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トカゲな俺の異世界迷宮生活

本城ユイト

No.13 レアモンスター

そして我が家での会議から数時間後のこと。
俺達は今、とんでもない事態に陥っていた。
 
俺達が隠れる洞穴の前を、巨大ムカデが行ったり来たり。心臓に悪いなんてモンじゃない。その群れの中心には、日本で売ったらウン万円もしそうな金ぴかムカデさんが。

ただ、それを抜いても………ざっと30匹はいる。
正直気持ち悪いを通り越して悪夢を見ているような気分になる中、ただ1人空中という安全地帯にいるリリナさんから指示があった。

『さあ海翔さん、晃樹さん!頑張って下さい!狙いは女王ですよ!』

そんなロクでもない、ドSな女神様の指示を聴きながら、俺は思った。
 
『アニキぃ………。オイラ、あそこに特攻噛まして生きてられる自信無いッスよぉ………』

大丈夫、俺も同意見だ、と―――


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それは、30分ほど前に遡る。

進化するためにレベル上げ、そんな目標を立てた俺達3人は、リリナさんの案内のもと『最高の狩場』とやらに案内してもらっていた。

途中でタートルなんちゃらに襲撃されたが、俺とコーキで問題なく撃退した。ついでにコーキのレベルが3へと上がり、お祭り気分で歩いていたのだが―――

『着きましたよ!』

疲れたといって俺の背中に乗っていたリリナさん(無断で)が、実に楽しそうな声を出す。それは、直径40メートルはあろうかという大穴だ。

『ホントにこんなとこで狩りなんて出来んスか?』

『大丈夫です!狩場は穴の底ですから!』

ほうほう、それなら大丈夫かな。
そう思って俺は、穴の側によって覗き込んだ。
すると下の方に何やら動く黒いニョロニョロした生物がいるではないか。

『あれ何スかね?』

知らん、俺に聞くなよ。
そっちのS女神様に聞いてもらって―――

『あっ、実際に見た方が早いですよ?』

リリナさんがそう言った瞬間。
ゲシッ、と俺達の身体を思い切り蹴った。
というか、普通に突き落としやがった!

『いってらっしゃーい!』

くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!し、死ぬやつだろコレぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

ドSな女神様の姿が徐々に小さくなっていくのを見ながら、俺達は暗い穴の底へと落ちていくのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


という事なのだ。
分かっていただけただろうか?
というか前にも言った気がするぞ、このセリフ。
なるほど、これがデジャブってやつか………。

『現実逃避ってる場合じゃ無いッスよ!』

はっ、ヤバいヤバい。
なんか最近、現実逃避がクセになっている気がする。
しっかりしろ、俺!

『はぁ。大変ですねぇ、海翔さんも』

おっと、元凶が何か言ってるよ?
間違いなく、絶対に、確実に、この人のせいなんだけどな?正確には、この人のS性が問題だ。
いつか俺、死んじゃうんじゃないかなぁ。

『アニキ、オイラまだ付き合い浅いッスけど、アレがドSなのは身に染みて理解したッス………』

『あのっ、人を勝手にサディスト女神扱いしないで下さいよっ!』

扱いもなにも、事実なのだが。
断言できるよ、リリナさん。アンタはドSだ!

『違いますぅ!ちょっと他人をイジるのが好きなだけですぅ!』

だからそれをSと言うのだよ。
というか言い訳が子供じみてきたんだが。
以外と中身は子供なのかも………。

『あ、アニキヤバいッス!なんかムカデ勢がこっちを凝視してんスけど!』

な、なにぃっ!?マジか!
確かに言われて見れば、ヤツら全員こっちをじっと見ているような………ていうか。あれ、完全に獲物を狙う目付きじゃね?

『あっ、言い忘れてましたけど、ここのムカデさん達は女王の護衛ということで気が立っています。普通のよりも強いし物音に敏感ですよ?』

そういうことは早く言えよ!
相変わらず大事なことを黙っているリリナさんにそうツッコんで、俺達は洞穴から同時に駆け出した。

次の瞬間、大量のムカデが洞穴へと特攻を噛まし、洞穴は一瞬で瓦礫の山と化した。

『つ、強ぉっ!?』

隣でコーキが悲鳴にも似た叫びを上げるが、俺にはいちいち反応している暇はない。何故なら、すでに目の前にムカデがいるからなのだ。

ムカデの猛攻をなんとか回避しながら、俺は金ぴか女王目掛けて突進する。一刻も早くヤツを葬り、この地獄を脱出するために!

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