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トカゲな俺の異世界迷宮生活

本城ユイト

No.08 寒さを乗り切れ!

○月X日
異世界に来てからどれくらいたっただろうか。
この迷宮も我が家も少しずつ寒くなってきました。 
俺は相変わらず変わらない日々を送ってます。
リリナさんとは仲良くしてますよ。
進展無いのが寂しいです………っていうか。
くっそ寒いんだよォォォォォォォォ!!!

『うにゃあ………どうしたんですか?』

現実逃避の日誌から我に帰った俺の魂の絶叫に、今まで眠っていたらしいリリナさんが反応する。というかこの小さな女神様は、どうみても薄着なのに寒くないのだろうか?

『女神には寒さとか関係ないんですよ』

ふーん、それじゃあ着の身着のまま南極とかいっても大丈夫なのか。便利だなぁ、その身体って。

『え、いや流石に南極は………へくちっ!』

………へくちっ?
女神様って寒さとか関係ないんじゃ無かったっけ?

『か、関係ないですよ!大丈夫で………へくしっ!』 

互いの間に気まずい沈黙が流れる。
そして俺は思った。もしかして、やせがまn

『そうですよ!女神も生きてるんです、寒いんです!寒すぎてカチコチに凍っちゃいますよ!』

俺の言葉に被せるようにして逆ギレ気味に暴露したリリナさん。やっぱり寒かったんじゃん。

『寒いに決まってるじゃないですか!』

そうは言われても、俺の身体では火など起こせない。
無論、エアコンやストーブ、こたつは無い。
それどころか布団の1枚すら無い。
つまり今俺が取るべき行動はただ1つ!
 
冬眠という名のニート生活でもするか。

『待って下さい、私はどうすれば!?』

珍しく取り乱したカンジのリリナさんが慌てて言ってくるが、この厳しい迷宮生活で即断即決がクセになった俺は狸寝入りを敢行する。
リリナさんはそのまま長い間騒いでいたが、やがて諦めたのか静かになると―――

『………早く起きないと存在ごと滅ぼしますよ?』

そんな恐ろしいことをボソリと言う。
俺は脳内で土下座しつつ、即座に跳ね起きた。
だって相手女神様だよ?あながち嘘でもないかも。

『さて、それじゃあ頑張って寒さを凌ぎましょう!』

一転して上機嫌になって辺りをパタパタと飛び回るリリナさん。もうそのまま飛び回ってれば暖かくなるんじゃないんですか?と提案したいが、空気を読んで止めておく。紳士だな、俺。

まあそれは置いといて、とにかく暖をとる方法を考えよう。正直俺としては増えすぎたタール草にくるまって寝れば暖かいから別にいいんだが。

一応腐っても女神様であるリリナさんは、そこのところは譲れないらしい。

『あのっ、私一応じゃなくて女神ですから!』

そんなリリナさんの抗議の声を聞き流して、俺は久しぶりに脳をフル回転させる。この身体じゃ木を擦って火起こしも出来ないし、こたつなんて当然作れない。
しかし!ここは異世界、やり方はあるのだ。

『異世界流のやり方ですか?』

そう、異世界といえば魔法。
そしてこの世界には『スキル』がある!
迷宮を探せば炎魔法の1つくらい見つかるハズだ!

『なるほど!さすが海翔さん、頭は良いですね!』

うーん、『頭は』という部分が引っ掛かるがここは先に進めよう。………そして後で人知れず泣こう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『いないですねぇ………』

あれから迷宮のあちこちを探しているのだが、今のところ炎魔法を持った敵は見つからない。
見つかったのは例の巨大ムカデくらいのものだ。
もちろん全部倒したけどな。

おっと、そう言ってる間にまたムカデだ。
しゃあない、頑張りますか。

キシャァァァァ!と奇声を上げて突っ込んでくる巨体を、ヒラリとかわして飛び乗る。そして麻痺スキルを発動!

巨大ムカデを瞬殺した俺は、リリナさんの拍手を背中に受けながら華麗に着地。でも着地ミスって、顔面から落ちたけどな。痛かったぞ………。

『だ、大丈夫ですか………?』

呟きながらパタパタと飛んでくるリリナさん。だがその小さな身体が、突然横から伸びてきた謎の糸によって絡めとられた。

『え?』

リリナさんが間抜けた声を上げたその瞬間。
シュルシュルと糸が巻き取られ、その先に巻き付いていたリリナさんごと闇の中へと消えていく。

悲鳴を上げる間もなく誘拐?されたリリナさんを追って俺も駆け出した。だがその直後、俺は深く後悔することになった。多分こんなに後悔したのは、罰ゲームでX'masに深夜の新宿・渋谷リア充の巣窟に1人で乗り込んだ時以来だ。

あの時は周りのピンク色オーラに当てられて3日ほどショックで寝込んだなぁ………。懐かしいなぁ………。

『悲惨な過去はいいですから助けて下さいよ!!!』

半自動的に現実逃避を開始した俺の脳に、リリナさんの叫び声が響く。だがそれも仕方ないだろう。

俺の目の前には、糸でがんじがらめにされたリリナさんが転がっていて。その奥には、顎から火の粉を散らしながら、8本足を忙しなく動かす怪物が。
それは、元の世界でいうところの蜘蛛。
だが1つだけ言わせてほしい。

―――お前、デカすぎんだろォォォォォォォォ!!!

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