異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

魔獣、そして固有能力

 
 そうしてそのスライムらしき物が、跳んだ。狙われたのは、サナだった。

「!」

 しかし完全に飛びつかれる前に身を捻って紙一重で避ける。
 やっぱり何かおかしい!
 そう思い『魔眼』を使う。

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 バキュースライム:攻撃準備
 Lv.13
 特殊:体液で触れているものの魔力を吸い、自身の核に貯める
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 魔獣か。
 動いた時点でそうだとは思っていたが、それにしても魔獣まで使って来るか。
 ......いやでも、ボアアガロンの時も魔獣を使ってきたか。もしかして魔獣は、使役することが可能なのか?
 それこそバジルのような固有能力を持っているやつがあっちにもいるのかもしれない。
 ......さすがに今回はバジル関わってないよな?
 そう考えていると服を軽く引っ張られたので、そちらを向けばニーナが握っている。

「どうした?」
「アズマさん、少し訊いてみたいことが...」
「分かった。なら少し待ってくれ」

 彼女と話していと、バキュースライムがサナに飛びつこうとしたため周りの連中がざわつき始める。

「どうだね?カームベルによってその指輪は、その女が所持していた物だと証明されたが」
「見張りを、アイツを殺したのは、お前かぁ!」

 サヘルが余裕の笑みを浮かべる。反対にへーネルは怒りを露わにして怒鳴る。

「人殺し共がっ!」
「獣の分際で人を殺しやがって!」
「獣人は奴隷にすべきだ!」
「「「「そうだ!そうだ!!」」」」

 それを合図としたかのように、周りからサナへの批判の声が上がる。
 幸いなのは、彼女が彼らに何を言われているのか、正確には分からない所だろうか。
 ただ正確に分からないだけで、罵声が自身に向けられているというのは分かってしまうらしくムッとしている。
 対してほとんど意味を理解出来たニーナの方は我慢ならなかったらしく、何か言い返そうと後ろを振り返ろうとした、まさにその時だった。

「「「「「「「「っ ︎」」」」」」」」

 彼女が振り返るよりも先に氷が走っていた。
 二重に敷かれた檻の隙間からいくつもの鋭い氷が突き出している。
 幸いなのは水が檻を這うように進行していたため、その氷で檻の周りにいる野次馬たちに怪我を負わせていないということだろう。
 その氷の出所を辿った裁判長が、表情を険しくしながら厳かに告げる。

「公判中に固有能力の使用は厳禁。ましてや周囲に危険を及ぼすものとなれば尚更です。即刻退廷願う事になります」
「なら、魔獣は良いのか?」
「はい?」
「さっき証拠品の証明のためと言って使用された動く液体。あれは魔獣だって言っているんだ」

 出て行けと言う裁判長に異議を唱える。



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