俺と妹の異世界人生

神田礫

宿屋にて金に困る

隼斗と詩乃は金に困ったため、クエストを受ける事にした。

「クエストを受ける前にステータスを確認しとくか」

「そうだね」

二人はそう言い凹凸のあるプレートの凹み部分に指を置いた。


新崎 隼斗

半魔神

筋力:800 

敏捷:720

魔力:1000

固有スキル

魔王の右腕
闇の魔力

魔法系統
黒魔法
炎魔法
雷魔法


新崎 詩乃

半女神

筋力:200

敏捷:320

魔力:4600

固有スキル

女神の目
光の魔力

魔法系統
白魔法
水魔法
風魔法

「なるほど、固有スキル、魔法系統はわかるとしてステータス自体の数値の平均を知らないからなんとも言えないな」

「ほんとそれだよ。なんとも言えない」

「いや、詩乃の魔力数値は高いだろ。多分、他人から見ても高いと思うぜ。」

「そういうお兄ちゃんも筋力数値と敏捷数値は高いんじゃないの?」

二人のステータスは実際高い。
平均的な初期ステータスと比べれば高い。
まず隼斗は身体的なステータスが高い。
筋力は平均的には200敏捷は300だが、隼斗はその倍だ。
詩乃は身体的ステータスは普通だが魔力が高い。

「それと固有スキルってどう使うの?」

「俺もわからない」

「お兄ちゃんは右腕で私は目」

「そこに何か特殊な力があると考えるのが妥当だよな」

「とりあえずはステータスは少し高いし簡単なクエストならすぐ終わるんじやないのかな」

「そうだな。とりあえず武器を買おう。詩乃は剣とかよりは他のがいいだろ…杖とか?」

「そうは言ってもお金ないのにどうするの?」

「あ…」

「忘れてたんだ」

「クッソがーー!」

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ギルド

「すみません。素手でも受けられるクエストってありますか?」

ギルドの女性に尋ねた。
金がなければ何もできないこの異世界では隼斗と詩乃は自分のステータスを頼りにしなければならない。

「素手…ですか。武器はお使いにならないんですか?」

「使いたいんです…使いたいんですけど…金がなくて安い武器も買えないんですよ!」

「は、はぁ…」

これには女性も苦笑い。
哀れんでいるのだろうか。

「で、でしたらギルドの武器庫からお貸しするサービスがあるのですがお使いになられますか?」

「「ぜひ!!」」

詩乃も隼斗と同時に言った。

「で、ではこちらに」

ギルドのカウンター奥へと行くとそこには鍵がかけられているドアがあった。

「こちらが武器庫となります」

そう言い女性は鍵を服のポケットからだし、鍵穴に差し込んだ。

「お好きな武器をどうぞ」

そこの中には色々な種類の武器があった。
片手直剣、斧、細剣、片手棍、短剣、杖などなど。

「そうだなー。ここは無難に片手剣でいこうかな。詩乃はどうする?」

「魔法の使い方とか分からないし短剣がいいかな」

それぞれ武器を選び終わった。

「お決まりですね。ではクエストのご案内をさせていただきますね」

そう言い女性は自分たちが武器を選んでいたときに探していたクエストの紙を二人に渡した。

「こちらのクエストはゴブリンの討伐です。討伐数は6体。初心者でも二人いれば問題ないクエストとなっております」

「はい、ありがとうございます」

「では、頑張ってくださいね!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二人は草原に向かい歩いていた。
ゴブリン6体の討伐。
二人のステータスなら問題ないが油断は禁物だ。

