トカゲな俺の異世界迷宮生活
No.07 硬すぎるヘビ
『海翔さん………どうします?』
もうすっかり住み慣れた家の中で、普段より少し硬い表情をしたリリナさんが俺にそう訊いてくる。だが、その反応も仕方ないのだ。今、俺の目の前に広がる光景を目にしたならば。
そこそこ広い家の隅っこで、ジタバタと暴れるヘビとカメを足して2で割ったような謎の生物。いや、なに言ってるか分からないかもしれないが、本当なのだ。
見た目はヘビそのものなのだが、どういうわけか全身がカメの甲羅で出来ているのだ。一応全力で噛みついて麻痺毒を注入したのだが、それでも動きを完全に止めることは出来なかった。
というか硬すぎて牙が欠けたぞ。
『うーん、何なんですかね、これ?』
リリナさんのその問いの答えは俺も知りたい。
どうすればコイツの正体が分かるんだ?
『………鑑定すれば良いんじゃないですか?』
なるほど、それもそうだな。
それじゃあ………鑑定!
【タートルスネークLv6】
【強固な甲羅を持ち、熱感知で獲物を探す】
つまり、俺はコイツの獲物と認識されたのだろう。
さすがは異世界、弱肉強食の世界だ。
というかタートルスネークってそのまんまじゃん。
『感心してないで倒しちゃって下さいよ!』
いや、別に感心してたわけじゃないんだけどな。
………さてと、それじゃあさっさと倒して、経験値と食糧へとクラスチェンジしてもらおうか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数分後。
【《熱感知Lv1》を修得しました】
あれから何度も牙をダメにしながら、俺はなんとかふざけた硬さの甲羅を攻略した。要はこれ、隙間に牙を強引に刺し込んでやれば良いのだ。
1仕事終えた俺はふぅーとため息をつく。そして感覚的にだが、そろそろアレの時間だと思う。
【種族『トカゲ』がLv3へとアップしました】
頭にそんな言葉が響くと同時、ピシリと俺の身体に亀裂が入る。そして華麗に脱皮!
すっかり牙も生え替わったぜ。
念願のレベルアップを果たした俺は、極度の空腹と倦怠感に襲われることになった。どうもこのレベルアップは、かなりのエネルギーを消費するらしい。
もう少し燃費良くなんないかなぁ。
俺は倒したタートルなんちゃらを口一杯にほおばりながらも、新しく修得した熱感知スキルを試すことにした。
発動すると、視界に映るあらゆるものがサーモグラフィーのように色分けされる。赤や青、緑といったカラフルな色で。
『 へぇぇー、結構便利ですね、熱感知って』
俺の視界をテレパシー的なやつで一時的に共有しているリリナさんが、そんな感想を漏らす。
そう、この熱感知スキルは便利なのだ。
このスキルがあれば、物陰からの奇襲にも対応出来るし、死角もほとんど無くなる。
一応魔王ボコるのを目標としている俺には、うってつけというわけだ。フッフッフッ、これは良いものを手に入れたぜ!
『これで魔王討伐に一歩近づきましたね!』
リリナさんが満面の笑みでそう言ってくる。
だが、熱感知で魔王が倒せるハズも無い。
魔王討伐に一歩近づいたって言うか………迷宮生活が楽になっただけだよな?
そんな思考を無理矢理断ち切り、俺は魔王討伐に近づいたと思い込むことにした。だってその方が達成感あるんだもの。
まあ、今の俺には攻撃スキルが麻痺しかないからな。これで魔王が倒せるんなら誰も苦労はしないだろ。
『それじゃあどうするんですか?』
リリナさんの問いに、俺は胸をはって答える。
決まってる。継承するんだよ、攻撃スキルを。
敵を倒して、強くなるために。
『確かに、今弱いですもんね』
そんなリリナさんの言葉がグサリと突き刺さる。
前から思ってたけど、この人けっこうSだよな。
まあそれはそれで良いけどさ。
ああ、俺がMってわけじゃないよ?俺の性癖はノーマルだから。ホントだぞ?
『そんな事より、これからどうしますか?M翔さん』
おい、人の名前を勝手に改名すんなよ!
そんな俺の渾身のツッコミをスルーしたリリナさんはニヤリと片頬を上げて笑う。確信したよ、あの笑顔はSにしか出来ない。
そんな和やかな雰囲気が漂うなか、ふと視線を横に向けた。その瞬間、リリナさんの笑顔が凍りつく。
『か、海翔さん………あ、あれ………』
リリナさんの視線を追って俺が目を向けたそこにあった光景は―――
荷物運搬用の通路から覗く、無数の瞳。
仲間の敵討ちにでも来たのか、10を超える数のタートルスネークがズルズルと通路から出てきた。そいつらは一斉にガバッと口を開けると俺達めがけて襲いかかってきた!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【種族『トカゲ』がLv4へとアップしました】
【《熱感知Lv7》へとアップしました】
襲いかかってきたヤツらを何とか倒した俺は、レベルアップの声をどこか遠くに聴きながら思った。
『はあぁぁぁぁ………。私、とんでもないトラウマ刻まれましたよ………』
まったく同意見だなぁ、と………。
もうすっかり住み慣れた家の中で、普段より少し硬い表情をしたリリナさんが俺にそう訊いてくる。だが、その反応も仕方ないのだ。今、俺の目の前に広がる光景を目にしたならば。
そこそこ広い家の隅っこで、ジタバタと暴れるヘビとカメを足して2で割ったような謎の生物。いや、なに言ってるか分からないかもしれないが、本当なのだ。
見た目はヘビそのものなのだが、どういうわけか全身がカメの甲羅で出来ているのだ。一応全力で噛みついて麻痺毒を注入したのだが、それでも動きを完全に止めることは出来なかった。
というか硬すぎて牙が欠けたぞ。
『うーん、何なんですかね、これ?』
リリナさんのその問いの答えは俺も知りたい。
どうすればコイツの正体が分かるんだ?
