Little Red Riding Hood

闇狐

一章「岬にて(2)」

「‥‥何よこれ」

吹雪で視界が狭まってる中、赤ずきんの目に飛び込んできたものは‥‥

[この先、岬の林檎畑より、##(掠れて読めない)注意]

‥‥と記された立て看板であった。
しかし、その横には‥‥

「し、死体‥‥?」

ボロボロになった木製の十字架に磔にされた頭部が欠損した白骨死体。
白骨死体と言えども、身体の一部がミイラ化している。

「な、何よこれ‥‥。  こんなの死者に対しての冒涜よ!  つい先日までこんなの無かったのに‥‥一体誰が何の為に‥‥」

赤ずきんの全身に鳥肌が立った。
それはこの得体の知れない恐怖に対するものであった。

「林檎畑‥‥この季節に林檎なんて実ってるのかしら?  もしかしたら何か有りそうね‥‥。  それにこの死体が意味してるものは‥‥」

赤ずきんは再び歩みを始めた。
吹雪は彼女の全身を淡い風呂敷の様に隠した。

『岬にて』【完】


【続く】

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