異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
復興中、そして二つの結果
三十分経つ前に全員が準備を整えて玄関前に集合した。
そこには見送りとしてポールさんとマリアさんも立っていた。
解散後にポールさんに事情を話してある。その際にポールさんが「リリー様にはお世話になっておりますので、不躾なお願いではございますがお願い致します」と言われた。
リリーはギルドへ行かない日などは基本的にポールさんやマリアさんたちメイドさんの手伝いをしたりしている。
みんなも手が空いている時なんかは手伝いや話し相手などを務めているが、リリーの比ではない。
キリやサナは日々のトレーニングを、ニーナやユキナも手伝っている所をよく観るがそれよりも料理や裁縫といった家事系の練習をしている。
だからリリーのことは二つの意味で心配なのだろう。
当然「ええ、絶対に連れて帰って来ます」と返した。その時のポールさんは安堵の表情を浮かべていた。
そういうことでポールさんとマリアさんの見送りを受け、俺たちはまずハドルフへ行く。
「!」
ゲートを潜るとそこには荒れ果てた光景などはなく、数十人による復興中の光景だった。
「ここ、復興してたんだ」
「少しま、えから始ま、ってる。嬉し、い」
「そうだったのか。良かったな」
「ん」
本当に嬉しそうな顔のユキナ。
しかしその表情は彼女だけではない。
昔のことを彼女から聞いている他のみんなも喜んでいるし、今復興に勤しんでいる人たちの表情からも笑顔が浮かんでいる。
そのことは俺も歓喜しているが、それよりも人がいないと思ってすぐ近くにゲートを開いてしまったことだ。
まあ周りで驚いてる風もないので多分大丈夫なのだろう。
「どうする?会いに行ってくるか?」
「今はい、い。リリーがさ、き」
「....そうか」
俺の質問に迷うことなく答えたユキナ。
それを見て思わず強いなっと思ったがそれを口に出すことはなかった。
復興中のハドルフを後にとりあえず全員場所を移す。さすがにここでゲートは使えない。
森の木々で村の様子が窺えないほどまできてから、とりあえず方角を知るためにキリの能力に頼る。
「......あっち...いや、こっちかも」
数秒経ってから彼女は村の方を指してから少し間を置いてからほぼ反対の方を指した。
それは今までの彼女からは考えられない結果だった。
「二つあるって事ですか?」
「んー....私にもよく分からないの。最初はあっちの方だと思ったんだけど、でもその方向を指すとなんだか違うって感じて、それと同時に今度はあっちって感じたの」
「もう一回試してみたら?」
「そうだな、それでも同じなら両方行ってみよう。魔力は足りそうか?」
「まだ大丈夫よ」
そう言ってキリは再び能力に集中する。
「....ダメ、やっぱり同じ方から感じる」
「そうか、ならさっきも言った通りその二つとも行こう。情報を集めよう」
「二手にわ、かれて探、す?」
「ですね。時間はどれくらいにします?」
「三時間ほどかな」
「それだけ?」
俺の提案した時間に全員が納得していない。
まあ、そうだよね。普通ならニ、三日くらいは情報を集めたい。
しかし──
「本当はもっと欲しいけど今は先にどちらにエルフの里についての情報が多いのかが知りたい」
「なるほどね」
これで納得してもらえた。
「なら、私はあっちへ」
「じゃあ私もキリと同じ方へ行くわ」
先にキリが村の反対の方を指し決めた。それに続いてサナも同じらしい。
「なら私はこっちにします」
「私、も」
そしてニーナとユキナが村の方を指差し決めた。
ニ、ニに分かれたな。
さて俺はどっちに行くべきか?ニーナがいれば少々だが多国語を話せるらしいので、より情報を多く集められそうだ。
そう考えるとキリたちの方へ行くべきだが、何かあった時の場合を考えるとニーナたちの方が良い、か。
戦闘などになった場合の仮定だが。
決してニーナやユキナが弱いという訳ではない。彼女らも腕の立つ冒険者なのだからある程度のことは彼女らでも対処が出来る。
しかしそれでもキリたちと比べるとやはり危ないか。
「うーん....」
「何悩んでるのよ?あなたはニーナたちについて行ってちょうだい」
「でもな──」
「大丈夫よ。私たちだって少しくらいは勉強してたわよ」
「ええ。と言っても、さすがにあなたやニーナほどはしゃべれないけど」
「そうなのか」
どうやら悩んでいた理由は彼女らには筒抜けだったようだ。
それに彼女たちの表情からも自信のほどが伺える。
なら決まりだな!
「分かった。なら俺はニーナとユキナと一緒に村の方側に行くことにする」
「なら行きましょうか」
「ああ」
そうキリに促され、ここから『千里眼』の届く最大距離内で村の反対側の方向の街を見る。
そう思って眼に魔力を流そうとした時だった。
こちらに近づいてくる人の気配を感じた。
「うわっ ︎あなた達、ここで何をやってるの?」
人の気配を感じた時にそちらに視線を向けていたので俺たちは特に驚きの反応は示さなかったが、草木を避けて近づいてきた女は驚いた表情で俺たちを見ている。
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