短編︰東方禁恋録
第7話 初恋はここから
今回は、第5話の「悲劇は訪れた」と第6話の「霊夢の涙」ら辺を霊夢視点で
書いていきます。
ここからようやく物語が動いていく感じですかね?
いつも通り、縁側であいと喋っていたときの事だった。
「……霊夢!!!」
そこに、紫が現れたのだ。
それも、顔面蒼白で汗もダラダラと流れていた。
いつもお馬鹿っぽい感じの紫のこんな表情は初めて見た。
あいも心配そうな顔で私をちらりと見る。
「っ……?!ごめん、藍夢、私行ってくるわ」
「うん、行ってらっしゃい」
紫は、慌てた様子で私を隙間の中に放り込むと、
すぐに隙間を閉じた。
……あいの心配そうな表情が頭から抜けなかった。
◆◆◆
「で?どうしたのよ、紫」
「…………」
私を連れてきた理由を訪ねても、返事はない。
「勿体ぶってないで答えてくれる?
私も、暇じゃないのよ。
しょうもない事だったら容赦しないわ」
 
なんて紫に行ったものの、私も心配でしょうがなかった。
何故なら、それは博麗大結界が緩まっている気がしたから。
私は腐っても博麗の巫女候補。
候補というか博麗の巫女を継ぐべき存在だと確定している。
だから、博麗大結界の緩みなど直ぐに察知できて当然なのだ。
…………だから、だから、分かる。
この博麗大結界の緩みが。
そしてこれが表すことは。
博麗大結界をはった本人が、死んだか死にかけだと言うこと。
信じたくない。信じたくない。信じたくない……だけど、信じざるを得ない。
その事を認めたくないけれど、認めざるを得なかった。
「…………紫」
「もう、大体のことはわかったみたいね……来て。」
紫に連れられ、来た場所は花束が並べられた白い部屋。
その殆どが真っ白な花だった。
私は直ぐにその花が何なのかを察する。
その花は、供花だった。
よくお葬式などで使われる花だ。
そして、その真ん中で、白い花々が沢山入っている白いはこのようなものの中で横たわっているのは。
「……おかあ、さん……」
その中に入っていたのは、お母さんだった。
その顔は青白く、正気を失っていた。
「お母さん!」
私はすぐにお母さんの元に駆け寄り、胸に触れる。
普通ならドクドクと音のなる心臓からは、なんの音も聞こえなかった。
「あ……」
触れたお母さんの腕は、ひんやりと冷たく、
人間の温度を感じない。
「…お母さん!お母さん……っ!!
何で……っ!!!」
私は、もう返事をしてくれないお母さんに向かって叫ぶ。
何度体を揺さぶっても、何度声をかけても、お母さんの瞼が開かれることは無かった。
「……霊夢。 
無駄よ、もう博麗の巫女は……亡くなったのだから」
紫のその声を聞いて、どっと肩の力が抜けた。
へなへなと床に座り込む。
「どう……して……」
「…………………」
涙が溢れて止まらない。
ポタポタと床に涙が落ちる音が響く。
「ぅ……ぁ…………お母さん……っ、お母さん…………っ!!!!!」
真っ白な部屋の中に、私の泣き叫ぶ声だけが響いていた-
◆◆◆
しばらく歩いていると、博麗神社が見えた。
そして、その縁側に座っているあいも。
「あ、あい…………っ!!!」
おずおずとあいの名前を呼ぶ。
「霊夢、どうだっ……た……」
あいが後ろを振り返って、ぎょっとしたように
目を見開いた。
「あ…………あぃ、ぅぁ…………お母さん…………がぁぁぁぁっ!!!!」
発狂にも近い声で、あいに叫ぶ。
それほど私は不安定な状況だったのだ。
「……大丈夫、だい…じょうぶ、だからね……」
あいは、私をギュッと抱き締め、頭を撫でた。
かつて、私がそうしたように。
あいに抱きしめられて、また熱いものがこみ上げてきた。
あいの優しさが嬉しくて、悲しくて。
もうとうに枯れていたはずのものがまた溢れかえる。
気が付けば、私はあいの胸の中で、わんわんと子供のように泣いていた。
 
