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(自称)小説家が異世界召喚されて勇者として無双するかと思いきや商売とバイトでしか無双出来ていません!

平涼

王女の秘密

 「それで何か心当たりはあるわよね?」

 王女様のお姉さんが笑顔だが、全く笑顔に見えないのは俺だけだろうか。

 「いや、まさかこんな事になるとは俺自身思っても無かったですよ」

 「ふーーーーん」

 疑わしい者でも見るかのように見てくる。冷や汗が止まらないから止めて欲しい。

 「まあ、私達の責任でもあるのかもね」

 お姉さんは土下座をして顔は見えないが遠くを見ているような気がする。

 「座りなさい」

 彼女の顔を見るともう怒っていなかったので、もう一つの椅子に座らせてもらう。

 「改めてティーナよ。別に敬語も不要だから私の話を聞いてくれるかしら」

 「はあ、別に暇なのでいいですけど」

 夕方までは毎日適当にブラブラしている。そこからはイリ―サの最近は話し相手ではなく、厄介者扱いされていますね。

 「話すのはイリ―サの事よ。あなたには聞いて欲しいの」

 「はあ、いいですけど」

 それからあティーナは話してくれた。

 王女と呼ばれているイリ―サは実際は王女ではない。それを話すのはもう少し後でだ。

 初めに目の前にいる彼女ティーナさんはこの王国の国王の第二継承者だそうだ。

 そして第一継承者は長男の男らしい。そして要するに王女は第三継承者だ。

 そしてここからの話は残酷だった。

 何故王女があんなにも皆を嫌っているのは自分をこの家に閉じ込めるからだ。

 ただ、それだけを聞いたら貴族なのだから多少の自由は制限しろと思われても仕方ない。

 しかし、この話はどうみても王女が思っていることは正しいと思った。

 まず、第一継承者である長男の男は現在前線で戦いに挑みに行っているらしい。ただ、王族なのでステータスも高い。だからこそ死なないと判断したらしい。

 だがもしも長男である男が死んだ場合、次に国王に選ばれるのは第二継承者であるティーナさんだ。

 なら王女はどうなるのか。その答えは簡単だ。もしも第二継承者であるティーナさんが病気か何かで死んだ場合に代わりに受け継がれていることになっている。

 だけど、そんな事は確立は低い。だが、零とは言い切れないからこそイリーナも国王になる為の知識を毎日身に付けなければならない。

 そして王女は第三継承者ではあるが、身の危険がいつ迫るか分からないからこそ外に出るには警備の人が必要であり、自分一人で出掛けることも出来ない。

 だがここで考えてみて欲しい。

 自分がもし王女の立場になったのならだ。

 王女は何をする訳でもない。長男である男、ティーナさんが死ぬかもしれないその現状になるまで何もすることはない。ただ、意味があるのか分からない国王になる為の勉強を常にやらなければならないのだ。

 イリーナがこの王宮にいる人達を嫌いになるのも分かる。

 そしてここに来てようやく疑問の一つが解消された。何故、王女があんな口の利き方をしても許されるのか、何故王女が俺なんかの平民と毎日話してるにも関わらず周りの連中は怒らないのか。

 それは王女の事を可哀そうと思っているからだろう。だからこそ、皆は彼女に対してあまり怒りたくない、自由にさせてあげたいという気持ちが強いのかもしれない。そしてここで彼女に王女という称号をイリーナに渡したのは彼女を怒らせない為の物なのかもしれない。

 ただ、俺から言わせればそこまでするぐらいなら王女の好きにさせてやれよと思うがそう都合よくはいかないのだろう。

 「それで何で俺にこの話をしたんですか?」

 「あなたがイリーナに懐かれているからね。あなたはイリーナに対して色んな事を教えてあげて最近は楽しそうにしていたわ。だからこそあなたにお願いがあるの」

 「何ですか?」

 何だか予想がついてしまうのが嫌な所だ。

 「イリーナをこの王宮から出させてあげて欲しいの」

 だと思った。そしてその方法も多少は思いつくが、一応聞いておこう。

 「どうやってですか?」

 「まず、私が馬車を用意しておくわ。それに乗ってあなた達はこの王宮を出る。勿論疑われるから、あなたは街に戻った彼女達の手紙を読んで帰ったことにする。イリーナは魔王軍に連れて行かれたことにする」

