イタダキマス〜とりあえず魔王の手下になって世界作り直します!あれ?なんかループしてない?〜

駅構内の狂っぽー

謝罪、思惑、試練(?)

「先程は済まなかった。混浴だったとはいえ、あんな格好をしてしまって…何かお詫びをしたいんだが」
城の廊下で謝るジローはすれ違うメイドにジロジロ見られている。 
「いやいや、全然大丈夫ですよ。(新しい感情データも手に入ったし)誰も迷惑してないですから、主もそう思いますよね?」
「う、うん。い、いいんじゃないかな…」
ルイはここで考える。もしもここで1つ借りを作って置けばいつかは役に立つかもしれない、と。しかし王宮内で出来ることは限られている、まずは王宮から出ることが第1歩だとも。まずはこの男に王宮から出る手伝いをしてもらい、最終的には記憶が戻った主(凶星)にあんなことやこんなこと、世間一般では地上波でヤレないことを、BSでギリギリアウトになるようなことをしたもらえるだろうか?と。
こうして1人は欲望のままに、1人は流されて、1人は謝罪の一心で。奇妙な協力体制が出来上がったのだ。そしてこの縁が長く続くとは誰もが予想だにしなかった。

凶星は寝ていた─というよりも気絶していた。本人からしてみれば寝ていたのとそう違いはないのだが。
「ここは…どこだ?」
 起き上がると頭に痛みを感じ、思わず呻き声が上がって全身が力む。痛みは過ぎ去ってから周りを見渡すといつの間にか辺りは濃いモヤに包まれていた。自分が寝ていた床でさえ、今の視点からは見ることが出来ない。
「どういうことだ…」
自分が置かれた状況が理解出来ないだろうことを理解して自分の体の状態だけでも、と全身をまさぐってみる。着ているのは学生服。ポケットの中には何も無く、胸ポケットも同様。
「まさにお手上げって感じかな」
打開策は見つからず、座り込んでぼんやりとモヤを眺めていると何かの輪郭が浮かび上がってきたように見えた。
「まさか、夢じゃないよな」
人間でなくても、人形や石像でも充分ありがたみを感じるほど心はこの退屈さに嫌気を感じていた。立ち上がり、頭と思しき部分を触ってみるとゴツゴツとした手触りで例えるならば、いやこれこそまさに石。
「考えてはみるもののまさか本当になるとは…ツイてないな」
「ほう、私のことをよもや石像と間違える者がいるとは…少々指導が必要だな」
石像は喋った。いや、石像ではない。凶星が触っていたのは頭じゃなくて膝だ。
「さっきから何と間違えているのか詳しくは知らんが、スリスリと擦りよってからに…我輩のプァーフェクトなボディに傷が付いたらどうしてくれるのだ!!」
「え?あぁ、すみません。地蔵かなんかだと思ってさすってました」
「地蔵、地蔵だと?あの土着信仰のちっこいやつか?舐めよってからに…この悪魔王デヴィル様に逆らえないように貴様の体だけでなく、魂にも教えてやろう」
「こら!デビル、あなたまた変なことしようとしてるわね?彼は殺しちゃダメなの、事前のレクチャーでも言ったわよね?本っ当に人の言う事は聞かないし、人の言う事もすぐ忘れるんだから、あんたったら悪魔中の悪魔、ただのクズね!」
立ち上がった石像、じゃなくて悪魔王とやらはどこからか現れた小さな女の子に怒られていた。

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