異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

元通り、そして久々に

 
 あれから一週間とちょっとが経ち、ニーナは元に戻った。
 そして視線が合うなり俺が原因なのだが赤顔と涙目になりながらニーナに謝られた。 
 必死に謝り続けるニーナをなだめながらこれからは事前に言ってもらうことと、ちゃんと俺も気をつけることを互いに約束した。
 まあ、これはサナに怒られた時に約束させられたことだけどね。
 ニーナもそれに納得して謝り続けるのを辞めた。
 ちなみにその夜のニーナの食事量はキリには劣るがかなりの量を食べた。
『フェロモン』って出すとお腹でも減るのか?
 そんなことが頭をよぎったが分からないのでそれ以上は気にせず自分の夕飯の続きを食べた。
 それから数日後にサナの発情期が始まったがニーナの件もあったためサナの部屋へは行かなかった。ただ発情期が終わったサナからなぜか少し睨まれた気が....
 気のせいだと思うがな。
 食事量はニーナと同じでかなりの量を食べた。それに比例してなのか翌日のトレーニングはかなりハードにやっていたとキリから聞いた。


 さらに数日が経ち剣の刃こぼれがもう俺が研げる域越えて欠けてしまったのでカールさんの所へ行こう。
 王都にも腕の良い鍛治士はいるが俺が持っているこの剣はカールさんに頼んだ物なのでカールさんに直してもらいたいのだ。
 直してもらっている間に久々にカナさんの所へ声をかけに行こう。
 そのことをみんなに伝えるがみんな用事があって無理と言われた。キリに関しては街で開かれる丼の大食い競争に参加しに行っているとのこと。
 という訳で一人となった。
 ゲートを繋ぎ、潜ると多くの木々が立ち並ぶ森へと出る。初めて俺がこの世界に来た時に目覚めた森だ。
 森を歩いて行くのもいいのが今回は辞めておこう。少し用事もあるのであまり時間をかけてはいられない。
 そう思いゲートへの魔力を調整して麓(ふもと)くらいに合わせて再び潜る。
 そこからしばらく歩いて行くと目的の町、エネリアへと着く。
 そのままカールさんのいる武器屋へ行き、中へ入る。ドアを開けると鐘が鳴る。

「いらっしゃって、よお小僧!久しいな。元気にしてたか?」
「ああ、そっちの方こそどうだ?」
「当然元気さ、でなきゃやっていけねぇ」
「そのみたいだな」

 そんな挨拶を交わす。

「んで、今日は何用だ?」
「これを研いでくれ」

 そう言って宝物庫から馴染みの剣を取り出し、おっさんの前に置く。
 おっさんは鞘から剣を抜き、険しい顔で剣の刃を眺める。元が怖いため険しい顔になるとさらに怖くなる。

「こりゃまた、かなりボロがきてるな...ちゃんと研いでいるんだろ?」
「ああ、でも色々冒険してきたからな。そうなっても仕方ないと思ってる」
「....この剣かなり希少(レア)な素材で出来てるからそう簡単には傷まねえはずなんだが、お前さんどんな冒険に行ってんだよ」
「さあ、他の冒険者たちと同じだろ」
「本当かよ....」

 そう言うなり少し怪訝そうな顔をしながらおっさんは剣を奥へと持って行く。

「どれくらいかかりそうだぁ」
「そうだな...こりゃあ二、三日はかかるな」

 奥から戻って来たおっさんが顎に手をやってそう言う。

「うーん、まあそれくらいならいいか。頼む」
「おう、任せておけ」

 おっさんの言葉を背にして店を出る。
 そしてその足でカナさんのいる宿屋へ向かう。数分くらいで宿屋『甘味』に着く。
 そういえばこの店店名が漢字表記だな、他の店の店名はカタカナ表記なのに。何か意味でもあったりするのかな?
 そんな疑問を抱きながら店の中へと入る。

「うおっ ︎」

 中に入ると、沢山の人が立ち並んでいた。
 まるでギルドの酒場...いや酒場よりも人がいるかもしれない....

「はい、次の人!」

 とりあえず人の波を通り抜けて何とか受付台まで行くと、慌ただしく仕事をしているカナさんがいた。

「カナさん、これどういう状況?」
「アズマ君!ちょうど良かった!手伝って!」
「は?手伝えって何を?」
「ここでお客さんの名前書いてお金を受け取るだけ!どうせ皆んなお風呂が目当てだろうから」

 そうカナさんに腕を引っ張られて無理矢理仕事を手伝わされることになった。
 これの忙しいことと言ったらきりがない。
 勘定などの接客業は地球でアルバイトはかなりしていたがここまで慌ただしく接客することはなかった。しかも理由は不明。
 ただお客さんの名前を訊いてそれを名簿に書き、代金をもらうの繰り返し。
 時折面倒なお客もいるがそんなのを一々相手にしていたらこの仕事は回らない。なので適当な受け答えをして、突っかかってきた人にだけ丁寧に接客した。
 そのお客さんが本当にお風呂に入ったかは覚えていないけどね。
 言っておくが手は出していないので店には迷惑をかけていない。
 そんな感じで裁いているはずなのに時間とともにお客さんはどんどん増えて行く。

「(ふっふっふっ、ほぼ毎日バイト生活だった俺をナメるなよ!やってやるわ!)」

 そう意気込んでどんどん増える客をどんどん裁いていく作業が始まった。


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