異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
劣勢、そして言い合い
声の主はサヘルだ。
彼は、背もたれに身体を預け、こちらを見下す様な体勢をとっている。
しかし体型のせいで顔が肉に埋まっていて少し面白い。
「なんだ」
「法生司長よ。貴様、今し方判決を口にしかけていたではないか。何故それを止め、下らん論争を再開させようとしている。終わらせんか」
こちらを無視して裁判長を相手に話を進める。
「............判決を再度申し上げます。被告、リリースティアに判決──」
「待て。こっちはまだ証言が残っている。勝手に終わらせるな」
「貴様は黙っておれ」
「断る。こっちにも反論する権利がある」
「判決が下されるのを妨害する行為は不敬だぞ!更に罪を増やすか!」
こちらもある程度準備をしてきたんだ。何も出来ずに勝手に終わらされてたまるか。
しかしサヘルの次は、その部下が喰ってかかってきた。
「その理屈ならお前の上司も遮って妨害していただろ。それは良いのか?」
「そ、それは......」
「サヘル殿が遮ったのは、あくまで公判の再開の宣言です。貴方のように判決を妨害しておりません」
へーネルがたじろいでいると、法官が助け舟を出す。
もうあれこれ言われるのも面倒なので、とっとと証言を始めたらダメだろうか。
「なら公判を続けるというのには、問題ないんだな?彼女の質疑に対して裁判、法生司長は検討の余地があると判断したから、公判を再開しようとしたんだろう。問題ないな?」
「いいえ、それは違います。法生司長が判決を下そうとした時点で、その思案は棄却と判断されています」
「ならさっき言った通り、今度はこっちが証言を行うことは問題ないな?」
「それは法生司長が決める事です。ですので、また邪魔をなさらない様に」
あくまで裁判長が決める。
そうなるとこっちが不利。さて、どうするか......
公判が再開されない場合は意地でも再開を言うまで止めようと考えていたが、さすがにダメか。
そうなると最終手段は、リリーを連れて国外脱出だな。
例え国を相手にしてでも、彼女を助ける。
何もしていないのに捕まる。そんなのおかしいだろ。
ましてやここは奴隷王国とも呼ばれる国。そんな所で罪人として捕まれば地獄を送ることになる。
「それでは──」
緊張が全体に伝う中、裁判長が厳かに口を開く。
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