王子様か恋したのはお姫様ではありませんでした。

雪村 ましろ

奏の好きな人。

「あ、奏ー!一緒に帰ろー。」

大声だして、アホ丸出しのこの女は、
神崎花音。
俺の幼馴染。

「声がでけーよ、ばーか。」
ったく、昔から何も変わらねぇなこいつ。

小学生の時も…
「かーなーでーくんっ!かーえーろー!」
「こえがでけーよ…ちゅうもくされてるじゃん…」
なんてことが、1回2回、3回4回…5…6…
数えだしたらきりがない。

しかし、こんなバカにでも物好きがいるものだ。
好きになってしまう者もいる。

きっとそいつは花音よりも、よっぽどアホでバカなんだろう。
でなきゃ、こんな奴ありえねぇ…

こんな…花音なんかを…

「奏?どうかした?」
俺の顔をじっと見つめる花音。

「ぁ…悪ぃボケっとしてたわ。」
顔…近い。

「あれ…?顔赤いよ…まさか!体調悪いとか?!頭痛い?大丈夫!?」
本気で心配をする花音に、そっぽを向いてしまう。

「バカ、なんともねぇよ。」
なんでこんな奴なんかを。

「おいて行くぞ」
「ちょ、待ってよー!」
花音は誰が好きなんだろう…
俺だったら良いのに。

「ほら、早く来いよ。」
なんだかんだで、いつも待ってくれるのよねー。
奏ってば、モテるのに彼女つくらないのかな…?

すれ違う2人に栄光あれ、と言うかのように、夕陽が2人の影をつくった。

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