異世界転移は分解で作成チート

神無木雷兎

第207話 リミィに告白。

第207話 リミィに告白。


 この祭りもいよいよラストに差し掛かってきたようで、辺りは昼頃よりもより一層ザワザワと騒がしくなる。

「そろそろみたいだね……。花火が打ち上げられるのは……たしかあっちの方だったかな?」

 リミィが北側の空を指して、そう言った。

 ・・・ってか今気づいたけど、周りの人が多すぎて(あとリミィが小さすぎて)リミィ自身が周囲をうまく見えてないみたいだ。
 今も背伸びをして何とか俺に教えてくれてるし。

 ふむ……。出来ることなら、リミィにもちゃんと花火を見れるようにしてあげたいな。
 なにか……周りの邪魔が入らなくて花火が見やすいところとか、ないかな?

「……あぁ、そうだ。空行くか」
「・・・はぇ?」

〜数分後〜

 と、言うわけで、空を飛んでるなう。

「わぁ〜!! すっご〜いっ!!! なにこれなにこれ〜?! 飛んでる〜!!」

 リミィも空を飛ぶという初めての体験で、かなり興奮しているみたい。楽しそうにはしゃいでる。

 あ、ちなみに、どうやって飛んでいるかと言うと、よくアニメとかゲームとかで出てくる、空飛ぶ絨毯ってのを使って飛んでる。
 なんとなくで作ってみたんだけど、意外と快適だった。
 あとただ浮いてるだけだと絶対に下の人が騒ぐ……というか目立つと思ったから、適当に下方面だけ光学迷彩的なのを付けといた。


 「……っと、こんくらいでいいかな? だいぶ高いところまで来たけど」

 今は高さ的にざっと150m前後ってところか? 多分、このくらいの高さならかなりの迫力で見れそうだな。

「わぁ……すっごい高いねっ!!」

 リミィは絨毯の上を動き回り、さっきよりも元気にはしゃいでいた。

「ってかここ絨毯の上だけど一応空だから危ねぇぞー」
「大丈夫だよーっ! ちゃんと気をつけ──」

 ・・・ちょっと余談なんだが、今俺らは、空の上にいる。もちろん空の上ってことで、周りには遮蔽物もなく風通りもいい。そして、リミィは今立って走り回ってる。
 つまり何が言いたいかと言うと……。

「──てるか……らっ!?」

 急な突風に見舞われて、リミィが吹き飛ばされそうになった。

「よっと! ・・・はぁ、だから言ったのに」

 まぁ直ぐに俺が腕を引っ張ったからなんとかなったけどな。・・・んで、まぁ急に俺の方に引っ張っちゃったから、リミィは丁度、俺の腕の中にすっぽりと収まる形となった。

「……。」

 もう一度言うが、俺の腕にすっぽり収まっている。……つまり、俺とリミィの顔が、かなり近いところにある。
 リミィは俺の顔を見ると、顔を赤くして少しの間、ボーッとする。そして、覚悟を決めたように頷くと……。

「ゼ、ゼロっ! あ、あの──」

 ひゅ〜〜るるる〜……ドォン……。

 リミィが何か話し出そうとした瞬間に、眩い光と同時に、響くような音が聞こえてくる。
 ・・・タイミングよ。いや、まぁたしかによくアニメとか小説である、いわゆるベストタイミングでもあるけどさぁ。

 リミィは花火の音と光で、一瞬呆けると、少し残念そうな顔をして何かを諦めたかのように話すのをやめた──ところで、こっちのターンだ。

「なぁリミィ。俺らが出会った時のこと、覚えてるか?」
「……え?」

 リミィが驚いた様子でこっちに向き直す。俺はしんみりとした空気の中、そのまま思い出すかのように花火を見て話し出す。

「あの時から俺は規格外というか、異常だったよな……。それなのに、お前は怖がらずに俺に色々なことを教えてくれて。
 ……正直言うと、化け物とか差別されそうで少し怖かったんだけどな。
 それで一時は長期間会えなかったけど、学園でまた出会って……。さらにはリミィの家庭教師にもなって。また前よりも交流が増えたな……。
 それから・・・・・・」

 俺は話を続けようとしたが、一時停止して大きく息を吐く。

「はぁーッ! もうっこういうの苦手なんだよッ!! 面倒くさいっ! ・・・もういいっ! 率直に言うっ!

 リミィっ! いいかっ!? よく聞いてくれっ! 俺はお前が好きだっ! 適当で面倒臭がりだが、もし、こんな俺でよかったら付き合ってくれっ!!」

 告白と同時に黒いケースに入れたネックレスを出す。それと同時に、タイミングよく花火がなった!

 ドォンっ!!

 そして、俺の告白を聞いた気になるリミィの反応は……少しボーッとした感じで、涙を流している。
 そして、その状態で少しの間呆けて、それから何とか涙と声を整えて、ネックレスを受け取りながら返事をする。

「うぅ……は、はいっっ!! わ、私でよければっ!!」

 それと同時に、乱れ打ちのような花火が上がる。・・・何この花火達? タイミング良すぎない?
 でも……ふぅ。とりあえずミッションコンプリートだな。
 

「そう、かっ! ありが、とう。リミィ」

 ・・・あれ? なんか俺の声も涙声になってる。・・・あぁ、気づかないうちに俺も泣いてたのか。・・・中身は冷静だが、上辺だけは無理だったと。
 俺も少し落ち着かないとな。・・・よし、落ち着いた。

「・・・ゼロ、このネックレスお願いできる?」

 すると、丁度俺の落ち着いたタイミングを見計らってリミィがそう言った。
 俺がネックレスを受け取ると、リミィが後ろをむく。・・・言われた通りリミィにネックレスをつけた。

 くるりんとこちらに向き直すと、満面の笑みでどう?と聞いてきた。

「おぉ……。似合ってるぞ」
「……えへへー、ありがとう」

 ──その後は二人で楽しく雑談し、また一緒に出かける約束(付き合ったしデートかな?)をした後、絨毯に乗ったままリミィを家に送って今日は終わった。
 しかし、やはり昨日と今日の初めに比べて、心と体の距離が大きく縮まったように感じとれた。

 ・・・さて、と言ったところで、普通ならここで終了だが、俺にはまだまだ気を抜けない事情がある。……そう、次はいよいよ、ハク達の番だ──。



・雑談
 告白系って苦手なんですよねぇ。なので、ゼロらしく、面倒くさいことを省いた勢い系の告白にしてみました。どうもライトです。

・試し書き
一二三四アアア・アアアアアア】【一二三四アアアアアア・アアア

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品