 彼女の眼は本気だった。けど、

 「お断りします」

 彼女は少し目を見開き、

 「どうして?あなたもイリーナの事は気に入ってるでしょ」

 「まあ、確かに気に入ってないと言えば嘘になる。だけどそれは俺がやるべき事じゃない。それをやるのはあんた達の仕事だ」

 「それが無理だからあなたに頼んでるのよ」

 「どうして無理だと決めつける。簡単だ。魔王軍を死ぬ気で倒し、平和になるのなら彼女は今後少しは自由を手に入れることが出来る筈だ。それか魔王軍との戦争を止めて彼女を自由にさせてあげるかだ」

 ティーナさんは立ち上がり、

 「あなたは何を言ってるか分かってるの!?魔王軍に降伏なんてしたらそれこそ終わりだわ!」

 「誰が降伏するって言ったんだよ。戦争するんじゃなくて防衛戦をすればいいんだよ。この国の周りに城塞を作るまでは大変かもしれないがそれからは安全だろ?まあ、魔王軍を死ぬ気で倒す事は出来るならしているから出来ないかもしれないが」

 城塞を作ればもし王女が行方不明になっても直ぐに分かる。逃げ出す事は不可能だ。それに城塞を作るのは時間が掛かるように見えてそうは俺には思えない。この世界には魔法があるのだから大丈夫な筈だ。

 「......けど、そんな事を出来るわけがない」

 俺が今回この提案を断ったのは簡単だ。

 「やる前から人に押し付けるなよ。やってから言ってくれ。確かに俺も王女は可哀そうだとは思うし助けてやりたいとも思える。けどそれをやるのは俺じゃない。家族のお前らがやるべきことだ」

 「それが出来ないからあなたに頼んでいるのよ」

 「いや、出来ないんじゃない。やろうとしていないんだ。ならもし俺がいなかったらどうするんだ?その時はずっと王女はこのままじゃないか」

 彼女は無言だ。

 「もし俺がやるとしたらあんたらが何かしてそれでも無理ならの話だ。城塞を作っても破壊されたり、もう打つ手がない、何かをしてから言うのは分かる。俺もやってもいい。けどやる前から人を頼るなよ」

 こんなカッコイイ事を言ってるがこれ全部バイト先の人の受け売りだ。

 俺が飲食店のバイトの時、まだ全然作り方なんて覚えていなかった頃に料理を頼まれた。だが、俺はそれを無理だと言った。当然だ。まだまだ出来る自信がなかったのだから。だが、料理長が、出来ないでもいい。やる事に意味があるんだ。初めから出来ないなんて言うならやってから言え!とその時が最初に怒られた事だった。そして自分自身恥ずかしくなり頑張ってやった。

 まあ、結果は出来なかったが、料理長は笑顔でこれで少しは覚えることが出来ただろ?とドヤ顔で言っていた。

 「.....分かったわ。城塞の提案をお父さんにするわ」

 ティーナは決意の籠った目で見ていた。

 俺は立ち上がり、

 「もしきつそうならその時は手伝ってやるよ」

 それだけ言い残し、立ち去ろうと歩く。

 今の俺カッコよくね?と思ってしまうのは仕方ない。

 「......待ってください」

 と思ったら止められてしまった。

 「なんですか?......ん?あんた誰だ?」

 そこには確かにティーナさんがいるのだが、何故別人のような気がした。俺の勘違いか?

 「察しが良いですね。私はミリス。平和を司る女神です」

 彼女は唐突にそんな事を言ってきたのだった。

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