異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
残り、そしてストップ
あれから少し経ち、舞台に残っている人数は最初と比べるとかなり少ない。もちろん俺、キリ、サナは残っている。
観ている時に数人ほど気になる人がいた。
まずあそこで俺と同じようにほとんど動いていない仮面にフードを被りローブを着た人。身長はほとんど俺と同じぐらいかな。大会が始まって少ししてから見かけたが全く動いていない。
次にある意味気になるのは布で眼のところ以外を覆い、まるで見せないようにしている人。最初はその格好から忍者ぽいっと思ったが全然違った。
近寄って来るやつはほとんど無視しているが、気のせいなのかサナの方の敵に喧嘩を売っている。
しかしサナとの距離は近過ぎず、遠過ぎずといった感じを保っているようにも見える。
次に舞台の端の方にいる人。獣人ではないというのも少しあるが、それよりも腕組みをして呑気に観戦している(人のこと言えないけど)ことだ。
近付いて来たやつは大抵一発の攻撃で気絶させられていた。だけど、その攻撃された箇所に....
最後にあの大柄な男。あいつが一番気になる。身長一九十くらいでボルグさんに負けないほどの筋肉を兼ね備えた、犬耳のあの男はさっきから俺や観客の目を引く動きばかりをする。
そう、あの男は.....
「うおぉぉぉぉっ!辞めてくれーっ!俺は!俺は!....おっかねえのは嫌いだぁっ!!」
そう泣きながら叫んでいる。
その見た目とは裏腹で弱む、臆病な性格らしく開始して少しからあんな状態なのだ。
しかしそんな男(以後“泣き男”と記載)の周りにいた数人の男たちは泣きながら暴れていた泣き男によって場外に投げ飛ばされたり気絶させられ、その場に倒れていた。
「おっかあーっ!助けてくれーっ!!」
そう言って自ら舞台から降り、入場した所から外へと走って行ってしまった。それを観ていた者たちは呆気に取られていた。
と、とりあえず観ていて気になったのはその三人だ。
まあ、一応全員ちゃんと帯は額辺りに結んでいるのでルールは守っている。
「さあ!舞台の上に残っている人数は既に八十を切りました!今回は前回参加していない選手が数人ほど見られます!これはこの後がどうなるのか、期待が高まります!」
司会の人がそう叫ぶ。
前から思ってたけどなんでそんなに大きな声が出せるの?
最初のお姉さんは俺らと同じ舞台の上で司会をしていたけど、大会が始まってからは国王がいる所とは反対側の監視塔みたい物の上から四、五十代くらいのおっさんが司会というか実況をしている。
手には特に何も持っていないがまるでマイクやメガホンがあるかのようにはっきりと声が聴こえる。
今度神様に訊いてみるか。
それにしてももう八十人を切っているのか。早いなぁ。始めの方って何人くらいいたんだ?二千くらいいたのか?
俺が落とした数が二五人、うち十人が場外だったかな。
さて、これからどうたのものか。さっき俺に三人の集団が襲って来たから全員場外へやって以来俺に向かって来る人がいないのだ。
サナやキリたちの方も似た感じだが俺と違いちゃんと周囲を警戒している。
他もそんな感じだな。近過ぎず、遠過ぎずの距離を互いに保ちながら周囲を警戒している。
これだと決着までまだまだかかりそうだな。
______________
そう思っていたんだけどなぁ。
舞台の上にはさっきの五分の一ほどしか残っていない。理由は観客が数分ほど誰も動かなくなった選手に急かすように叫びまくったのだ。
そこで数人が動き、やるやられるへと変わった。
攻めに行ったやつが倒されると疲れている倒したやつを狙って襲いに来るやつがやるかやられるかといった感じになり、数十分くらいでここまで減ったのだ。
観ていて面白かったのが、猪耳と狸耳の二人の獣人が挟み込むように一人の馬耳の獣人を襲いに行ったのだ。それでその挟まれた馬耳の獣人が片方(狸の方)を倒しに行こうした時に運悪く倒れていたやつに足を取られて転ける。
そこに襲って来ていたやつが馬耳とその倒れたやつをギリギリで反応してジャンプしてそれを避ける。そこへ反対から来ていた猪耳の獣人がジャンプしていたその狸耳の獣人の勢いのある膝蹴りを避けられずに喰らい半宙返り。
着地した狸耳が驚きながらも猪耳と顎を打って気絶していた馬耳の帯を取り「取ったどー」のように上に掲げていたら、誰かが吹っ飛ばしたのか違う人が動かない狸耳に当たり、数メートルほど一緒に飛んで行った。
そしてどちらも気絶していた。
この大会では舞台で倒れている人は選手誰かが場外へ落とすか、目覚めたやつが自分から降りて行く以外ずっと舞台の上にいるのだ。
そんなことを思い返しているとまた違うやつらが争っている。おっ、猫耳がギリギリで帯を奪った。口でだけど。
「舞台上の人数が一六になりましたので皆さん、辞めて下さい!これより、トーナメント戦に移りますので戦いを辞めて下さい!」
司会がそう言ってから少しして全員の動きが止まった。そして全員が中央へと集まり始めたのでとりあえず俺も向かう。
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