悪魔の力と天使の目と

明日第一

#5 3度目の迷子からと5度目の迷子までと

 学校が始まるまで結構時間がある。
 『ゲームでもするか』
 俺は入学式の登校初日に同じ学校の生徒に絡まれた。その不良達から金を巻き上げテレビゲームを買ってきた。
 アキトチャラくて面倒くさそうとも思ったが寮に付きゲームを買って2人でずっと遊んでいた。
 高校デビューってそう簡単に出来るものじゃ無いね。変わろうと思っても心の内では人と関わりたいと思ってる自分がいる事が分かった日だった。
 『まっ、流石に同じ部屋なんだから話さない訳にもいかないからってだけで友達が欲しいって訳では』
 クラスではなるべく関わんない様にしたい。が、朝食でクラスの連中が6人も。
 一緒に飯なんて食べたら友達扱いされる。
 少し強引に帰って来てしまったからアキトには悪い事したかもしれない。

 『そろそろ学校行くか?』
 ゲームを終え着替えているとアキトがやって来た。
 『おっ!マッキー意外に良い身体してるね』
 『お前も着替えた方が良いぞ』
 『分かってるって!ちゃんと待っててくれよ一緒に行くんだからな』
 『近いんだから一緒に行く必要が無いだろ』
 中学ではトイレも一緒行ったりしていたけどな。
 『マッキーって連れションとかいや系?』
 『女子か!一緒にトイレに行く意味が分かんねー』
 『んだよ!友達出来ねーぞ』
 作るつもりが無いんだけどな。
 『何黙ってんだよ、真に受けんなって!マッキーコミ障とかじゃないんだし平気だって』
 『大勢でたわむれるのが嫌いなんだよ』
 『マジ?飯ん時の子達とも一緒に行くって言っちゃった』
 『俺は先に行くから』
 『待ってて一緒に行くぜ』
 『俺を選ぶか女6人を選ぶかどっちかだな』
 『マッキー方向音痴じゃん教室まで行けんの?ゲーム買いに行くのでも迷ってたじゃん』
 ゲームを買うときアキトが無理に付いて来ていなかったら迷子になっていた。
 ありがた迷惑だと思ったが、迷惑ありがただったな。
正直有益だった。
 『流石に教室に位行ける』
 昨日だって教室に行く時前の生徒に付いてった。もう覚えた。
 『じゃあ案内してくれよ俺わーんねーんだよ』
 絶対嘘だ。コイツは見た目の割にお節介だ。
 『今日だけだ』
 『今日だけ教えてくれんの?』
 『今日だけ案内してもらう』
 『正直だなマッキーって!中学の時とかマッキーが嫌でも周りが集まったんじゃね?』
 中学の時は俺は嫌でも無いしむしろ俺から行っていた部分もあった。
 『普通だ普通』


 『まだかよ』
 『待ってまだ皆来てないから』
 どうやら女子連中が支度に手間取っているらしい。
 『先に行ってるぞ!着いて来なくて良いからな。お前は青春してろよドタキャンなんてしたら嫌われるぞ』
 『ちょっと教室行けんのか?』
 『行けるわ!』
 行けるわ……ここはどこ?あれ?昨日こんなとこ見た覚えが無い。
 早速遅刻か?変に目立つな、ヤダな。
 『あっ!マッキーやっぱ迷子になってた』
 何故か前の方にアキトがいた。
 『何で前からくんだよ』
 『それはこっちのセリフだよ』
 『えっ?ホントに迷子になってたんだ!てかここどこ?』
 確かコイツは黒白院 薫だったか。今どきのギャルって感じか?
 『けどちょつと可愛いね学校内で迷子』
 確かコイツは佐倉 麗白(さくら ましろ)だったか。
 『いや!実は俺も方向音痴だったりしてw』
 『うっそだー』
 『ホントだって』
 何でここで立ち止まって会話を始めるんだよ。
 『何でここが分かったんだ?』
 『テンテンが『こっちじゃね』って皆で『校庭の方には向かわないだろ』って言ってたんだけどね』
 今気づいたここ校庭だ。
 昨日も俺が迷子になってたらコイツが来たな。
 『僕探し物得意だから』
 俺は物か!
 『じゃあ私の運命の人も探してくれる?』
 『う〜ん見つけられるかな?』
 『え〜?どーゆー意味?私には運命の人が居ないってこと?』
 『ごめんそんなつもりじゃ』
 『ウソウソ冗談だって城使君真に受け過ぎ』
 黙れ黒白院、城使イチャイチャしてないで教室へ連れてってくれ。
 『ほらここで話してないで教室行こっ!』
 1人だけまともな奴がいる今だけ感謝白井 翼。けど要注意人物、中学の俺を知ってるかもしれない。


