異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

密室、そして情報

 
 おじさんとデオルさんが大慌てで階段を降りてきた。

「はぁ...はぁ.....な、何だ.....んあっ....キリサキ殿ではないですか」
「お知り合い...はぁ、ですか?」
「え....ええ。ふぅー....ん?もしかしてキリサキ殿が国王様からの使いですか?」
「ああ。大事な会議中ってことは分かってるけど、こっちも急用なんだ」
「大丈夫ですよ。そう言う事でしたらまずは場所を移しましょう」
「ああ」

 デオルさんはそう言うとすぐ様歩き出した。
 俺はその跡をついて行く。
 階段を上がり、しばらく進んで行きその先にあった部屋へと入った。
 部屋の中は楕円状の真ん中がくり抜かれたデカい机とそれと等間隔に椅子が置かれている。

「ここは他の方々が会議などで使うんですが、今回は特別に使わしてもらいましょう」

 そう言ってデオルさんは椅子を二脚を対面になるように置いた。
 ・・・言ってはなんだが、こんな密室でなぜおっさんと二人っきりでさらに向き合わなければっと思ってしまう。
 まあそんなことを気にしている場合ではないな。
 俺とデオルさんは椅子に座る。

「じゃあ、早速だけど・・・」

 それから俺はまとめておいた今までの経緯を話した。

「成る程、そのような物が・・・」
「それで、何か知っているか?」

 デオルさんはしばらく考え込んでから首を左右に振った。

「すみませんが、私の知っている限りではそのような魔道具があるなんて話は聞いた事もないですね」
「そう、か・・・・」
「お力添え出来ず申し訳ない。わざわざ国王様の命でいらして頂きましたのに・・・・」
「いや気にしなくて良いさ。あの魔道具が特殊すぎただけなんだからさ」

 本気で落ち込んだように見えたので慌てて宥める。

「特殊....ですか。そう言えば最近西側の国で変な噂が流れているんですよ」
「ほお」
「その噂の内容はまちまちなんですが纏めますと大体が「特殊な魔道具を貴族達が生産している」というものなんですが。もしかすると今回の件も何か関係あるかもしれませんね」
「なるほど・・・ワンチャンあるかもな・・・・」
「ワンチャン?犬ですか?」
「ああいやそうじゃないけど、まあ説明は省かせてもらうよ」
「そうですか」

 詳しく説明してもいいけど、それよりも先に気になるのが・・・

「その噂が立っている西側の国ってのはどこら辺にある?」
「そうですなー・・・地図はお持ちでしょうか?」
「ああ」

 宝物庫からこの世界の世界地図を取り出し、それをデオルさんに渡す。

「少し遠いですがこの「カシオピア王国」という国です」

 カシオピア王国。ベガから北西に位置しており、面積はベガの倍はあるように見える。

「行ってみる価値はありそうだな」
「!止めておいた方が賢明ですよ?この国はあまり良い評判もありませんし、何より隣国の「アンドロメア皇国」と戦争になりかけているという噂もちらほらと聞きますので」
「なるほど・・・」

 まあ俺が行ったタイミングで都合良く戦争が起こるなんてことはないだろう。それに行かない訳にもいかないしな。
 デオルさんに聞きたかったことは聞けなかったがそれに近しい情報は手に入ったのでデオルさんに礼を言ってからこの建物から出る。
 出る際にデオルさんは玄関まで見送りに。あの受付嬢たちとおっさんも低い腰で見送ってくれた。
 しばらく進んで背後からの視線も消えた所で裏路地へと入る。

「現実はそう甘くはないか、はぁー・・・」

 神様に訊かなくてはならなくなったためため息がつい出てしまった。
 念話で神様に行くことを伝えてからゲートを謁見の間に開く。


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