異世界転移は分解で作成チート

神無木雷兎

第212話 お義父さん。

第212話 お義父さん。


 リミィと別れ、セルスについて行くことはや数分。セルスは一つの扉の前に立つと、軽くノックをしてセルスが告げる。

「旦那様。ゼロ様をお連れしました」

 すると、部屋の中から落ち着いた威厳のある低い声が響いてくる。リミィのお父さんの声だ。

「──入りなさい」

 セルスはその返答を受け取ると、扉を開けて俺に入るようにと視線を向けた。


 ふぅ〜・・・まだ少し緊張するが、こうなったらヤケだ。さっさと話してさっさと終わらせよう。
 ……もしもの時は何とか思考操作しよう。

「失礼します」

 部屋の中には、執務用の机や椅子、本棚、それと来客用らしきソファーとテーブルがあった。全体的に落ち着いた雰囲気が漂っている。
 リミィのお父さんはその執務用の椅子に腰掛けながら俺の方を見ると、先程と同じように落ち着いた声で話し出す。

「あぁ。そこのソファーに掛けたまえ。それと楽にしてもらって構わない」

 ・・・って、あれ? なんか思ってたよりリミィのお父さん落ち着いてる? っというか、なんでそんなに満面の笑みなんだ?

 ……まぁとりあえず、言われた通りに俺はソファーに腰かける。そして俺が座ったのをみてリミィのお父さんも俺の対面に腰掛けた。

「さて、早速本題に入らせてもらう。わかっていると思うが、今日話したいのはリミィとの交際についてだ」

 あ、雑談とか無しっすか。・・・うー、やっぱり親との対面ってなんか緊張するわー。

「・・・緊張しているようだから先に言わせてもらうが、リミィとの交際については私は一向に構わない」
「……えっ」

 ・・・なんか俺が緊張してた父親の説得部分がたった一瞬で終わったよ?
 普通、こういうご挨拶系って『お前に娘はやらんっ!!』とか、もしくはなにか付き合うための条件を付けたり殴ったりするもんやないの?

 ……いや、でもまぁ考えてみればそうか。この前のデートの時も普通に見送ってくれたし、何回もあってるけど俺のことを嫌悪したりはしなかったしな。
 それともリミィを助けた恩人って第一印象がよかったのかも? ・・・どっちにしろ、ずっと考えてた俺が馬鹿らしくなるわ……。

「言ってなかったが、元々、うちの結婚方式は政略結婚ではなく恋愛結婚が主だからな。交際や結婚云々については本人たち次第にしているのだよ。
 でも一応交際相手とは対面するようにしている。………どうしようもない者の場合は私たちが止める必要もあるからな」

 最後のやつははっきりと聞こえないくらいの声でぼそっと言った。・・・たしかに相手が悪党だったら大変だしな。

 ……まぁとりあえずは認められたって認識で良さそうだ。

「……あれ? ではなぜ俺は呼ばれたのですか?」
「あぁ。リミィと付き合うことになったゼロ君に、一言言わせてもらいたくてな」

 リミィのお父さんは軽く息を吸い込み、凛とした雰囲気を醸し出し、その中、しっかりと俺の目を見て口にする。

「リミィを、よろしく頼む」

 ……その時の目や声には、伯爵や貴族としてではなく、一人の父親としての意思や覇気を感じた。
 ・・・この言葉に対して、茶化すのはダメだな。こちらもしっかりと意思に応えよう。

「・・・はいっ。俺の方こそ、よろしくお願いしますっ!」

 ・・・ってか今更だけど、リミィのお父さんのことなんて呼べばいいんだろう? 一々リミィのお父さんって呼ぶのは長いし面倒だな。

「……あの、今更ですけど、俺は……伯爵様のことはなんて呼べばいいのでしょうか? このまま伯爵様とお呼びした方が良いですか?」
「ふむ……」

 リミィのお父さんは少し考えるように目を瞑ると、すぐに悪戯を思いついたのかのように、ニヤリと軽い笑みを零し、その顔のまま俺にこういった。

「お義父さん、と呼んでくれても良いぞ?」

 ・・・ふざけている様にも思えるが、よく良く考えてみると(ちょっと気が早いが)関係的にはいずれそうなるのか。
 今から呼んでなれるってのも考えると、それでもいいかもな。

「・・・では、私的の時はそう呼ばせてもらいますね。お義父さん」
「あぁ。……ゼロ君に言われると少しくすぐったいが、悪いものではないな」

 リミィのお父さん、改めお義父さんは恥ずかしくすぐったそうにそう言って笑った。
 俺も一緒になって笑い、二人で笑いあった後、時間的にも俺はリミィの所へ向かうということで別れた。

 ──ちなみに、この後はセルスの案内の元、そのままリミィの勉強部屋へ向かい、お義父さんと話した内容を聞かれたから軽く会話内容を話して、普通に勉強に移行した。



・雑談
 今日は珍しくリミィのお父さんフォーリスとマンツーマンの話し合いでしたっ! あとフォーリスって名前みんな忘れてたでしょ? どうもライトです。

「異世界転移は分解で作成チート」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く