主徒リングの契約

雪村 ましろ

指切り。

その後病院に運ばれた一葉は何とか一命をとりとめた。

「ん…和兎?…ここは…?」
目覚めると、和兎と、白い天上と、真っ赤に腫れた目をした母親がいた。

「一葉…!」
必死に抱きついて、泣きながら何度もよかったと頭を撫でられて、幼いながらに自分が死にかけたことを自覚した。

「一葉!一葉…大丈夫?」
「和兎…」
和兎も同じく泣いていて、なんだか自分まで泣きそうになった。

「ママ…ごめんなさい…ネコちゃんに触ったの、ごめんなさい…」
「もうママとの約束は破らないでね…ネコちゃんにも触っちゃダメよ」
「はい…」

本当はネコが凄く好きだったけど、これ以上ママを泣かせたくなくて、はいとこたえた。

「一葉…ごめん、僕があの時止めてたら…」
「和兎のせいじゃないよ。」
「でも…!」
自分をせめる和兎に心の中で何度も謝り、こう言った。

「私は大丈夫だよ…それに、和兎は私のヒーローだから!ヒーローは泣いちゃいけないんだよ!」
和兎は昔からドジな私のフォローをしてくれていた。
私には、そんな和兎はヒーローに見えた。

「分かった」
涙を拭い、小指を出しながら和兎もこたえる。

「僕は一葉のヒーローだから、一葉が泣きそうな時は僕が傍にいるから…一葉は僕が守るから」
そう言って指切りを交わした。

コメント

  • ゆき

    何故意識がとんだのか分からなかったのですが、猫アレルギーだったのですね。
    けど、こう言う一葉ちゃんのことを死んでもなお‥‥‥。
    くう〰️好きだこれ!

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