異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
傲慢、そして巨漢
「がぁーっはっはっはー! 時は来た! 我軍が敵を根絶やし、蹂躙する!」
騎士の脆弱さに頭を悩ませていると、法生司達の席の奥から傲慢な言葉が怒声の如く響いてくる。
どうやら伝令が届いた様子。
煩いが、その言葉に傲りはない。
それを体現するかの様に、法廷を囲う鉄の檻が震えて始める。
ギシィ......バキッバキッピキッ!
そうしてしばらく鉄の檻が唸ったかと思えば、固定されているはずの檻が動き始める。
右側は左へ、左側は右へ。檻は声のした方へと向かって行っている。
その現象に法廷内にいる者は動きを止めて、遠くから此方側を観ている野次馬達はその現象を引き起こしている者の方を見ている。
それが少しの間続き、法廷を囲っていた檻は消え去った。
直後に重い物が地面に落ちる音が鳴り響く。
「我等を阻む壁は取り払われた! 皆の者、進軍せよっ!」
「「「「「「「「「おおぉっ!」」」」」」」」」
再度声が上がると、それに答える騎士達の声が豪雷の如く轟く。
そうして法生司達の席の裏から、その横側から。
先の部隊長が率いる騎士の数の倍以上はいる量で攻めてくる。
「待て! 今回は我々の部隊が任(にん)を任(まか)されたのだぞ! 貴様の部隊は、包囲だけだろ!」
そんな彼の行動が不服な様で、女部隊長が反論をする。
「ふん、そんな小僧一人を処刑する所か、捕まえる事すら出来ぬお前になんぞ任せておけるか。我々が代わりに殺してやろう」
その反論に答えたのは、周りにいる騎士達よりも二、三回り大きい者だった。
声からして先程の傲慢な言葉を吐いた者だろう。
巨漢である彼に痛い所を突かれ、彼女に一時の間が出来る。
その隙を見逃さず、彼は動く。
「第七、第八部隊! この場に居る者全てを殲滅せよ!」
物騒な言葉の号令がかかると、彼の部下の騎士達は先程の雄叫びよりも一層煩い雄叫びを上げながら小僧達を、そして法官や法生司、法生司長の周りを囲む。
私の周りにも数人が集まるが、小僧達を覆う人数の方が数倍多い。
「そこの貴方。我々法官や法生司にも手を挙げるつもりですか?」
「ああ、そうだとも。敵は殺せと言い使っている。それが例え国の機関の人間であったとしても。安心しろ、俺に嬲り殺す趣味はない」
「その行為がどういう事を意味するのか、貴方方は本当に理解しているのですか⁈」
「「分かっている」」
もはや虫ケラを見る様な目を彼らに向けながら問うている法官。
しかしそんな事を気にも留めず、彼らは淡白に答える。
その返しに嘆息を漏らし、どうする事も出来ないと察して、これ以上の追及を諦める。
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