「うぁ…………ひぐっ……私、私……お母さんと……
もぅ……あぇないの……ひぐ、かな……」
「だいじょうぶ、だから。
ずっとこうしててあげる。
ずっと、ずっと、私がいるから。」
あいのその優しい声音が、更に私を安心させた。
「……ほん、と……?
約束……だからね!
破ったら、許さないんだからっ!」
私は、あいに向かってそう叫ぶ。
自然と、顔がほころんでいくのがわかった。
「うん、絶対、だから!」
あいのその笑顔が、いつまでも頭の中から離れない。
幼い頃に芽生えた甘い感情の存在が、確信に変わった瞬間だった。
誤字修正しました。
「かつて私がそうしてくれたように」→「かつて私がそうしたように」
書いていきます。
ここからようやく物語が動いていく感じですかね?
いつも通り、縁側であいと喋っていたときの事だった。
「……霊夢!!!」
そこに、紫が現れたのだ。
それも、顔面蒼白で汗もダラダラと流れていた。
いつもお馬鹿っぽい感じの紫のこんな表情は初めて見た。
あいも心配そうな顔で私をちらりと見る。
「っ……?!ごめん、藍夢、私行ってくるわ」
「うん、行ってらっしゃい」
紫は、慌てた様子で私を隙間の中に放り込むと、
すぐに隙間を閉じた。
……あいの心配そうな表情が頭から抜けなかった。
◆◆◆
「で?どうしたのよ、紫」
「…………」
私を連れてきた理由を訪ねても、返事はない。
「勿体ぶってないで答えてくれる?
私も、暇じゃないのよ。
しょうもない事だったら容赦しないわ」
 
なんて紫に行ったものの、私も心配でしょうがなかった。
何故なら、それは博麗大結界が緩まっている気がしたから。
私は腐っても博麗の巫女候補。
候補というか博麗の巫女を継ぐべき存在だと確定している。
だから、博麗大結界の緩みなど直ぐに察知できて当然なのだ。
…………だから、だから、分かる。
この博麗大結界の緩みが。
そしてこれが表すことは。
博麗大結界をはった本人が、死んだか死にかけだと言うこと。
信じたくない。信じたくない。信じたくない……だけど、信じざるを得ない。
その事を認めたくないけれど、認めざるを得なかった。
「…………紫」
「もう、大体のことはわかったみたいね……来て。」
紫に連れられ、来た場所は花束が並べられた白い部屋。
その殆どが真っ白な花だった。
私は直ぐにその花が何なのかを察する。
その花は、供花だった。
よくお葬式などで使われる花だ。
そして、その真ん中で、白い花々が沢山入っている白いはこのようなものの中で横たわっているのは。
「……おかあ、さん……」
その中に入っていたのは、お母さんだった。
その顔は青白く、正気を失っていた。
「お母さん!」
私はすぐにお母さんの元に駆け寄り、胸に触れる。
普通ならドクドクと音のなる心臓からは、なんの音も聞こえなかった。
「あ……」
触れたお母さんの腕は、ひんやりと冷たく、
人間の温度を感じない。
「…お母さん!お母さん……っ!!
何で……っ!!!」
私は、もう返事をしてくれないお母さんに向かって叫ぶ。
何度体を揺さぶっても、何度声をかけても、お母さんの瞼が開かれることは無かった。
「……霊夢。 
無駄よ、もう博麗の巫女は……亡くなったのだから」
紫のその声を聞いて、どっと肩の力が抜けた。
へなへなと床に座り込む。
「どう……して……」
「…………………」
涙が溢れて止まらない。
ポタポタと床に涙が落ちる音が響く。
「ぅ……ぁ…………お母さん……っ、お母さん…………っ!!!!!」
真っ白な部屋の中に、私の泣き叫ぶ声だけが響いていた-
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しばらく歩いていると、博麗神社が見えた。
そして、その縁側に座っているあいも。
「あ、あい…………っ!!!」
おずおずとあいの名前を呼ぶ。
「霊夢、どうだっ……た……」
あいが後ろを振り返って、ぎょっとしたように
目を見開いた。
「あ…………あぃ、ぅぁ…………お母さん…………がぁぁぁぁっ!!!!」
発狂にも近い声で、あいに叫ぶ。
それほど私は不安定な状況だったのだ。
「……大丈夫、だい…じょうぶ、だからね……」
あいは、私をギュッと抱き締め、頭を撫でた。
かつて、私がそうしたように。
あいに抱きしめられて、また熱いものがこみ上げてきた。
あいの優しさが嬉しくて、悲しくて。
もうとうに枯れていたはずのものがまた溢れかえる。
気が付けば、私はあいの胸の中で、わんわんと子供のように泣いていた。
 
「うぁ…………ひぐっ……私、私……お母さんと……
もぅ……あぇないの……ひぐ、かな……」
「だいじょうぶ、だから。
ずっとこうしててあげる。
ずっと、ずっと、私がいるから。」
あいのその優しい声音が、更に私を安心させた。
「……ほん、と……?
約束……だからね!
破ったら、許さないんだからっ!」
私は、あいに向かってそう叫ぶ。
自然と、顔がほころんでいくのがわかった。
「うん、絶対、だから!」
あいのその笑顔が、いつまでも頭の中から離れない。
幼い頃に芽生えた甘い感情の存在が、確信に変わった瞬間だった。
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