「なぁ詩乃、気になったんだけど俺さぁ半魔神になってんだよね」

「それ言ったら私も半女神だよ」

「一体なんだろうなこれ」

「さぁ」

「おい、あれじゃないか?」

隼斗が指を指した先には緑の人の形をしたのがいた。
その手には棍棒、弓などが握られていた。

「遠距離からの攻撃ができるのか。てか、本当に初心者でもできるんだろうな」

「本当に怪しいよね。これ見たら」

いささか不安になるが、意を決した隼斗は先行することを決めた。

「俺が先行するから危なくなったら逃げろよ詩乃」

「私も戦うよ…」

「ダメだ!」

言葉を言いかけた詩乃を遮り隼斗が叫んだ。
何故か異世界に来てから隼斗は叫んでばかりな気がする。

「詩乃に何かあったら俺はこの異世界で一人になる!何十年も一緒にいた妹が死んだら、俺は耐えきれない!」

妹を思うあまり強い口調になってしまったが詩乃はそのことを察した。

「う、うん、わかった」

「よし!じゃあ行ってくる!」

すると隼斗は走り出した。
それは全力ではないものの早い速度ではあった。

「はぁっ!」

ゴブリンの前で跳躍し6体の内の一体の首を切った。

「うっ…」

飛び出す血を浴びずにすんだものの、血を見て気分が悪くなった。
だがそんなことはお構いなしにそれを見た仲間が隼斗を棍棒で殴ろうとする。

「うお!」

間一髪避ける事に成功した隼斗はそのゴブリンの隙を見逃さなかった。

「うらぁ!」

叫びながらそのゴブリンを何故か殴った。
というか叫びすぎである。

「ぐがぁ」

そんな声をもらしたゴブリンの頭を握り、そのまま力任せに投げ飛ばした。

「いっけー!」

ストライク。
見事にそのゴブリンは他のゴブリンの体勢を崩した。
その隙に隼斗は一体一体トドメを刺していく。

「うっ」

グサッ、グサッ、グサッ、人間でないとはいえ血が飛び出るものであまり見ないようにしていた。

「終わったぞ詩乃」

「だ、大丈夫お兄ちゃん…その、顔色悪いよ」

「お、おう」

血を見たせいだろう。
かなり顔色が悪い。

「それより、やっぱスキルとか魔法の使い方とかは分からなかったな」

「それはそうだよ。あんな状況じゃ分からなくて当然だよ。今日の所は戻ろうよ」

「そうしよう。これで今日泊まる分の金には困らんな」 

そうして二人は街へと戻った。
そして街に入ってギルドに向かう道中。

「おい、てめぇ!」

男が叫んだ。
何故か叫んだ!
この世界叫びすぎではないか!

「は、はい?」

思わずそんな声が出てしまった。

(な、何だろう。おれなにかしたかな?)

「その可愛い子置いていけよ」

(可愛い子?誌乃の事か?)

「え、いやちょっと何言ってんのか…」

「おうてめぇ口答えすんのか、あぁ!」

(うん、街中だよ。人目があるよ。何してんの?馬鹿なの?)

「お兄ちゃん逃げよう。これは相手にしない方がいいよ」

「おう、そうだな、そうしよう、てことでじゃあな」

そう言って隼斗は詩乃を連れ、その場から逃げた。

「お、おいてめぇコラ待て!」

追いかけるものの。

「なんだよ!なんだよあいつ早すぎだろ!」

隼斗の敏捷のステータスが高いためか、あのチンピラ擬きのテンプレ野郎は追いつけなかった。

「誌乃、大丈夫か?」

「は…速いよお兄ちゃん…」

「ご、ごめん」

「というか、あそこはかっこよく撃退してほしかったんだけど…」

「やだよぉ。だいたい剣持ってたじゃん怖いじゃん。こっちが剣持ってても扱いがへただから殺られちゃうかもしれないじゃん。というか詩乃が逃げようって言ったんじゃないか」

「へ、ヘタレ」

「な、心外な!あのゴブリンの集団を倒した俺凄いだろ!」

「知らないよそんなの」

グサッ。
酷い、酷すぎるよ。
そんな事を思う隼斗だった。

そしてギルドへ。

「討伐完了しました!」

「終わったのですか?では報酬ですが3500シリスとなります」

(そういえばこの異世界の金の単位聞くの初めてだな)

「あ、あのすみません。スキルとか魔法の使い方ってどうするんですか?」

「スキルに関しては自身の力なので言いようがないのですが、魔法でしたらお教え出来ますよ」

「お願いしてもいいですか?」

「はい。ではご説明しますね。魔法は使用者の魔力を消費して使用します。魔法は2種類に分かれており、詠唱魔法、無詠唱魔法の2種類となります。無詠唱魔法は高速で魔法を打てる代わりに魔力の消費が大きいんです。
逆に詠唱魔法は魔力の消費を抑えることが出来ます。これらを使い分けて立ち回ることをオススメしますよ」

「丁寧な説明ありがとうございます」

「いえ、どういたしまして」

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宿

「よぉーし、魔法の使い方は分かったから今度は詩乃も戦闘に参加できるな」

「うん、これで私も見てるだけじゃなくて参加出来る」

詠唱はステータスで確認する事ができ、詠唱は頭の中で流れ、簡単に使う事ができた。

「今日1日長かったね。いきなり異世界に来て、お金に困ったり、武器に困ったり、いろいろ大変だったよ。でも、楽しかった!」

詩乃は最高の笑顔で隼斗に笑いかける。
その姿は自分の唯一無二の妹の笑顔。

「あぁ、そうだな…誌乃」

二人は今日の1日をこれから一生忘れないだろう。異世界に来て、冒険をしたこの1日を…





















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