異世界転移は分解で作成チート

神無木雷兎

第203話 塩味よりも、あっさりと。

第203話 塩味よりも、あっさりと。


「──という訳さね。」

 ふむ、なるほど。

 ・・・ギルマスが言った事をまとめると、確かに普通の冒険者の捜索ならわざわざ俺を使う必要は無い、との事。
 だが、なにやら今回、その捜索する相手が問題らしい。

 というのも、今回の捜索相手がアルスフィアっていう冒険者で、こいつがこの依頼の事態を大きくしているようだ。

 まず何が問題なのかと言うと、このアルスフィアってやつのランクだ。こいつの冒険者ランクは………なんとEXらしい。
 ・・・うん、言いたいことは何となくわかる。たしか、前のEXランクの冒険者は死んだはずじゃないか、ということだろう。

 俺もそこが気になって、ギルマスに詳細を聞いてみたところ、実際のところ、これは長期間の行方不明からそう言われているらしい。
 なので、あくまで死んだというのは噂であって、その冒険者の遺体やらなにやらは見つかってないらしい。

 でも正直それだけじゃ、その冒険者が死んでないって理由にはならないと思うだろう。
 ならばなぜこの冒険者の捜索の依頼があるか。それはとてつもなく単純明快で簡単な話だった。
 その理由ってのが、全知みたいに死んだ偉人や歴史を調べたりするスキルで調べて、死んでないことがわかったから、らしい。

 ・・・謎から解明までの手順が、色々と吹っ飛ばしすぎてる件について。
 ・・・やっぱりこういうスキルってずるいわぁ。まぁ俺でも同じことは出来るけどさ。


「・・・ゼロよ、流石にこの依頼は受けられなさそうかの?」

 俺が考え事をしていると、断られるとでも思ったのか、ギルマスがやや不安そうに俺を見てきた。

「あ、普通に受けるわ。ってか、なんならすぐにでも呼べると思うけど?」
「おぉ! 受けてくれるか……って、呼べるのかっ!?」

 ギルマスが身を乗り出そうとして、勢いよく倒れそうになった。・・・あ、寸前で持ち直した。

「あ、ああ。多分だが、出来ると思う。」

 えーと、まずはアルスフィアって名前の人を検索して……。うん、なんかいっぱい出てきた。んでこれを強さ順に並べ替えて、と。あ、なんかそれらしいやつが出てきた。

「そのアルスフィアって人、赤い髪で金眼の筋肉モリモリのやつであってる?」
「お、おお! そいつさねっ! 間違いないっ!」

 ・・・ふむ。見た感じ、丁度あちらも休憩中なのか動いてないし試しに呼んでみるか。

「『召喚:アルスフィア』」

「──ぬっ?!」

 お、召喚した直後だってのに綺麗に着地した。すげぇな。

「・・・ここは。ッ!!」

 アルスフィアは周囲を見渡し、ギルマスを見た瞬間にゆっくりと涙を流した。

「ハハ、ハ……そう……か……。我は…戻って……これたの……だな……。」

 ・・・ちょっとこれ、どゆこと? ……って、ちょっと待てよ? こいつがいた場所ってそもそもどこだったんだ? 
 えーと? ……調べてみた感じ、無限回廊っていう迷宮に潜っちゃってたみたいだな。

 この無限回廊、さらに調べていくと、上や下の階層に行ったり来たりはできるが、一番上と一番下の階層は繋がっていて、出口とか入口は一切ないということが分かった。
 ・・・何? この拷問ダンジョン。ってか入口ないのにどうやって入るの? ・・・あ、もしかして転移的なゾーンに入っちゃったのかな?

 えーと、とりあえず、今の状態をまとめると、『20年間、無限に続くダンジョンの中で過ごし、誰とも会えなかった人が、急に外の世界に出てきて人を目にした』って感じか?

 ・・・あー、これは泣くわ。もう出られないって諦めてもう20年間近く生活してたんだもんなぁ。しかもあのダンジョン、今ちらっと言った通り魔物以外出現しないみたいだし。

「……ただいま……ギルドマスター……。」

「おぉ……おぉ……。よくぞ……戻ってきた……アルスフィアよ。」

 ・・・なんかあっさりとやりすぎたけど、とりあえず、めでたしめでたし? で、いいのかね?



・雑談
 そういや、寄り道する必要ないんだわ。ってことで一瞬で終わらせてみました。ライトと申すものでござる。

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