異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

信念、そして偽証罪

 
 その返事を聞いて、ユキナは考えていた事を述べる。

「じゃああ、の血はリ、リーが殴ら、れた時、のだと、思う。わた、し切って、も切られ、てもな、い。証げ、ん違、う」
「?」
「え、ええ......」

 彼女が質問した際に何か打開のアイデアを思いついたのかと思ってしまった彼らは、彼女のセリフに肩透かしを喰らう。

「......トロ、ジーが言、ってた。悩ん、だ時は、分かっ、てる事、を声に出し、てみるの、が良、いって」

 彼女のその信念を聞いて、停滞している現状の打破としても見解の相違を確認してみるのは正しいと考える。

「そうね。まずは確認する事が大事ね」
「サナの言う通りね。フェーネさんの能力で見た絵の中で、激しい争いは起こっていなかったから、証言が嘘だった。ユキナ、これで合ってる?」
「うん。だか、らあっちの、証言は、嘘があ、るって、暴け、る」
「......」

 キリがユキナに確認を取る。
 それに同意し、これからの方針を決める。
 そんな彼女らの会話を聞いて、東は考え込む。

「被告弁護人、被害者証言人に対する異議申し立てがないようであれば、判決に移ります」
「! 待ってくれ。その前に確認したいことがある」

 しかしそのタイミングで法生司長から催促が入る。
 慌てた東が無理矢理引き延ばすために待ったをかける。

「悪い、皆で話し合ってくれ。俺は法生司長と話して時間を稼ぐ」

 小声で彼女らに告げる。
 本来であれば無駄話を通せる程、公判は優しくない。
 それを分かっているへーネルらは、後がない東達を見て薄ら笑いを浮かべていた。
 しかし──

「証言した者が話を盛っていたり、部分部分で嘘を吐いていた場合、その証言はどうなる?」

 当然今回の件で被害者側の根源が揺らぐ場合は、少なからず答えてもらえる。
 今は一分一秒でもキリ達が話を出来る時間を確保したいと考える東。

「当然無効となります。また、その者は偽証罪の罪に問われます」

 先ほどのフェーネの能力によって、無効に出来る証言は全て......とは言い切れない。
 いくら争った形跡があり血痕があったとはいえ、あの場で東達が暴れていない、という証明にはならない。
 そしてサヘルが読んでいたように、それを裏づけるための映像があった訳でもないのだ。
 過剰であったとしても嘘であったとしても証明出来なければ、無効には出来ない。

「だから最初の人の証言は嘘。だってリリー、殴ってなんかいなかったもの」

 東の後ろで先ほど決定した通りに、サナ達は現在分かっている事を出し合っている。

「でも肝心な最後の人の嘘が残ってます」
「それが証明出来なかったのが、痛いわね」

 一番の問題である茶毛の証言を覆せなかった事に、顔を少しだけ歪ませて嘆くニーナとキリ。


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