青い記憶

【第4話】交流

「青さん…」
「青。で結構ですよ」
「じゃあ…。青」
静かに青が微笑む。
「はい。何でしょう?」
「あの子、中学の時の私…だよね?」

ゆっくりとした口調で確認すると、青は頷きながら言った。
「そうです」
「今、何時??」

青は自分がしている腕時計をみた。
「1時30分…いえ25分です」

それを聞いた時、私は走り出した。私が走り去った方向へ。
私は迷わず体育館の裏口へ向かった。
目の前に竹やぶが広がるそこの階段は私の避難所のような場所だったからだ。

そこで1人の少女は泣いていた。

「ねぇ。」
相手が自分であるという安心感からか話しかけてしまった。

すると、少女はビクッと顔を上げてから2秒ほど私の顔を凝視した。
「どなた…ですか?」
私の制服をみてからその少女はそう言った。

高校生になったあなただと言っても信じないだろう。
「たまたま母校の前を通りかかって…懐かしいなって思ったから」
まだ怪しんでいるようだが一応頷いてくれた。

「それよりも、あなたはこんなところでどうしたの?」
知っていることをあえて聞くというのは心苦しかった。

ボロボロになった体操服を後ろに隠してから少女は言った。
「1人でいる時間が…好きで…」
そう。としか答えられなかった。

「あ、じゃあ、もうすぐチャイムがなってしまうのでこれで」
ぎこちなく笑ってから会釈をして去ろうとする少女に私は声をかけた。

「ねぇ」
「…はい?」
「明日、またここに来ない?」
少女は少しだけ目を見開いた。

「私と、お話しよ?」

少し目を泳がせてからゆっくりと笑顔になった。
「はい!」
また明日。と走り去る少女の目にはもう涙は無かった。

その背中を私は静かに見送っていた。
「こんなところにいたんですね」
後ろを振り向くとやれやれといった様子で青が立っていた。

「困りますよ。勝手に離れちゃ」
「あっ…ごめん」
どこまでも澄んでいて、どこまでも暗い彼の目を見れず下を見ながら言った。

「お話。できましたか?」
「え…?」
「過去のご自分と」
見てたのか。少しこのガイドに人間味が感じられ嬉しく思った。

「うん。また明日ここにくるって」
青は優しく微笑んだ。
「それは良かった」

では、と青は時計を見た。
「ちょうど…です」
「何が??」

気がつくと私は高校の校門の前にいた。
時計は5時を指していた。

「また明日」

そう呟くと私はさっきよりも少し明るい気持ちで帰り道を歩き始めた。

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