『………鑑定すれば良いんじゃないですか?』
なるほど、それもそうだな。
それじゃあ………鑑定!
【タートルスネークLv6】
【強固な甲羅を持ち、熱感知で獲物を探す】
つまり、俺はコイツの獲物と認識されたのだろう。
さすがは異世界、弱肉強食の世界だ。
というかタートルスネークってそのまんまじゃん。
『感心してないで倒しちゃって下さいよ!』
いや、別に感心してたわけじゃないんだけどな。
………さてと、それじゃあさっさと倒して、経験値と食糧へとクラスチェンジしてもらおうか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数分後。
【《熱感知Lv1》を修得しました】
あれから何度も牙をダメにしながら、俺はなんとかふざけた硬さの甲羅を攻略した。要はこれ、隙間に牙を強引に刺し込んでやれば良いのだ。
1仕事終えた俺はふぅーとため息をつく。そして感覚的にだが、そろそろアレの時間だと思う。
【種族『トカゲ』がLv3へとアップしました】
頭にそんな言葉が響くと同時、ピシリと俺の身体に亀裂が入る。そして華麗に脱皮!
すっかり牙も生え替わったぜ。
念願のレベルアップを果たした俺は、極度の空腹と倦怠感に襲われることになった。どうもこのレベルアップは、かなりのエネルギーを消費するらしい。
もう少し燃費良くなんないかなぁ。
俺は倒したタートルなんちゃらを口一杯にほおばりながらも、新しく修得した熱感知スキルを試すことにした。
発動すると、視界に映るあらゆるものがサーモグラフィーのように色分けされる。赤や青、緑といったカラフルな色で。
『 へぇぇー、結構便利ですね、熱感知って』
俺の視界をテレパシー的なやつで一時的に共有しているリリナさんが、そんな感想を漏らす。
そう、この熱感知スキルは便利なのだ。
このスキルがあれば、物陰からの奇襲にも対応出来るし、死角もほとんど無くなる。
一応魔王ボコるのを目標としている俺には、うってつけというわけだ。フッフッフッ、これは良いものを手に入れたぜ!
『これで魔王討伐に一歩近づきましたね!』
リリナさんが満面の笑みでそう言ってくる。
だが、熱感知で魔王が倒せるハズも無い。
魔王討伐に一歩近づいたって言うか………迷宮生活が楽になっただけだよな?
そんな思考を無理矢理断ち切り、俺は魔王討伐に近づいたと思い込むことにした。だってその方が達成感あるんだもの。
まあ、今の俺には攻撃スキルが麻痺しかないからな。これで魔王が倒せるんなら誰も苦労はしないだろ。
『それじゃあどうするんですか?』
リリナさんの問いに、俺は胸をはって答える。
決まってる。継承するんだよ、攻撃スキルを。
敵を倒して、強くなるために。
『確かに、今弱いですもんね』
そんなリリナさんの言葉がグサリと突き刺さる。
前から思ってたけど、この人けっこうSだよな。
まあそれはそれで良いけどさ。
ああ、俺がMってわけじゃないよ?俺の性癖はノーマルだから。ホントだぞ?
『そんな事より、これからどうしますか?M翔さん』
おい、人の名前を勝手に改名すんなよ!
そんな俺の渾身のツッコミをスルーしたリリナさんはニヤリと片頬を上げて笑う。確信したよ、あの笑顔はSにしか出来ない。
そんな和やかな雰囲気が漂うなか、ふと視線を横に向けた。その瞬間、リリナさんの笑顔が凍りつく。
『か、海翔さん………あ、あれ………』
リリナさんの視線を追って俺が目を向けたそこにあった光景は―――
荷物運搬用の通路から覗く、無数の瞳。
仲間の敵討ちにでも来たのか、10を超える数のタートルスネークがズルズルと通路から出てきた。そいつらは一斉にガバッと口を開けると俺達めがけて襲いかかってきた!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【種族『トカゲ』がLv4へとアップしました】
【《熱感知Lv7》へとアップしました】
襲いかかってきたヤツらを何とか倒した俺は、レベルアップの声をどこか遠くに聴きながら思った。
『はあぁぁぁぁ………。私、とんでもないトラウマ刻まれましたよ………』
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