 『じゃーねマッキーはちゃんと俺が送ってやるから先に帰んなよ』
 『何度も流石に迷子にならない』
 『念の為念の為』
 ホームルームには何とかギリギリ間に合った。
 今日から本格的な授業が始まる。
 一時限目は数学担当の先生の自己紹介が終わると簡単な小テストが。
 中学の復習って感じか?俺はこう見えて頭が良い、この程度なら100点なんて簡単に取れる。
 俺は全ての問題を書き終えると1度考え込む。
 ……消すか。
 俺は1度書いた問題の4割ほど消した。
 そして隣の人に紙を渡し合い丸付けをする。
 2時限目の現代文もその後英語も科学も小テストをして隣に渡し丸付けをし合う。
 隣の奴がやたら睨んで来ている気がする。
 確か神凪 凪沙(かんなぎ なぎさ)だったな。高得点取ってんのにテストが嫌いなのか俺が嫌いなのか睨まれている。前者だったらとばっちりだ、いくら暇になるからって。
 俺が嫌いだという理由も無い。
 何こいつ?
 そして昼休みがくる。
 『あの』
 すると隣から喋りかけられる。今まで黙って睨んでたのになんだよ急に?
 『なんすか?』
 『あのテストどういう意味なのかしら?』
 『その意味がどうゆ意味?』
 『数学のテストであなたが書いていた回答は全てあっていたのに消されていた』
 何?俺が消した答えをマジマジと見たと?怖っ!
 『その後の現代文も英語も科学も同じようにいくつか消されていたいたけど全てあっていた』
 結構濃く消したつもりだったんだけど。
 『点数が60、65、70、75遊んでる風にしか見えない』
 遊んでました全部5点問題だったから遊んでました。
 回答に自信がなかったって言っても意味無いし、消した覚えないけど?って言っても多分ずっと睨まれる気がする。
 『ごめんご飯食べたいんだ学食行ってくる』
 学食行く意味無いんだけどな。
 実は朝走っていたら迷子になってしまい食堂のオバチャンに助けてもらい『朝早くから偉いね』って言ってくれてお昼の分のサンドウィッチを作ってくれたから。
 寮生活は朝、晩は寮からただでご飯が食べられるがお昼は親からの小遣いで学食やらコンビニで買って食べるらしい。
 『どこに向かっているのかしら?』
 『どこって学食何だけど見てわかんない?』
 『そっちは屋上よ屋上は封鎖されてるわよ?見てわからない?』
 『んっ!?何で階段を上ってんだ?』
 『それは私が聞きたいのだけれど?』
 『何であんたは付いて来てんの?』
 『それはあなたが迷子になっているから』
 恥をしのんで食堂まで案内してもらうか?いや!帰って来れないかもしれない。
 『教室まで案内してくれる?』
 『あなたは何しにここまで来たの?』
 『俺も聞きたい』
 本来ならコイツの記憶を消したいところだがテストのくだりまでの記憶を消すとなると時間がかかり過ぎるし教室に帰れなくなるので我慢するしか。
 心の中でもう一度聞くけど何で付いてきてんの?ありがとう。

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