神も愛した無敵の悪役令嬢
二度目の婚約破棄
「リリアローズ、お前との婚約を破棄する!」
現王太子である、アイザックが高らかに宣言した。
婚約破棄を宣言された張本人であるリリアローズは、取り乱すこともなく、あくまで冷静に周りを見回した。
ーー困惑が二割、呆れが三割、侮辱も三割、くらいかしらね。
そのほかは様々な顔をしていた。嫌悪、喜び、憎しみ………どれもいい感情ではなかったけれども。
その中には友人だと思っていた令嬢の姿もあった。でも、不思議と胸は痛まない。
ーーやっぱり、二度目だとなんか冷めるわね。
でもそのおかげで、前のように泣かずに済むのだからいいとしよう。
「理由をお聞きしても?」
あくまで淑女らしく、にこやかな笑みを浮かべて尋ねる。
「ふっ、理由だと?  そんなの決まっているだろう。
貴様が、ユリアに数々の横暴をしていたのはわかっているんだぞ!」
そう言って、アイザックは隣に寄り添うようにしている可愛らしい女性ーーユリアの肩をぎゅっと抱きしめた。
ユリアは、アイザック様…と恥ずかしそうに頬を赤らめている。その顔は、女である私から見ても、とても可愛らしかった。
以前の私なら、ここで憎しみを込めてユリアを睨んでいただろう。しかし今は何も感じない。
ユリアに向かってアイザックが優しく語りかけると、ユリアが私にされたということを、話し始めた。
アイザックとのダンスを阻まれたこと、パーティで足をかけられて転んだこと、ワインをかけられたことなど…
様々な根拠のないことを喋っている。
それを口元だけ笑みを浮かべて聞き流す。
「それをわたくしが悪意をもってやったという証拠は?」
 その発言にアイザックの顔が引きつった。
「まさか、ユリア様の証言だけで信じた、なんてことはないですわよね?」
まっすぐにアイザックを見て聞き返す。
その態度に少し怯んだようにしていたアイザックは、はっと我に返って言い返してきた。
「そ、そんなものなくても、見ていた者は大勢いるだろう!」
そう言い、アイザックは周りを見た。
すると、数人が声を上げる。
その声はだんだんと大きくなり、やがて会場全体がリリアへの罵倒で包まれた。
「………っ、…」
ここに味方はいないとわかっていても、この状況は辛い……
リリアは唇を噛む。
その様子に満足したのか、アイザックはリリアに国からの追放を言い放ち、嫌味ったらしく笑った。
警備の者達がリリアを捉えようと走ってくる姿が見えた。
   …………………………。
「……はぁ、なんてつまらない茶番なのかしら。」
思っていたよりも大きく声が響く。
ここに味方がいない?……それがどうした。
婚約破棄?……あのような小物、どうなろうがどうでもいい。
周りを見ると全員がポカンとしていた。
ーーもう、めんどくさいからいいか。
口の端を持ち上げて笑う。
それはきっと、悪役令嬢そのものだったのだろうけど。
「アイザック様、どうかユリア様とお幸せに。では皆様、ごきげんよう。」
笑顔を保ったまま、くるりと踵を返し、
会場を背に向けた。
私みずから、私を追放するための車に乗り込む。
…あえて何も言い返さずに、姿を消した私にさぞ驚いているだろうなと、リリアは窓を見る。
走り出した車から見えた、アイザックの顔がとても面白かった、とだけ言っておこう。
すぐにその顔も見えなくなったけど、それで良かった。
……もう少しでも、その顔を見ていたら泣いてしまいそうだったから。
書いていくうちに、コンセプトが変わって来たので、題名も変えさせていただきました。
現王太子である、アイザックが高らかに宣言した。
婚約破棄を宣言された張本人であるリリアローズは、取り乱すこともなく、あくまで冷静に周りを見回した。
ーー困惑が二割、呆れが三割、侮辱も三割、くらいかしらね。
そのほかは様々な顔をしていた。嫌悪、喜び、憎しみ………どれもいい感情ではなかったけれども。
その中には友人だと思っていた令嬢の姿もあった。でも、不思議と胸は痛まない。
ーーやっぱり、二度目だとなんか冷めるわね。
でもそのおかげで、前のように泣かずに済むのだからいいとしよう。
「理由をお聞きしても?」
あくまで淑女らしく、にこやかな笑みを浮かべて尋ねる。
「ふっ、理由だと?  そんなの決まっているだろう。
貴様が、ユリアに数々の横暴をしていたのはわかっているんだぞ!」
そう言って、アイザックは隣に寄り添うようにしている可愛らしい女性ーーユリアの肩をぎゅっと抱きしめた。
ユリアは、アイザック様…と恥ずかしそうに頬を赤らめている。その顔は、女である私から見ても、とても可愛らしかった。
以前の私なら、ここで憎しみを込めてユリアを睨んでいただろう。しかし今は何も感じない。
ユリアに向かってアイザックが優しく語りかけると、ユリアが私にされたということを、話し始めた。
アイザックとのダンスを阻まれたこと、パーティで足をかけられて転んだこと、ワインをかけられたことなど…
様々な根拠のないことを喋っている。
それを口元だけ笑みを浮かべて聞き流す。
「それをわたくしが悪意をもってやったという証拠は?」
 その発言にアイザックの顔が引きつった。
「まさか、ユリア様の証言だけで信じた、なんてことはないですわよね?」
まっすぐにアイザックを見て聞き返す。
その態度に少し怯んだようにしていたアイザックは、はっと我に返って言い返してきた。
「そ、そんなものなくても、見ていた者は大勢いるだろう!」
そう言い、アイザックは周りを見た。
すると、数人が声を上げる。
その声はだんだんと大きくなり、やがて会場全体がリリアへの罵倒で包まれた。
「………っ、…」
ここに味方はいないとわかっていても、この状況は辛い……
リリアは唇を噛む。
その様子に満足したのか、アイザックはリリアに国からの追放を言い放ち、嫌味ったらしく笑った。
警備の者達がリリアを捉えようと走ってくる姿が見えた。
   …………………………。
「……はぁ、なんてつまらない茶番なのかしら。」
思っていたよりも大きく声が響く。
ここに味方がいない?……それがどうした。
婚約破棄?……あのような小物、どうなろうがどうでもいい。
周りを見ると全員がポカンとしていた。
ーーもう、めんどくさいからいいか。
口の端を持ち上げて笑う。
それはきっと、悪役令嬢そのものだったのだろうけど。
「アイザック様、どうかユリア様とお幸せに。では皆様、ごきげんよう。」
笑顔を保ったまま、くるりと踵を返し、
会場を背に向けた。
私みずから、私を追放するための車に乗り込む。
…あえて何も言い返さずに、姿を消した私にさぞ驚いているだろうなと、リリアは窓を見る。
走り出した車から見えた、アイザックの顔がとても面白かった、とだけ言っておこう。
すぐにその顔も見えなくなったけど、それで良かった。
……もう少しでも、その顔を見ていたら泣いてしまいそうだったから。
書いていくうちに、コンセプトが変わって来たので、題名も変えさせていただきました。
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