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トカゲな俺の異世界迷宮生活

本城ユイト

No.03 異世界の我が家

 うーん、困った。
 ついさっき決意したばっかりなのに、もう心が折れそうなのだ。この俺のメンタルが、だ!
 とりあえず素数でも数えて、気をまぎらわそう。

海翔カイトさん、何してるんですか?』

 現在絶賛現実逃避中の俺に声をかけてくるのは、何故か現れた女神様であるリリナさんだ。だが今の俺には見えない女神様の相手をする余裕すらない。
 それはなぜかというと―――

 目の前にいる巨大ムカデのせいだ。
 なんか数えるのも馬鹿らしくなるほど大量の脚をワシャワシャ動かして、さっきからずっと俺が隠れている穴の前をウロウロしている。

さて、説明しなければならないだろう。
この俺の身に何が起こったのかを!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 今から5分ほど前。
 俺は修得した《鑑定》スキルを試すために、それはもう手当たり次第に色んな物を鑑定していた。

 その結果分かったのは、このスキルが使えないということだった。例えば石を鑑定したら石、草を鑑定したら草としか出ないのだ。

『不便ですねぇ、《鑑定》スキルって』

 俺は相変わらず暗闇の中で見えないリリナさんに、なんか他人事じゃね?とのコメントを送る。
 というかこのスキルって本当に使い道あるのか?

『ありますよ?レベルアップさせれば良いんです』

 なるほど、レベルか。確かに修得した時、《鑑定Lv1》ってなってたな。よし、それじゃあLv2目指して頑張るか!

 すると、ここで思い付いた。これ、自分を鑑定したらどうなるんだと。という訳で早速鑑定。

【トカゲLv1ランクF】

 我ながら情報少なすぎると思う。
 なんかもうちょっとぐらいあっただろ!と本気でツッコミを入れてやりたい。

『まあまあ、レベルアップすれば性能も上がりますから!だから頑張りましょう?』

 リリナさんからの有難い励ましの言葉を貰い、少しやる気を回復させる俺。自分で言うのもなんだが、結構チョロい性格してるよな。
 あと、謎のランク付けが気になるんだが。

『それはモンスターの強さを分けたものですね。Fから順番にE、D、C、B、A、Sがあるんです』

 つまり俺は最底辺、雑魚モンスターの部類らしい。
 まあただのトカゲがモンスター扱いされているだけでも、感謝するべきなのだろうが。

 徐々に脇道へと逸れていく会話を強引に断ち切ると、俺はレベルアップ目指して鑑定を開始。
 その時、事件は起こった。

 夢中になって鑑定スキルを使っていた俺は、前からやって来た敵に寸前まで気づかなかったのだ。そして、気づいた時にはもう手遅れなぐらいに接近されていて。

キシャァァァァ!

と怪音を立てて襲ってきたのは、巨大なムカデ。
 俺は慌てて周りを見渡し、近くにあった洞穴へと駆け込んだのだった―――


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 そして今に至る、ということだ。
どうだろう、分かっていただけたかな?

 今思い返してみても、俺が迂闊だったと思う。
 もう少し早く気づいていればとか、早く逃げていればとか、そんな考えが頭の中を渦巻く。そんな追い詰められた俺は、1つの結論を出した。

 よし、もうここから出られないから、この洞穴を探検しよう。

 もう目の前の事態から徹底的に目を背けることにした俺は、そう思って洞穴を奥へと進んで行く。

 天井がかなり低くあのムカデは入れないようだが、俺のこの身体なら余裕で入れる。初めてこの身体に感謝した瞬間だった。

 そのままズリズリと腹這いで這っていくと、かなり開けた空間に出た。俺が全身を伸ばしてもまだスペースがあるぐらいの円形の空間だ。それによく見ると、隅っこの方にチョロチョロと水が流れていた。

 かつてあの日本で暮らしていた俺の目にも、かなりの優良物件に見える。水あり、壁あり、天井ありのちゃんとした家である。

 決めた。俺、ここに住もう。

 という訳で、脱ホームレス!

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コメント

  • ぐらふぁいと

    ムカデのランクを表示した方が良いのでは?

    1
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