異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

到着、そして包囲

 
 王宮へ向かい千里眼の射程距離くらい内まで進んでから魔眼と千里眼を発動し王宮内を見回した。
 中の様子も全てがおもちゃへと姿を変えていた。
 それぞれ別の色の霧をまとった武器や食器を持った三、四十センチほどの熊や猫や犬などのぬいぐるみたちが王宮内を徘徊していたが、かなりの量だった。
 もしかしてだが、元兵士かメイドなのだろうか。
 そうなると生物にも影響があるのか....
 そんなことを考えながら周りよりも一際豪華な扉が立った部屋の中へと姫様の霧が続いているのを見つけた。
 その部屋の周りに人がいないことを確認してから扉の前に魔力調整をしてゲートを繋ぐ。
 ゲートを潜ると豪華な扉の前に着いた。

「ほい、到着っと」

 そう言いながら扉を開け、中へと入る。
 中に入るとベッドに付くほどの神様と同じブロンドヘアの少女がベッドの上に座っていた。
 少女の瞳は綺麗な紅色オレンジカイヤナイト、肌は白く、細い、白色のドレスのような服。
 歳は十歳ほどだろうか?
 そしてその少女の側には熊と猫のぬいぐるみが二足で立っている。

「えっと、君がお姫様であって...」
「 ︎キャーーーーー!誰かぁーー!」
「ええ ︎ちょっ!」

 近付こうとした所で我に返ったのかいきなり悲鳴をあげた。
 するとその悲鳴を聞きつけてか武器を持った大量のぬいぐるみたちがこちらへと駆けて来て、俺を取り囲んだ。

「ちょっと待って、とりあえず俺の話を...」

 弁解しようとしたが既に姫様は数匹のぬいぐるみによって守られているし、姫様も怯えているせいでダメそうである。
 というかまずはこの状況を何とかしないとダメだな。
 俺を取り囲んでいるぬいぐるみの数は約二十匹ほど、武器は全員槍、それも二十センチほどの。
 はっきり言えば剣で相手をすればさほど面倒でもないのだが元が人間の可能性もあるので却下だな。
 麻痺とか効くかな?
 そんなことを考えていると四匹ほどがジャンプして攻撃を仕掛けて来た。

「っと、ふうぅっ!」

 一番近くから槍で突いて来た熊の槍を左手の指と指で挟み、そのまま振り被って攻撃を仕掛けて来ている猫と犬のぬいぐるみをなぎ払う。
 払われたぬいぐるみはそれぞれが近くの壁にぶつかったたり、途中で地面に落ちバウンドして少し遠くまで行ったり、味方の上に落ちたりした。
 まだ左手に槍を掴まれている熊のぬいぐるみに右手で触れ、麻痺を発動する。しかし効果はなく、ぬいぐるみはジタバタしている。
 槍から手を離し、ぬいぐるみは下にいる味方の上に落ち、二匹を下敷きにした。
 それでもすぐに起き上がり、俺に槍を向ける。
 よく見るとさっき吹っ飛ばしたぬいぐるみたちも戻って来ている。
 うーん、ぬいぐるみを殴ったりするのは気が引けるなぁ。しかし麻痺は効かない。
 なら他に動けなくさせるには....!あるにはあるな。姫様はちょうどベッドの奥の方まで行っているので多少とんでも平気だろう。
 そう思い宝物庫から水儒核を取り出す。
 軽くジャンプしてから水儒核に魔力を流して水を大量に流す。そしてぬいぐるみたちが流される前にウォーミルを発動させて一気に凍らせる。

「と、うおっ ︎っと危ね」

 凍った水の上に立ったので危うく転びかけたが何とか転ばずに済んだ。
 氷漬けになったぬいぐるみや氷が絡んで動こうにも動けないぬいぐるみとなった。

「さてと、話しを訊いてくれ...」

 視線を姫様に移すがさっきより怯えている。
 いや、もうどうしたら良いの?もう構わず怪しくないって言ってみるか。
 昔マンガで見たように腕を円を描くように回して右手を腹あたりに、左手を背中くらいに置いて深々と一礼する。
 そしてなるべく丁寧に、

「お初にお目にかかります、姫様。私目は桐崎 東という冒険者でございます。突然の訪問、失礼致しました。今回は姫様にお願いがあり、参りました」

 これでどうだ!
 しばらく礼を続けながら姫様の反応を待つ。

「....どう言う事ですか?」

 その声を聞いてから頭を上げる。
 まだ怯えた表情でこちら観ている。ここから動くのはまだ出来なさそうだな。
 姫様に俺がここに来た経緯を話した。

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