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強欲ノ絶対支配者

深谷シロ

#1ㅤ神々の顕現

それはいつの事かは分からない。


ただ、一つだけは分かる。


昔昔、人が誕生する前────さらには生物が誕生する前のさらに前。


それは世界が誕生する前の話。


何一つ無い、存在すら朧げな空間である<虚無>。無という存在があることすらも怪しいが、そう呼んでいた。


その<虚無>には『­ㅤㅤㅤ­』だけがいた。その『ㅤㅤㅤ』に名前は無い。何の種族かも分からない。だが他には何も無かった。『ㅤㅤㅤ』がどうして誕生したのかも分からない。


ただ、そこにいた。


『ㅤㅤㅤ』は当初そこにあっただけだった。物のように動くことは無かった。


それから1Googolグーゴル、要するに10¹ºº年後。これだけでも人間には到底理解できない領域に入る……ではなく、間違いなく論外としか言いようがない。


まだgoogolplexグーゴルプレックスと言わなかっただけマシだろう。単位で表すと10の10乗の100乗だ。要するに10のGoogol乗。1の後にGoogol個だけ0を付ける。


理解し難い内容である。その頃に『ㅤㅤㅤ』にはとある概念が生まれた。


それは<感情>だった。そして『ㅤㅤㅤ』は始めて顔が動いた。今まで全く動かなかった顔の筋肉を動かしたのだ。


そこからの成長は早かった。一恒河沙年も経つ頃には人以上の力を発揮し始めるようになっていた。


但し、それを実際に試した訳では無い。試そうにも何も無い。それがこの<虚無>である。


『­ㅤㅤㅤ­』は自分の実力を試すために<世界>を創った。そして自分の実力を試すために自分に似た存在を創り上げた。


それは後に<神>となる。この時には<神>という概念と<世界>という概念を生み出していた。


これだけで到底人間業では無い。何も存在はしていないが。この『ㅤㅤㅤ』に勝てる存在など無かった。


『ㅤㅤㅤ』は満足した。自分の強さに。自らが創り上げた<神>の元となる存在は塵芥すら残さず消え去った。


『ㅤㅤㅤ』は己の力をさらに試したいと思った。そうして『ㅤㅤㅤ』は自分に匹敵する力を創り上げる為に自分に似た存在を再び創った。未だ名前は無い。


その似た存在を100ほど創り、互いに鍛錬させた。


これを待つに疲れた『ㅤㅤㅤ』は眠たくなった。この時世界には<睡眠>という概念が生まれ、遂に<欲望>が生まれたのだ。始めて生まれた<欲望>は、強欲と知識欲と睡眠欲であった。


これが後の<三大欲求>の礎となる訳だが、それは誰も知らない。


『ㅤㅤㅤ』は寝た。


どれだけの時が経ったかは知らない。だが間違いなく自分が創り上げた存在は強くなっていた。


『ㅤㅤㅤ』は考えた。そしてそろそろだろうと思った。ここに<思考>という概念が誕生した。ますます知識欲は向上していくのである。


『ㅤㅤㅤ』はどうやって自分が創り上げた存在を自分と戦うように仕向けるか再び<思考>した。


但し、テレパシーなど使える筈もなく、伝える手段は無かった。


────無いならば創れば良い。


『ㅤㅤㅤ』は<言語>という概念を創り上げた。それは伝達手段として必要不可欠な存在にまで昇華した。


そして始めて『ㅤㅤㅤ』が<言語>を使う。


「掛かってこい。」


その一言の意味を『ㅤㅤㅤ』が創り上げた概念によって理解するに至った『ㅤㅤㅤ』に似た存在らは、一斉に襲い掛かってきた。


作戦など無い。戦法など無い。策など無い。


そのものは存在していない。


『ㅤㅤㅤ』と『ㅤㅤㅤ』に似た存在の戦いは、ただの破壊行為だった。勿論、今ではだが。『ㅤㅤㅤ』は破壊する物など創り上げていない。破壊可能なのは自分と似た存在だけだ。


壮絶な戦いは何十年、何百年、何千年、何億年、何兆年、何京年、何垓年、何秭年……と続く。


ここに<感情>はあっても<勝敗>という概念は無い。自分に似た存在は数の利を活かす事で対応とした。


こうして始めて『ㅤㅤㅤ』以外の存在が概念を創り出した。<最善>という概念だった。さらに<質より量>などという言葉が生まれた理由もここにあるとされる。


『ㅤㅤㅤ』に似た存在が創り上げた<最善>という概念の前に危機に瀕した『ㅤㅤㅤ』は、対抗するためには同じ概念を創り上げる必要があると考えた。


『ㅤㅤㅤ』が考え出した<最善>にも匹敵し、それすらも超える概念は<絶対>であった。


絶対主義という言葉は哲学で『絶対者や真理・価値などの客観的に見た規準の存在を認める立場』と言い換えられる。


『ㅤㅤㅤ』は自らを<絶対の存在>にしようとした。まさに強欲である。


『ㅤㅤㅤ』は意図せずして後にこう呼ばれることとなる。


────<強欲ノ絶対支配者>と。


そこからは蹂躙だった。<絶対>が<最善>を塗り替える。その日々である。当初はどうにか凌いでいた『ㅤㅤㅤ』に似た存在らも遂には敗北を許してしまう。


そうして<勝敗>という概念が創り上げられる。


『ㅤㅤㅤ』に似た存在達は悔しがった。そして強欲のままに力を欲した。


それらは自らの名を<神>とした。『ㅤㅤㅤ』に復讐する為に、それだけの為に、神々が顕現した。

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