姉妹の愚痴〜心身障害者への理解を〜

ノベルバユーザー173744

NHKにパラサイトと言われた私の実態

 テレビでは、私の世代は『寄生虫パラサイト』といわれますが、『寄生虫パラサイト』は、国であり政府であり、親族であり、叔母や兄たちだと思う私が悪いのでしょうか?

 でも、普通逆じゃないですか?
 そうじゃないですか?

 娘に、姪に、妹に、姉に借金を要求して、月額手取り9万円の私に、家賃と食費光熱費として半分取っておいて、実家の店の電気代毎月9万円と、ガス代二万円、水道代は2ヶ月で6万円。
 借金しかないでしょう?
 カードローンですよ。
 最初はみんな、

「来月には返すから」
「お父さんには黙っといて」
「結納金……あいつ(兄)に金出せんかったけん……」

と言いますが、翌月返してくれた試しはなく、又、電気代ガス代の滞納通知が枕元に鎮座していました。
 毎月毎月……それに、役所に呼ばれる時は、母の同伴者として、ノートに書き込みます。
 母は全く説明能力がなく、父も昼夜警備員で働いていました。
 代わりに休みの日に母を連れ、説明しました。
 自分の家の現状と、金は払えと言うが、マイペースする家族、自分の契約社員の月給と同じ電気代で解るだろう……。

 と、

「実は、貴方の御宅のひさしが市道にかかっていまして、その、市道にかかっている代金を払ってもらわなければならないんです。それがもう6年ほど滞納しているんです。それと保険も」

愕然とする。

「保険料はいくらですか?」

 保険料分も、契約社員だが、親に渡していた。
 前に払えなかった分も……と、

「210万円程です」
「母さん!私、今契約で、保険は会社になってるでしょ?でも、前払えなかったからって渡してるよね?それは?どこ!」
「えっ、お母さんも頑張って……」
「言い訳はかまん!お金出して!」
「ない」

毎月5万は渡していたし、借りたお金の返済に、また借りて……自転車操業の娘はボロ服だと言うのに、大叔母にもらったブランドのコートを着ている母……。

「何に使ったん!その服は、ばあちゃんがくれたんは分かっとる!食事もろくなもん食べさせてくれんけん、うちが商店街で安い卵に豆腐に葉物野菜買って帰りよるのに!うちの小遣いやで!借金も返しよるのに、何なんこの仕打ち!」
「娘さん、落ち着いてください!」
「落ち着けますか!うち、契約社員で手取り9万円やのに、半分家に入れて、その上、頼まれてカードで10万近く毎月借金ですよ!返済で必死やのに!体調悪いのに無理してここにきたのに……」

 胃液がこみ上げ、ハンカチで口を押さえ、席に着く前に確認していたトイレに駆け込み吐く。
 胃液しかない。
 横になって寝ても、鼻から胃液が漏れる始末である。
 食堂どころか喉や舌もヒリヒリしてただれている。
 24時間口からは胃液の臭いがする。
 気持ちが悪い。
 持ってきていた近くの公園で汲んだ水を口にして口をゆすぐ。
 涙をぬぐい席に戻る。

「すみません……」
「大丈夫ですか?」
「逆流性食道炎なんです……でも、働かないと……有給くれないし……借金が返せません……それに本当に、申し訳ありません。少しずつでも、私が持ってきます!今日中に家にあるお金かき集めて……」
「いえ、お嬢さんがそんなことをしなくても……」

 いつもなら強い口調で言うはずの職員さんが首を振った。
 その時は、本当に情けないのと、ヒリヒリと食堂や舌まで痛むのを我慢していたので、涙をこらえ何度も頭を下げていたので見ていなかったのだが、真っ青なと言うよりも青黒い顔だったらしい。

「それに税金は……」

 母は聞いてないふりをして役に立たず、体調不良の私を心配して、税の徴収する課に送ってくれる。

「ありがとうございます」

 お礼を言うと、しばらくして呼ばれ、また、数年の延滞金に、再びトイレに駆け込んだ。
 掃除をしてくれているおばさんが、

「大丈夫かね?具合悪いんかね?」
「す、すみません……調子が悪くて……汚してしまってすみません……」
「掃除しに来たんやけんかまんのよ。おばちゃんは掃除が仕事やけんね」

 綺麗なタオルで顔を拭いてくれる。

「大丈夫?」
「ありがとうございます。大丈夫です。本当にありがとうございます」

 お礼を言って戻っていく。
 そして、返済についても話し合った。



 お金がなかったら、借りれる人はいいだろう。
 借りられた人間は、返済を待っても諦めるしかない。
 文字通り、収入よりも支出の多い自分のお金を必死に稼ぐために賃金のいい仕事に移るしかない。
 でも、私たちの時代は就職氷河期。
 就職先がなく、その上、ブラック企業が多かった。
 残業当たり前、有給なしに保険なし、サービス残業は月に80時間?
 甘い甘い。200時間は超えるところもあった。
 業種はサービス業。

 それに、女だったらその体を売ればいいと、堂々と面接で言われた。
 人間の矜持を、何だと思っている。
 今だったら、裁判だ。



 頑張っても頑張っても、全然生活は良くならない。
 逆に悲しいだけ。
 実家にいれるだけまだましだ。

 そう思っていたが、体を完全に壊した上に心も病み、私は自己破産した。
 約17年、馬車馬のように働いて、借金を頼まれて肩代わりし、会社の知人にデート商法まがいで高い化粧品を買わされて……残ったのは400万円近くの借金。

 こんな恥ずかしい生き方をするくらいなら……と何度も自殺を図った。



 それに、あのテレビを見て、私はあんな風に思われていたんだと、泣き続けた。
 今まで何度も恥をかき、プライドをズタズタにされ、でも、頭を下げて生きてきた。
 でも、あの番組は、私のズタズタな心をますます踏みにじり、塩を揉みこんだ。

 妹に止められたが、一度は自殺も考えた。



 現実がこんなに残酷なら、私は、現実を見たくない。
 私の存在意義も、存在の意味も、完全否定する世の中なんていらない。



 孔明さんの話も……あの後、連絡がない。

 どこまで、いつまで、私は、虫のように這いずり回るのだろう……。
 泣き続けるのだろう……。



 誰も助けてくれなかったくせに……『寄生虫パラサイト』と呼ばれるのは、酷すぎる。

 もう苦しい……。

 もう嫌だ……。



 どうして私ばかり、苦しむのだろう……。

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