女であり男でもある私は復讐をしていきます
11話 正直、反吐が出ます
「あなた、昨日アトレーテ殿下、ガルデ様とディルク様にも色目を使って言い寄ったらしいじゃない!身分を振りかざして媚びを売るのはよしてくださらない!」
入学式から一週間立った頃だろうか、私は授業が終わり昼休みになった時令嬢に呼ばれて半ば強引に裏庭に連れていかれた。
そして今、5人くらいの令嬢に囲まれている。
伯爵家のご令嬢がリーダーのようで、よく私に絡んでこれたなと感心する。
公爵家、それもインディゴ王国の私より身分の高い貴族はそうそういないからね。
インディゴは三ヶ国の中でエルデよりかは力をもっているのだ。
スティーアには敵わないのだが。
でも、こういう気の強い子は嫌いではない。
「申し訳ございません、お気に障ったのなら謝りますわ」
凛とした声でにっこりと微笑みながらそう彼女たちにいう。
想像していた反応と違ったのか、彼女らはこちらを驚いた様子で見ていた。
私は体が弱く、あまり外に出ない礼儀のなっていない令嬢のように思われているらしい。
そんなこと、ないのだか。
「それと、貴方も貴族の令嬢であるのならその自覚を持った方がよろしいですわよ。このような行いのせいで戦に…なんてことにならないように、お気をつけくださいまし」
腹黒い笑みを浮かべながらそう言うと、令嬢たちは顔を赤くしながら手をあげてきた。
「貴方の相手をさせられている方々がお気の毒ですわ!」
これは殴られる。と思い目を瞑り衝撃に備えるが、いくら待ってもこなかった。
ゆっくりと目を開けると、そこに立っていた人物。
それを見た瞬間、吐き気がしそうになった。
デュークス・ウルヴァリア。
騎士団団長の三男であの、シトラルの頃に私を蹴りまくった憎き男。
「大勢で1人に手をあげるのは感心しないぞ」
低い声で私に背を向けそう言うデュークスにどの口が言っているのだ。と蹴りたくなった。
「デュークス様…!わたくし達は何もしていないですわ!」
令嬢達はそう言ってどこかへ走って逃げてしまった。
「まって、こいつと2人っきりにしないでくれ!」と心の中で叫ぶ。
「大丈夫だった?」
くるりとこちらを向いて、笑顔でそう言うこいつに鳥肌が立つ。
「大丈夫ですわ。ありがとうございます。失礼いたします」
なんで、こんな奴に物語のヒロインのように私が助けてもらわなければいけないのだ。
早々に立ち去りたくて、そう言うとこいつは私の手を掴む。気持ち悪い。
「もう少し話さないか?またあのように絡まれては困るだろう?」
ほぼ強引に近くのベンチに座らされる。
笑顔が引きつりそうになるが、もういっそのことこの機会を逆に利用してやれ。
私にベタ惚れさせてから1番心をえぐる方法でふってやる。
そう考えて、魅了魔法を発動する。
瞳に魔力を集めるイメージで。
「そうですね、わたくし恥ずかしながらまだ友人ができていなくて…そう言ってもらえて嬉しいですわ」
少し頬を赤らめながらそう言う。
座っていても私より身長がかなり高いデュークスを見上げながら。
魔力を含んだ瞳でデュークスの目を見ると、だんだんとリビアングラスのような透明度の高い黄色の目が濁ってきた。
「え?」
そう声が出るのとほぼ同時に、デュークスの手が私の手と重なる。
ゾッと背筋が凍るのを感じていると、その骨ばった手が私の頬を触れていた。
「デュークス様、おやめください」
だんだんと近づいてくる顔に嫌悪感しかせず逸らそうとするがその手の力は強い。
ベンチに覆いかさばられるようになってからあいつは低い声で言った。
「うるさいな、嫌がってるふりしてどうせ嬉しいんだろ」
…は?
なんなんだこの自己中心的思考を持っているナルシスト男は。
その一言で、なおさらこいつはぶっ飛ばすと心から思った。
そんなことを考えていると、デュークスは私の手を取りどこかへひた
彼は私を引っ張り、近くの第3医務室に連れ込まれる。
ギュッと掴まれる手は昨日のスノーほどではないが痛いかった。
そのまま医務室に入ると、デュークスが目で養護教諭の先生に目で合図をする。すると、先生はそそくさと教室を出て行ってしまった。
「やめてくださいっ、離して!」
そう言う私を彼は投げるようにベットに押し倒し、その上に乗ってきた。
柔らかい布団に埋もれ、そこからぬけ出ようとする私を押さえつけてくる。
「やめて!」
もがいて、デュークスの手をどかそうとするのを楽しそうに見ているこいつはニヤリと笑いながらスカートの裾をたくし上げてくる。
妙に手際のいいのが怖い。
日頃からこんなことをやっているのだろか、いろいろな女子生徒に。
「よく抵抗するな、まあ、既成事実を作ればお前は俺のものになる」楽しみだよと呟いている。
首元のリボンをほどき、ボタンを上から順に外される。
そのせいではだけた肌に唇を落とされる。
ひたすら怖かった。
第3医務室なんかに来る人はあまりいない。
つまり、助けてくれる人は来ない。
もういっそのことライルになってしまおうか。
それでギッタギタにしようか。
けれど、それをするとアイラライト家に迷惑がかかる。
優しい父や兄に迷惑をかけたくない。
手で必死にデュークスの体を押し返そうとするが、ビクともしない。
「やだっ…やめて!」
私の首元のリボンをほどき、ボタンを上から順に外された。
そのせいではだけた肌にデュークスに唇を落とされる。
そのまま噛み付きそのまま吸われてピリッと痛みが走った。
「…っ!」
鎖骨より少し上のあたりに残った赤いキスマークを見てニヤリと笑い、耳元で「俺のものって印」といってくる。
この時ほど鳥肌が立ったことはない。
デュークスの手がスカートの奥深くまで潜り込んでくる。
足の間にデュークスの体が入り込んできて閉じることもできない。
ストッキングのガーターベルトが外されいっきに膝下まで下ろされる。
「やだっ…やめて…」
骨ばった手が私の足を直に触ろうとしたときだ。
「何をしている」
低く、地を這うような怒りのこもった声が聞こえたのは。
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