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トカゲな俺の異世界迷宮生活

本城ユイト

No.10 新たな転生者

改めて冷静になってみると、思わず布団の中で絶叫しながら悶えたくなる恥ずかしい一幕のあと。
焚き火に当たってぬくぬくしていた俺達の元に、思わぬお客様が来た。

荷物運搬用の通路からヌッと入ってきたのは、つい最近見た脚だ。というか今回の騒動の原因のヤローじゃねーか!

そう、そこから顔(?)を出したのは、例の巨大蜘蛛の子供バージョンの方。その蜘蛛は、我が家に土足で踏み込んでくるなりこう言った。

『アンタも転生仲間ッスか!?』

………は?
いや待ってほしい。転生仲間?コイツが?元人間?
MA・GI・DE・SU・KA………。

トカゲの俺が言えた義理じゃないが、また相当キワモノに転生したものである。本当、俺の方がマシなくらいかも。

というかコイツ、ナチュラルにテレパシー的なスキル使ってんだけど。どゆこと?

『えーっと確か、種族『蜘蛛』に転生した場合はLv2で《念話Lv1》と《焔の牙Lv1》を修得するんですよ。だからです』

なるほど、納得した。
つまりコイツは本当に転生仲間なのだろう。
で?何故ここに来たんだ?

『オイラをアンタの仲間にして下さいッス!魔王るんでしょ!?』

おいコラ、魔王討伐を『る』と表現すんな。暗殺みたいだろ。どこの世界に魔王暗殺する勇者が居るんだよ?

………とまあそこはさておき、仲間かあ。戦力が不足している俺にとって、願ってもない提案だ。
ぜひ俺からも頼みたい。

『マジッスか!あざーす、えっと………旦那!』

旦那って俺のことか。まあいいけど。
慕われてるみたいで、悪い気はしない。

『本当にチョロいですよね、海翔さんって………』

リリナさんがボソリと言ってくるが、俺も自覚があるため何も言い返せない。くっ、S発言復活か!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『へー、そうなんスか。それは大変ッスね………』

お互いに身の上話とここへ来てからの情報交換をして大いに同情を買った俺は、ひとまず今後の方針について話し合うことにした。

ちなみに蜘蛛ジュニア………じゃなくて柳田晃樹やなぎだこうきは、享年14歳。俺の2コ下だった。

故に、『アニキって呼ばせてもらうッス!』ということで話は決まった。俺はコーキと呼び捨て。後輩だからな。

リリナさんは、『仲間が増えましたね!』と喜んでいたが、さっき晃樹に『なんスかこの虫みたいなの』と言われてものすごくへコんでいる。
あとでそっと慰めてあげよう。

もしくは、S発言でさらに追い込もう。
普段の俺の痛みを知るがいい!ハーッハッハッハ!!!
さあ、いざ勝負!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ぐすっ………。負けたぜ。

『あっれー?どうしたんスか、アニキ?』

部屋の隅でうずくまっていた俺に、コーキが話しかけてきた。だが、今は少し放っておいてほしい。

これ幸いとリリナさんに勝負を仕掛けたら、倍以上のドSマシンガンを喰らった。俺、しばらく立ち直れないかも。というか容赦無さすぎんだろ、あの女神様。

逆にメンタルをズタボロにされた俺とは正反対に、リリナさんはスッキリ晴れやかな表情だ。憑き物が落ちた、というべきか。

『あー、スッキリしました!ありがとうございます、海翔さんっ!』

あ、うん。そりゃ良かったよ。
俺のメンタルを犠牲にした甲斐があったってものだ。

『アニキー、大丈夫っスかー?』

これで無事に見えるなら、眼科に行ってこい。
もしくは、俺に精神科を案内して!!!心理カウンセラーでもいいから!!!


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さて、場所は変わって今は洞窟内。
コーキの実力を見るための、実戦中だ。
ちなみに相手は例によって巨大ムカデ。毎度毎度ごめんなさいね。

でもまあ、見ている限りいいスジしてると思う。
実戦は初めてだと言っていたが、この分ならわざわざ俺がでしゃばる必要も無いだろう。

そう思った矢先。

『あ、アニキー!ヤバい、ヤバいッスよー!』

そんなコーキの悲鳴が、俺の脳内に直接響く。
俺が何事かと慌てて見れば、巨大ムカデの後ろ、岩のかげに何かいる。

それは、毒々しい紫色の………カブトムシ、だと!?


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