本気の恋ってした事ありますか?

ノベルバユーザー174863

誰あいつ。

「あっつぅぅ...溶ける...」

「お前なぁ、少しは女らしくしたらどう?」

「ったぁ~。何すんの!」

あ、自己紹介遅れました。
私橘薫(たちばなかおる)。小学6年生です。
一応、女ですよ?

「シャキッとしろ!シャキッと!暑いって言ってるともっと暑くなんぞ~。そーでなくても暑苦しいのに。」

この嫌味な言い方をしてくるこいつは幼馴染の
岸間悠太郎(きしまゆうたろう)

「暑苦しいは余計~だよッッッ!」バシッッッッ!

「った!お前本当に女か?普通蹴りなんぞ入れんぞ?
...ってかやべっ!お前遅刻すんぞ。」

「え?...まぢだ。走るよ悠太郎!」

「あ、ちょ!待てよ!」

どこに向かってるかって?
うちらはスイミングスクールに通ってんの。
って言ってもそこら辺の小学生と比べてもらっちゃ
困るよ?
選手コースってのがあってね
まぁ、競技水泳。そこのコースに入ってんだ。
それがまた鬼。ただでさえ1日5千メートルとか
泳ぐのに女子が私しかない。
おかげでメニューはみーんな男子に合わせてる。
選手コースは高校生がほとんど。
私と悠太郎だけが小学生。
だから小学生のうちらにしたら
高校生と同じ量をこなすのは本当に困難。
私は尚更......。
高校生の男子のメニューを小学生の女にやらせんのが
間違ってんだよ...。
ま、それをこなすのが私なんだけど笑




「...ハァハァハァ。ついたぁ......」

「なんとか間に合ったな...」

「あんたが途中でアイスなんか食べようって言わなきゃ走んなくて済んだんだわ。ボケナス。」

「待て。食いたい言ったのはお前だ。」

「......。遅刻する。行くよ~」

「お前なぁ......」

「ほれほれ、遅れるぞ~」

女子がいなくて、ましてや高校生ばっかの中に
悠太郎がいる事が私の中で唯一の支えだった。

「はい。じゃ次。50メートル40秒サークル。20本」

は?
もうさっき100メートル20本やった後だよ?
休憩って言葉はこの人にないの?
この鬼のようなメニューを提供して下さる
人は桜本洋一(さくらもとよういち)コーチ

「...ハァ...ハァ...まって...休憩......」

「休憩なんてあるわけねーだろ。ほら、60からスタートな」

死ね。死んでくれ!この鬼!!!

「はい。お疲れ様。100流していいよ~」

ハァ...ハァ...この...鬼...。
恨む。一生恨む。

『気をつけ!ありがとうございました!』

「あーー。やっと終わった......」

「今日のメニュー鬼だったな...」

「鬼とかのレベルぢゃない.........ありゃ殺人鬼だ」

「言い過ぎw」

「サウナ入って帰る...」

「おう。じゃまた後で」

まぢでない。しんどい。でも
この泳ぎ終わった後の達成感はやめられない。
すっごいスカッとする。
サウナでゆっくりして帰ろう...
今日は本当にしんどい...

ガチャ...

「なんだお前。死にそうな顔してんなw」

げっ...この人は六川太一(ろくかわたいち)先輩

「当たり前だろ!あのメニューをこなしたこの女子を褒めて欲しいわ。」

「はいはい。よく頑張りました。」

「...。猛烈にうざい」

「褒めたのにそれかよ。」

「へいへい。ありがとう。」

ん?見た事ない顔...。
誰...?

「ねぇ、六川先輩。あれ誰?」

「お前今日気づかなかったの?」

「うん。興味ないもん」

「今日から入ったんだよ。」

「へー。」

《...ねぇ中学どこ行くの?》

はい?私に話しかけてんの?
シカトシカト。喋ったら良くないことにしかならん。

《...おーい。そこの女だよ。》

あ?

「私に話しかけてます?」

「お前以外に誰がいんだよ。」

「初対面にその口の聞き方はないのでは?」

「わりわりっ!あ、俺田邊達也!(たなべたつや)」

「橘薫です。」

「宜しくな!それでお前どこの中学行くの?」

「...。あの。お前ぢゃないし、貴方に教える気ない!」

バンッッッ!

ムッかつくーー。なんなんあいつ!
ちょー腹立つ!!!
お前って。初対面ですけど!?
礼儀とかないの!?
あれで中学?やばいわ...
中学生って小学生より礼儀知らんの...

忘れよ。なかったことにしよう...。



それがあいつとの出会い。
だったけなぁ...。

「薫~」

「ん?どした?」

「何考えてたん?」

「ううん。なんも考えてないよ!ご飯にしよーか!」

「ご飯~!!」

「準備してくるね!」

過去を思い出すなんて
私らしくない。

コメント

  • ノベルバユーザー602527

    名前を呼び合いながら下校する二人の描写がものすごく好きです!!

    0
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