えるお庭の所々に水たまりができている。

「嫌な時期だわ…」

ふと、大きな水たまりを見ると何かがもぞもぞ動いている。よく見えないが生き物だろうか?必死にもがくように見えた。

さっと部屋を出て廊下を走る。階段を駆け下りる。

「お、お嬢様!?どうかなさったのですか!?」
「お嬢様、走っては危険です!」

使用人の声が聞こえるが説明してる場合ではない。

勢いよく庭に通じる扉を開き濡れるのを構わず外へ出る。先程の大きな水たまりに急いだ。

そこには、真っ黒い猫がぬかるみに後ろ足をはめて沈んでいた。必死にもがいて上に上がろうとしていて苦しそうだ。

そっと、体に手を差し伸べ水たまりから出そうとする。だが、猫は突然触れてきた私の手に驚き前足の爪でひっかかれた。じわっと血が滲む。

(指ではないから大丈夫)

「驚かせてごめんなさい、あなたを助けるだけよ。怖がらないで大丈夫」

話が通じる訳ないが宥めるように笑顔を向ける。

そっと体を抱き上げ足を掴みぬかるみから出した。

「お、お嬢様!!」

後ろから執事のニックが傘とタオルを持ち駆け寄ろうとする。

「待って、来ないで」

ニックを止める。猫は警戒心が高い。今も大人しく私の腕の中にいるがピンっと両耳を立て警戒している。
落ち着かせるように頭を撫でる。

そのままゆっくりとした足取りで屋敷に戻った。

タオルで猫を拭こうと思ったが、体に泥が着きすぎていてこれでは綺麗にならない。私も髪と服がベタベタだしお風呂に入ることにした。

使用人たちには止められたが構わないと告げる。

「猫ちゃん、悪いけどお風呂に入りましょう?汚いのは嫌でしょ?」

そういうと猫は言葉を理解したように頷いた気がした。実際に、お風呂を見ても唸らないし嫌がらない。

私は1人で入れるからと使用人を下げさせお風呂に入った。
入念に石鹸をつけ猫の泥を落とす。
ついでに私も体を洗う。そのまま石鹸を落とし湯船に入った。猫も嫌がることなくお風呂につかる。

普通、猫って水嫌いじゃなかったけ?
すっごい気持ちよさそうに入ってるけど…

洗った後の猫は毛並みが黒く、瞳は銀色と金色のオッドアイで可愛い。

頭を撫でてみる。すると、先程ひっかかれた傷を猫がチロチロと舐める。

「あぁ、この傷なら大丈夫よ。びっくりしただけだものね?すぐ治るわ」

聞いても傷を舐める猫。すると、傷はどんどん小さくなっていって瞬きした後には消えていた。

「えっ!?どーなってるの…」

意味がわからない。猫って治癒力あるの?知らなかった!!
あっという間に消えてしまった傷に驚き手をグーパーと開く。痛みもなく本当に消えてしまった。

そろそろ、身体があったまった。
ボーゼンとしながらも湯船を出て新しい服に着替える。髪の毛はいつも風魔法と火魔法を使える使用人に乾かしてもらうので、呼ぼうとした。

「あれ?」

さっきまで一緒にお風呂に入っていた猫の体は乾いている。

そして、猫は私に近づくと足にチュッとキスをした。ふわっと暖かい風に包まれ、気づいたら髪の毛が乾いている。

もう、何が何だかわからない。








・第2章入りました!
    あんまりご期待に添えられたか自信が無い!でも、この新キャラを私が好きになってしまった!!
ごめんなさいーー!!
お付き合い頂けたらとても嬉しいです( .. )

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コメント

  • 春咲友花

    猫Love です!

    3
  • あおい

    猫が可愛い

    5
  • アタナシウス

    この猫とどうなってくか楽しみです!

    3
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