女であり男でもある私は復讐をしていきます
18話 珈琲の味
「リリア、先週の夜会はどうだった?」
「おはようございます、最高によく寝れましたわ」
「意味深だね」
放課後、生徒会室に向かっている途中ガルデに会う。
偶然会うのがここ最近の普通になってきた。
夜会ぶりにあったので、まだあのことは何も伝えていない。
実は朝帰りの後に会おうと思っていたのだが私のメイド、テトラに捕まってしまった。
しかもその後アルザックからのドレスのプレゼントがきて色々忙しかったのだ。
「どこまでやったの?ライラ君は」
…言おうとは思っていた。けれどニヤニヤと聞いてくるガルデにイラっとしたので軽い光属性攻撃魔法を放つ。
「いったっ!」
体に直接影響するタイプの光なので服には影響はないが確実にピリッときただろう。
今度はこちらがニヤニヤしながら勝ち誇った笑みを浮かべると、笑いながらガルデは手を持ち上げる。
「…泥団子でもぶつけようか?」
「お断りいたしますわ」
土属性の魔力を持った子供がよくやるイタズラをされそうになったので早歩きで廊下を歩く。
今、泥団子とかシャレにならない。
「あっ、こんにちは!リリアーナさん!」
足がピタッと止まる。
この声は…先週、聞いた気がする…
恐る恐る振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべたシャルルが立っていた。
「おはようございます、元気ですね」
「はい!とってもいいことがあったんですよぉ」
私に話しかけてきた時点で何か企んでいるのは見え見えだがらその裏があるすぎる目の笑っていない笑顔に悪寒がする。
自分が仕向けといたことながら、怖い。
「そうですか、夜会は大丈夫でしたか?」
「…もちろん!来週も行うので来てくださいねぇ」
この次に何があるかなんて私とシャルルしか知らないだろう。  
シャルルは私をもう恨んだりしていない。心の中であざ笑っているのだ。
自分の手で復讐をすることができるのだから。
「ええ、行かせていただきますわ」
その一言で、一層シャルルはニコニコし始める。…何かが夜会であることが知っていなかったとしてもわかる。
けれどもそれを仕向けたのは私なのだが。
「…やあシャルル。リリア、生徒会室に行こう」
空気が重いことを察したのかガルデが私の手を取り生徒会室に向かい始める。
その途中でこう耳打ちされた。
「本当に何したの…次の週もって…」
その問いには答えなかったけれど、笑顔で「さぁ」とは言っておいた。
「これは生徒会長に回しておきます。こちらは…無理です。これ以上経費は回せません」
生徒会室についた途端、席に着き溜まっていく書類に目を通して処理しはじめる。
元々したことのある仕事なので慣れたものだが、周りから見れば留学しに来たばかりなのにバリバリ仕事をこなしている私は奇妙だろう。
最初の方はすごく驚かれた。
「リリアーナ様、こちらの資料できました」
そう今度やる企画などの計画書を渡してくるクロード。
今年の新入生トップで会計を務めている。シトラル以外からの目線で見ると誰にでもとにかく他人行儀なのだ。
「分かりました、確認します」
こんな業務連絡くらいでしか話せないのが少し寂しいとは思う。
「リリア、これも生徒会長に一緒に渡して」
「……」
今、確実に『生徒会長』を強調されて言われた気がする。
ガルデの顔を睨むと朝と同じニヤニヤするのがいい証拠だ。
「…分かりました。その代わりこちらを片付けておいてください」
やられてばかりは性に合わないので山ほどある書類を押し付けて生徒会室を颯爽と後にした。
背後からガルデの抗議の声と周りの役員の苦笑いなんて聞こえていないふりをしながら。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
生徒会長ディルクがいるであろう場所、生徒会長執務室に先ほど淹れたブラックコーヒーを持ち片手で軽くノックをする。
因みにここの学園では生徒会役員に生徒会室と休憩室が与えられている他に専用の部屋が生徒会長のみに与えられる。
ここ国立魔術学園は三ヶ国で1.2を争う名門学園なのでその生徒会長は学校行事の他、国の式典などの色々な仕事をしなければいけない。
普通、生徒会長はその国の王子がなるものだがここでは成績で選ばれているのはそのためだ。
考えてみてくれ。もし王族がなるのだとしたらあんな身分だけの馬鹿王子が国の絡む仕事をこなさなければいけないのだ。
今の生徒会に入られただけでも邪魔になのに、そんな仕事こなせない。
そして、新しく就任したディルク生徒会長は現在その国の絡む仕事の真っ最中なのだ。
「入れ」
少し時間が経ってからいつもの低い声が返ってきた。
「失礼いたします。書類を届けに参りました」
ドアを音を立てないように意識しながら開けるとシンプルながらも美しい一級品の家具に囲まれた部屋が広がる。銀の髪が邪魔なのかピンで止めている生徒会長とその側近であり書記であるエリオットが、その部屋の真ん中の机に大量の書類に追われていた。
「ああ、ありがとう」
私と私が手に持っているコーヒーをチラッと見るとすぐに視線を山積みの書類に戻してしまう。その目の下にできたクマがどれだけ仕事があるのかを物語っている。
やはり、普段はエリオットが紅茶やらコーヒーやらを淹れてくれそうだが今回、秘書という役割を押し付けられた彼は暇ではないだろう。
そう思って持ってきたが、あたりだったみたいだ。
「それとコーヒーです。お疲れですよね」
そう言い書類を整理するとき左利きの彼の手に当たって溢れるなんてことのないような場所にコーヒー置く。
「…ありがとう、助かる」
「お手数をおかけしました、ありがとうございます」
2人がそれぞれ礼をしてからそのカップに口をつける。
喉が動くのと同時に、ほっこりとした表情をしていたエリオットの顔が固まった。
「…すごい美味しいですね」
「ああ、懐かしい」
人形のように無表情なことで有名なディルクの顔か綻んでいるのはよく見るが、いつもは何があっても美しい笑顔なポーカーフェイスを保っているエリオットの顔が真顔になっている。
そんなにコーヒーが美味しくなかったのかとも考えたが私はシトラルの頃から飲んでいるものを使っている。
私は実は結構紅茶やコーヒーにこだわりを持っているのだ。
わざわざ独自のブレンドのものを置いてもらっておりそれがまだ休憩室にある。
…そして、そのコーヒーを持ってきてしまっていたのだ…
「それは良かったです」
まさか…大丈夫だよね…?
投稿が遅れている上に全く話が進んでいません。本当にすいません…
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コメント
青凛ご
頑張ってください!
(´・ω・)っ旦~